本記事でわかること
Over view
- 契約書作成過程の管理を行うことの2つの意義
- Hubbleで実現する「管理のための管理」にならない契約書の作成過程管理
はじめに
みなさん、こんにちは!
当社が運営する法務の生産性を高めるメディア「Legal Ops Lab」(以下、LOL)の以下の記事で、契約書作成過程を記録・管理することの重要性を、生産性の観点からご紹介しました。
今回はこの記事でご紹介した考え方をベースにしつつ、Hubbleを活用した契約書作成履歴の管理方法をまとめていきます。
契約書作成過程の管理をする意義
契約書は、その締結に至るまでに、社内外のやり取りを経ますが、その際に自社と相手方の作成したドラフト、これに関連するコミュニケーション、そしてそれらの思考過程が数多く生じます。締結後の契約書を台帳などで管理している企業は多いですが、これに加えてこうした締結前の契約書の作成過程を組織として記録し、管理することにいかなる意義があるのかを、まず以下でご紹介していきます。
①紛争回避のため
日本においても取引の相手方と契約書を締結することの必要性は広く認識されるようになってきました。もっともその内容については、(そこまでにどういったやり取りがあったかに関わらず)一般的な内容にとどまるものや取引の実態が反映されていない、形だけの契約となっている場合も多く存在します。
こういった場合、契約書が存在していても、その内容について解釈が違ったり、契約書に記載のない事項について意見が食い違うことがあります。こういった場合に、契約締結までの交渉過程や条項の修正過程とそのやり取りが残っていると、そもそも双方での紛争を回避できたり、仮に紛争化しても有利にその争いを進めることができるようになります。
なお、下記のウェビナーアーカイブでは、実際に紛争化した、紛争化しそうになった具体的事案を元に、いかに締結に至る過程が有意な役割を果たしたかを、阿部・井窪・片山法律事務所のパートナー弁護士である辛川力太氏が解説しています。
②生産性向上のため
契約書作成の過程が残っていないと、事業部門をはじめとする非法務部門と法務双方の生産性にも影響があります。具体的には情報が属人化することによる弊害が大きいです。
事業部門においては、新規契約締結に向けて交渉中の案件や更新など巻き直しの案件において、過去どういったやり取りがあったのか、なぜ「この条件」で合意したのかといった経緯を辿ることに時間がかかる(または、担当者の退職があるとそもそも辿れない)といった弊害が考えられます。
法務においてはより深刻で、一人法務であっても組織化された法務であっても、過去の交渉や修正の過程は、法務としての成熟度を下支えする貴重なナレッジたり得ます。こういった情報やナレッジが組織に残っていないことは、特定の論点や交渉ポイントについて、またゼロから考えなけれならない、つまり常に「車輪の再発明」が必要になる状態であり、法務の生産性は上がりようがありません。
契約書作成過程の記録と管理は難しい
実際に作成過程の記録を保持し管理しようと考えた場合、以下の2つの課題に注意する必要があります。
①管理のための管理をしないこと
作成過程を残すことの重要性を認識し、実際にこれを社内ルールだけで実現しようとしたが、うまく行かなかったという実感がある方もまた多いのではないでしょうか?これは、事業部門はもちろんのこと、ときには法務の方々にとっても「管理のための管理」と認識されてしまっていることによるものが多いです。
こういった状況を打破するためには、もちろん作成過程の管理の重要性を認識してもらうことも重要ですが、何よりも、「管理のための管理作業」にならないように、日常業務をやっているだけで管理も出来ているという状態を作ることが必要です。
②検索して活用することを念頭におくこと
上記に加えて、前述の通り、作成過程は記録することに意味があるのではなく、これを使って目の前の交渉や条項の修正に活かすことで意味を発揮します。つまり、自分自身や他のメンバーがその情報を探せないと意味がありません。
もちろん、そもそも情報が不足していれば検索しようもありませんが、逆にノイズとなる情報が多すぎても情報が探しにくくなるということもあります。蓄積しておくべき必要十分な情報が蓄積されて残せることが重要になります。
Hubbleで、契約書を中心に据えた作成過程の蓄積と活用を!
我々が提供している契約書管理クラウドサービス「Hubble(ハブル)」は、契約書のドラフトを中心に据えつつ、締結前からコミュニケーション、関連情報やナレッジを一元管理して、作成過程の管理をすることが可能です。
日常業務を行うだけで自動的に蓄積される履歴
Hubbleでは、ドラフトの編集・修正や法務から事業部門への事実関係の確認、法務内のダブルチェックといった契約締結に至る日常的な業務を行うだけで、作成過程の情報は蓄積され、管理されていきます。
特に契約締結までに至るコミュニケーションを支えるコメント機能は、SlackやTeamsといったコミュニケーションツールと連携することが可能で、利便性が高いです。
具体的には、自らが宛先になった(メンションされた)コメントの通知は、メールはもちろん、SlackやTeamsで受け取ることが可能で、更にそれぞれから返信をすることで、Hubbleにその内容が自動で蓄積されるため、わざわざ社内のコミュニケーションの内容を保存しなおしたり、転記するといった「管理のための管理」から解放されます。
必要な情報を多角的に検索
Hubbleでは、契約書のドラフトの本文の内容や、Hubble内に蓄積したコメントを検索することが可能です。
格納されているファイル形式を絞ったり、特定のフォルダ配下に格納されているドキュメントのみを検索することも可能で、非常に多くの契約書を格納しても、必要な情報に最速で辿り着くことができます。
記録された情報を適切に保持
上記の点だけでも、契約書作成過程の管理は十分可能ですが、更にこの作成過程に関する重要な情報の保持、つまり削除されないように、システム上も制御したいと思われる方は、「確認済み機能」とセットでご利用頂くことをオススメします。
法務が確認した趣旨を残すだけでなく、「確認済み」がされたバージョンは削除ができなくなるため、誤って重要な情報が削除されることを防ぎます。
まとめ
最後までお読み頂き、ありがとうございます!
現代においては、日本国内の人口減少と人材の流動性の高まりの中で、いかに企業に必要なノウハウやナレッジを残していくかは、非常に重要なトピックです。
本コラム内でも言及した通り、この課題への対策は、ややもすると「管理のための管理」に陥りやすい特性があります。このため、契約書作成過程の管理は、運用だけで解決しにいこうとせず、テクノロジーに頼るのが最も向いている領域と思われます。是非作成過程の管理に課題を感じられている方は、テクノロジーの活用を一度検討されることをオススメします。
こういった契約書作成過程を通じて得られたナレッジの蓄積による業務の生産性向上について、以下のウェビナーアーカイブでも解説していますので、是非こちらも併せてご覧ください!
本コラムの著者情報
山下 俊(やました しゅん)
株式会社Hubble Cheif Customer Officer
中央大学法科大学院を修了後、日系メーカーにて企業法務業務全般に従事しつつ、業務効率化にも取り組む。2020年1月に1人目のカスタマーサクセスとして入社し、2023年6月より現職。法務メディア「Legal Ops Lab」の編集担当も兼務。近著に『Legal Operationsの実践』(商事法務)がある。