- オンボーディングが重要な理由
- オンボーディングでやるべきこと
- オンボーディングの進め方のコツ
- オンボーディングプロセスにおける継続的な改善の必要性
はじめに
みなさん、こんにちは!
最近は法務でも人材の流動性が高まり、転職市場は非常に活発になっています。そんな中、せっかく採用できたのに定着せず、早期に退職してしまう事態を防ぐために、オンボーディングの重要性が高まっています。
本記事では早期に新入社員が活躍し、長く働いてもらうためのプログラム、「オンボーディング」について基本的な考え方を紹介します。
なぜ、オンボーディングが重要なのか?
オンボーディングとは、新しい従業員を迎え入れ、会社のミッションや組織カルチャー、業務内容等を理解してもらうためのプログラムです。オンボーディングが適切に行われると、従業員は早期に活躍し、定着率が高くなると言われています。 なぜ、オンボーディングが重要なのかを説明します。
早期に戦力化し、生産性が向上する
適切なオンボーディングを実施することで、新入社員は業務内容や組織カルチャー、社内ルールを理解しやすくなり、早期に自律的な行動や判断ができるようになります。逆に、オンボーディングが不十分だと、新入社員は自分で判断できることが少なくなり、自身だけでなく、周囲の生産性を下げてしまうおそれがあります。
定着率が向上し、採用コストを削減できる
適切なオンボーディングにより、新入社員は早くに組織のカルチャーやビジョンを理解することができます。結果としてエンゲージメントが高まり、定着率が高くなると言われています。
社内に馴染み、コミュニケーションが円滑になる
法務は社内のほとんどの人と関わる仕事です。法務は他の人が相談されやすく、頼られる存在になることが重要です。同僚や上司、他のチームとのコミュニケーションを通じて、会社に馴染むことができれば、周囲を巻き込みながら建設的に仕事ができるようになります。
オンボーディングでやるべきこと
人事やオンボーディングを担当するチームと協力して、会社のミッションや組織カルチャー等、会社全体についてのインプットを、時間をかけて行いましょう。また法務チーム内のオンボーディングも重要で、「プロフェッショナルなのだから、大丈夫でしょう」という理由でこのプロセスを飛ばしてしまうと、業務の把握に時間がかかるだけでなく、属人的な仕事を誘発してしまい、新入社員が孤立してしまうこともあります。
新入社員のオンボーディング完了に責任を持つ担当者は、以下でご紹介するオンボーディングの必須項目をどこまで理解できているか、新入社員と確認しながら進めていくことをお勧めします。
オンボーディング完了に責任を持つ担当者は企業によって異なりますが、業務を俯瞰できる配属先のマネージャー(管理職)が担当することが望ましいと思います。メンバークラスに任せる場合でも、適切な担当者を任命し、責任の所在を明確にすることが大切です。
会社の方針やルールを伝える
会社のミッション・ビジョンを明確に伝えましょう。会社の方針に従った意思決定を自律的に行えるようにするために重要です。これが、わざわざ社内に法務が存在することの意義にも直結します。
- 会社のミッションやビジョン、戦略等を伝える
- 組織カルチャーや、社内のルール等を教える
具体的な仕事の進め方を伝える
法務の仕事は、各社で業務範囲や進め方が少しずつ異なるので、丁寧に説明すると良いでしょう。またOJT(On-the-Job Training)形式で、すぐ完結する案件から進めてもらいながら、業務フローやツール等の全体像を掴んでもらうこともお勧めします。
- 自社における法務の役割や業務内容を説明する
- 業務フロー等の案件の進め方やポイントを説明する
- 契約書の雛形、プレイブックを共有し、内容を理解してもらう
- 法務業務で使用するシステムやツールの使い方を説明する
- 法務が業務を行なった過去の案件を共有し、流れや傾向を把握してもらう
社内コミュニケーションを円滑にする仕掛けを実施する
円滑な社内コミュニケーションは、法務機能を最大限発揮するための鍵になります。オンボーディング時、社内の関係性構築のために、社内のメンバーを「繋ぐ」役割は極めて重要になります。
- 同僚や上司とのコミュニケーションを促す
- 社内の様々な部署やチームについて紹介する
- 社内の会議や、研修などの情報を提供する
オンボーディングの進め方のコツ
これから紹介する進め方のコツをオンボーディングプロセスの中に取り入れると、成果が上がりやすいです。ぜひ参考にしてみてください。
マイルストンを設定する
どのようなタイムスケジュールで、成果を出してもらうか、新入社員と月単位での目標を立てて目線を合わせ、これに基づいてその進捗を毎週確認することをお勧めします。弊社で使っているシートを参考程度に共有します。
✅ 参考:Hubble社での目線合わせシート(クリックすることで、詳細な情報が表示されます)
- 入社1ヶ月後の目標
- xxxx できるようにする(〇〇の状態を目指す)
- そのために何をやるか
- 一つ目
- 二つ目
- 三つ目
- 具体的に何をアウトプットするか?
- 2ヶ月後の目標
- xxxx できるようにする(〇〇の状態を目指す)
- そのために何をやるか
- 一つ目
- 二つ目
- 三つ目
- 具体的に何をアウトプットするか?
- 3ヶ月後の目標
- xxxx できるようにする(〇〇の状態を目指す)
- そのために何をやるか
- 一つ目
- 二つ目
- 三つ目
- 具体的に何をアウトプットするか?
- 6ヶ月後の目標
- ポジションによっては、入社後すぐに6ヶ月後の目標を立てるのが難しいかもしれません。その場合は、3ヶ月経ったタイミングで改めて設定。
コミュニケーションを密に行う
新入社員の入社後、最初の1週間はマネージャーやメンバーとのコミュニケーションが非常に重要です。特に最初の1ヶ月は、その日の疑問はその日に解消できるよう、日次での面談を行い、疑問解消のための情報提供や、適切な人とのリレーションの構築等により定着のサポートをしましょう。
社員との交流を促す
組織カルチャーを理解するためには、社員との交流が非常に重要です。具体的には、ランチやコーヒーブレイクなど、社員との交流を促す取り組みが挙げられます。更に一層交流を促進する趣旨で、新入社員側の自己開示を促す施策もお勧めです。例えば、自分はどういう人なのか?週末何をしているのか?等、パーソナリティを知ってもらうために自己紹介シートを作ってもらうことも効果的です。
メンターをつける
メンターとは、所属するチームのマネージャー以外の、年齢や社歴の近い、新入社員をサポートするメンバーのことです。メンターは、直接仕事を振るのではなく、精神面でのサポートをする役割を果たします。直属の上司にはしづらい相談をできることで、社内の居場所や人間関係を作り、社内に馴染むサポートをしていきます。
オンボーディングプロセスは継続的に改善する
以上の通りオンボーディングは、転職市場が活性になっている今、新入社員の早期戦力化や定着化のために極めて重要です。またオンボーディングは効果が出やすいため、完璧を目指さず、まずやってみる、ことが大切です。そして新入社員からフィードバックをもらいながらメンテナンスし、改善していくことが大切です。
【PR】マネーフォワードの事例を紹介
2022年11月10日に開催したLegal Ops Conference2022で、「法務のマネジメントにおいて大切にしたい3つのこと」と題して、株式会社マネーフォワードの雨宮修氏にご講演いただきました。その中で、本記事で取り上げた「法務業務のオンボーディングプラン」についてお話いただいています。マネーフォワードのオンボーディングプランの詳細についてご紹介いただいておりますので、ぜひご覧ください。
雨宮氏のLOLでのインタビューはこちら!
まとめ
- オンボーディングが重要な理由
- 業務内容や組織カルチャー、社内ルールを理解し、自律的な行動や判断が可能に。早期に戦力化し、生産性が向上する
- エンゲージメントが高まることで、定着率が向上。結果、採用コストを削減できる
- 社内に馴染み、コミュニケーションが円滑になる
- オンボーディングでやるべきこと
- 会社のミッション・ビジョンを明確に伝え、会社の方針に従った意思決定を自律的に行えるようにサポート
- 法務の仕事は、各社で業務範囲や進め方が少しずつ異なるので、具体的な仕事の進め方を丁寧に伝える
- 社内コミュニケーションを円滑にする仕掛けを実施し、法務機能を最大限発揮する
- オンボーディングの進め方のコツ
- どのようなタイムスケジュールで、成果を出してもらうか、マイルストンを設定する
- コミュニケーションを密に行い、疑問解消のための情報提供や、適切な人とのリレーションの構築等により定着のサポートをする
- 組織カルチャーを理解するために、社員との交流を促す
- メンターをつけ、直属の上司にはしづらい相談をできるように体制を作る。社内の居場所や人間関係を作り、社内に馴染むサポートをする
- オンボーディングプロセスにおける継続的な改善の必要性
- 完璧を目指さず、まずやってみることが大切。そして新入社員からフィードバックをもらいながらメンテナンスし、改善していく
早川 晋平(はやかわ しんぺい)
2014年、関西学院大学を卒業後、税理士法人に入社し、2年間ファイナンスや経営管理を学ぶ。その中で非効率な業務オペレーションに課題を感じ、プログラミングを独学で習得後、2016年に株式会社Hubbleを創業(代表取締役CEO)。