効果的な新人教育と公平な費用配賦を実現!Hubbleによる 網羅的な契約データベースの構築

日本軽金属株式会社事例インタビュー

国内随一のアルミ総合メーカーである日本軽金属グループは、「異次元の素材メーカーへ」というスローガンの元、幅広く多彩な事業を展開するグループ企業として、新幹線ボディや自動車部品等をはじめとした素材、中間製品、加工製品を様々な業界に提供しています。Hubbleをご利用いただいている日本軽金属株式会社は、日本軽金属グループの中核企業であり、「チーム日軽金」としてのグループ連携を強みにお客様への価値提供を行っています。

知財部や品質保証統括部等、他部門との協業が重要な同社において、法務部はどのような変革を成し遂げたのか。日本軽金属ホールディングス株式会社CSR・監査統括室法務担当兼日本軽金属株式会社法務部長・菊池亮様及び日本軽金属株式会社法務部・森本大介様、同部・泉英美佳様に、法務部のアカウンタビリティ向上や事業部門との関係強化にも寄与した、Hubbleによる契約データベース構築の背景と効果をお伺いしました。(取材時:2023 年 11月)

本記事のポイント

Over view

  • 同社の法務の概要(2024年3月現在)
    • 人数:8名
    • 契約書依頼件数:約 1,000件/年
  • 導入前の課題
    • 締結前後の契約情報を集約する契約書データベースの構築によるナレッジ蓄積・活用
    • 事業部門における適切な契約期限管理
    • 契約書に対するアクセス性の向上と知財部に対する問い合わせ削減
  • Hubbleの利用範囲・利用文書類型
    • 会社全体(法務部、人事部、経理部をはじめとする管理部門及び全ての事業部門)
    • 契約書、取締役会議事録、株主総会議事録、外部向けリリース文書等
  • 導入後の効果
    • 権限管理を行った上で締結前後の契約情報を集約する契約書データベース構築の実現
    • 新入社員の効果的かつ効率的な教育及びナレッジの蓄積・活用
    • 会社の重要情報資産の適切な管理及び決裁・マネジメントコストの削減
    • 公平な費用配賦の実現及び事業部門と法務の円滑な協業体制の構築

知財部や品質保証統括部等の事業部門と法務との連携が重要になるアルミ総合メーカー

早速ですが、法務部の概要を教えてください。

菊池

日本軽金属株式会社はアルミ総合メーカーで、上場会社の日本軽金属ホールディングス株式会社の中核会社です。法務部員は両社の法務業務全般を兼務しています。東京本社に7名、大阪支店に1名の8名体制です。業務範囲は契約書審査、訴訟対応、法令改正対応から取締役会・株主総会の事務局、ガバナンスまで多岐に亘ります。

日本軽金属ホールディングス株式会社CSR・監査統括室法務担当兼日本軽金属株式会社法務部長 菊池亮様
日本軽金属ホールディングス株式会社CSR・監査統括室法務担当 兼
日本軽金属株式会社法務部長 菊池 亮 様

契約書件数と特に多い契約類型を教えてください。

契約書件数は、グループ企業も含め、年間で約1,000件程度です。製造業ということもあり、秘密保持契約書(NDA)が最も多いです。加えて、商品が最終消費者に届く前段階の、他のメーカーに対する素材や部品・中間製品の卸売りが事業の中心となりますので、売買契約書も多く、商品開発に伴う共同研究や共同出願に関わる業務委託契約書もあります。

森本

特許、意匠・商標を含め、知的財産関連の契約書審査においては知財部と連携しながら契約業務を行います。メーカーである以上、品質保証に関する協定書も重要ですので、ここは品質保証統括部と協力しながら契約交渉を進めています。このように、法務と事業部門をはじめとする非法務部門とが密に連携を行う特徴がありますね。

そういった特徴がある中で、Hubble導入前にはどのような課題がありましたか?

森本

私はもともと 知財部に所属していましたが、当時、知財部には契約書データベースがある一方で、法務部には契約書を管理できるシステムがありませんでした。この知財部のデータベースも、他部署の社員が自由に検索できるものではなかったため、過去契約書の所在や内容照会を求める問い合わせが法務部や事業部門から知財部に来ていました。

しかし、自分が関与していない過去契約書を知財部にいた自分が断片的な情報から探し出すことは難しく感じましたし、本来契約書の管理を行う最終的な責任を持つのは法務部であるべきだと考えていたので、この契約書へのアクセスの困難性は課題だと感じていました。同様に、法務部でもこうした状況に課題感を抱いているようでしたね。そうした折に、私が法務部に異動することとなり、法務部でも契約書管理システムを導入するプロジェクトが始動しました。

知財部と法務部で既存のデータベースを共用することは難しかったのでしょうか?

森本

当初は、情報システム部による自社開発のシステムである知財部のデータベースを法務でも導入することを検討しましたが、具体的な仕様を検討していくと、知財部で必要な管理項目と法務で必要な項目が異なり、法務向けのカスタマイズには大きな開発費用が必要になることが分かりました。

そこで、契約書管理に特化した市販のシステムを導入した方がより低い費用で大きな効果が期待できると考え、2020年9月から展示会等で他の契約書管理システムを探し始めました。

知財部と法務部の契約書管理ニーズの違いとは、具体的にどのようなものでしたか?

森本

知財部では、特許庁に対して数年毎に特許料を支払うための特許の存続期間や納付期限の管理が非常に重要であり、そのための契約書管理を行っていました。その一方で、同じ期限管理でも法務で必要なのは契約書自体の期限や自動更新の有無等の管理であり、通知のタイミングも異なります。

また、知財部では締結後の契約書のみの管理で足りていましたが、法務では、締結版の過去契約書をベースとして新しい契約書を作成しますし、その過程、つまり契約書上には現れていない事業部門と法務のコミュニケーションや修正履歴、交渉過程等の締結前の情報もナレッジとして重要となります。

日本軽金属株式会社法務部 森本大介様
日本軽金属株式会社法務部 森本 大介 様

時代の変化の流れを機敏に察知し、会社全体に長期的な価値を生むツールを厳選

法務のニーズを満たす契約書管理に特化したシステム導入は、どのように検討されたのでしょうか?

森本

締結前の情報もナレッジとして重要とはいったものの、当初は締結後の契約書を蓄積するシステムのイメージしか持てておらず、クラウドストレージサービスでなら低コストで賄えると感じました。

そのような中で、2020年頃からリーガルテックに注目が集まり、CLMやリーガルオペレーションズ等の新しいアプローチに出会ったのです。アメリカではCLMやリーガルオペレーションズが主流になっていることを知り、日本も同じ方向に進むことが予測できました。

そこで、時代に乗り遅れないよう、締結後の管理だけでなく締結前の契約情報の管理やナレッジ活用を含めて総合的にカバーできるツールを導入すべきだと考えるようになりました。

Hubbleは、法務部だけのクローズドな環境ではなく、柔軟な権限管理を行った上で事業部門も巻き込んで契約書を作成・管理でき、契約情報も含めて会社の重要な資産として捉えるという考え方が非常に魅力的でした。

菊池

私はHubble導入が提案される直前に現職に就任しました。前職では紙をキャビネットで保管し、業務の知見もOJTによる伝承が中心であるなど伝統的な契約業務の経験しかありませんでしたが、新しい法務部を作っていこうとするタイミングで契約書管理システム導入の提案を受け、これは進めるべき話だと直感しました。

他サービスと比較検討した上で、最終的に法務メンバー全体の意見を重視してHubbleを選定しましたね。

ちなみに、法務の意見だけでなく、事業部門にも意見を求められたりしたのでしょうか?

森本

当時私は法務異動後1年目でしたので、最初は法務に必要なツールであることが示せれば導入できるものと簡単に考えていました。しかし、企画部から「法務が楽になるだけでなく、事業部門にもメリットがあり、事業部門もそれを理解できるものである必要がある」との指摘を受けました。そこで、10~20の複数の部門に繰り返し個別に説明会や意見聴取を行いました。

事業部門の反応はいかがでしたか?

森本

事業部門でも契約書の管理方法には悩んでいたため、法的にも社内規則にも違反がない契約業務や契約書管理ができるようになることや、過去契約書、過去のコミュニケーションを含めた情報の蓄積・活用等、事業部門のメリットもご理解いただき、好意的に受け止めてもらいました。これは、法務と事業部門との理解を深める場になり、法務が変わっていこうとしているという意思を伝えることができたという意味でも良い機会になりました。

もっとも、いきなり全社展開するのではなく、Hubbleを実際に使ってもらい、事業部門の中でも「Hubbleっていいよね」と言ってもらえるファンを作ることから始めました。ポジティブなコメントやイントラネットを通じた活用法のインタビューによる周知活動等、社内での浸透を促す等の工夫により、少しずつ活用してもらえる事業部門を増やしていきました。

Hubble導入時は1年限りのご契約から始めましたよね。森本さんも、「この1年が勝負だ」と仰っていたのを思い出します。現在は、どのような範囲の部署でお使いいただいていますか?

導入直後はスモールスタートしましたが、現在では日本軽金属株式会社の経理や人事等の管理部はもちろん、あらゆる事業部門にアカウントを付与し、会社全体で活用しています。また、グループ企業内でもアカウントを一定数付与し、子会社からの法務相談もHubbleに集約しています。

日本軽金属株式会社法務部 泉英美佳様
日本軽金属株式会社法務部 泉 英美佳 様

菊池

一口にアルミ事業と言っても、アルミ板材や自動車部品等用途毎に事業の専門性が異なるので、各事業部門にアカウントを配布し、法務と事業部門との協力関係を築いていくことは非常に重要です。特にHubble導入当時はコロナ禍でしたので、人間関係を以前にも増して考えさせられるタイミングでした。

Hubbleのようなツール導入の目的を法務の時間短縮やコストカットとすると、いつか限界が来ると思います。こうした短期的な効果よりも、Hubble導入時の森本と事業部門との関係性構築の過程や契約書やこれに関連する情報を会社の重要な資産として管理し、もって法務が長期的な価値をもたらしたことの方が、会社にとっては意義深いことだと感じています。

新入社員の教育に自主的にナレッジを参照・活用できる環境は必須

導入後にHubble活用により法務部に生じたメリットを教えてください。

私はHubble導入後に入社し、現在2年目です。先輩から案件を引き継ぐことが多くあるのですが、事業部門毎の契約交渉の基準、譲歩するラインや会社としての交渉方針等の情報を直接先輩に教えてもらわずともHubbleの過去の案件から参照できるのは非常に助かります。その後、ダブルチェックをしていただきながら、取引先様に提出するまでに積み重なる修正版契約書の編集履歴や検討過程を自動で残すことができるのも非常に便利です。

Hubbleでは、変更途中のバージョンの非表示やドキュメント名の変更ができるため、混乱を防ぐ趣旨で事業部門に回付する時点では法務内のやり取りを非表示にする一方で、知財部には検討過程も含めて確認いただけるよう表示に切り替えて回付するといった具合で、それぞれの立場にとって必要な情報を必要な範囲で共有でき、業務効率化に繋がっていると感じています。

森本

泉はHubbleが活用されている環境が入社時点で既にあった、いわば「Hubbleネイティブ」第一世代です。

Hubble導入以前は新入社員と先輩がペアを組んでOJTで新人教育を行っていましたが、忙しい先輩に「過去の契約書や過去案件を見せてください」と声をかけるのにも気を遣いますし、過去のメールを遡って探したが、目当てのファイルに辿り着かなかったといったこともありました。

こうした状況は教える側にとっても教えられる側にとっても、ストレスや遠慮を生じさせる環境となってしまいますが、現在はHubbleの使い方をマスターするだけで、新入社員でも自分で参考にできる契約書や必要なナレッジに辿り着けるので、導入前の目標であった契約書データベースの構築の一番のメリットが出ていると感じています。

「Hubbleネイティブ」第一世代として、泉様はどのような機能をよくお使いですか?

指定箇所コメント機能は非常に便利です。 Wordのコメントは社外向けとしており、社内向けや自分のメモをする際に指定箇所コメントを使っています。また、知財部のデータベースにしかない情報や、事業部門からメールでいただいた情報等も、Hubbleの添付ファイルに入れて蓄積・共有しています。 差分表示機能に関しては、契約書以外のチェックにも使えるので、法務部内でもリリース文や株主総会の資料も入れてHubbleで作成、ダブルチェックしています。Hubbleの機能は法務業務との親和性が非常に高く、どの機能もお気に入りです。

ありがとうございます。菊池様にとって、マネジメントの観点からお感じになるメリットはありますか?

菊池

決裁者の観点からも非常に優れたツールだと感じますね。例えば、社内規則上、契約書は法務の審査を必ず通すことになっていますが、法務が審査を経たものは決裁システムにHubbleのドキュメントのURLが明記されていますので、法務審査の実施有無が一目瞭然です。

また、そこからHubbleに遷移すれば、どのような検討過程や議論を経て当該条文に落ち着いているのか、案件の担当者が誰か等、一見して分かりますので、マネジメントコストが削減できていると感じています。

元々の課題だった契約書へのアクセス性は向上しましたか?

はい。契約書は全てHubbleに格納されているため、権限管理がなされたデータベースが締結前後の情報と紐づいた形で構築でき、様々な検索条件で参照したい契約書にアクセスできるようになりました。

前提として、契約書のデータがしっかりとHubbleに格納されているからアクセス性も向上しているのですね。

森本

個人的には、Hubbleのようなシステム環境は、自分で使っていくうちに新しいアイデアが生まれると思うので、ルールを厳格にせず、まず使ってもらう方が浸透しやすいと考え、当社でも、事業部門での使い方やルールはそれぞれです。だた、前述のデータベース構築の観点から、唯一のルールとして契約書は全てアップロードすることだけは徹底して運用しています。

森本様

事業部への活用浸透の工夫が素敵ですね。元々法務メンバーから上がってきた契約書の管理項目についてもHubbleでニーズは満たせたのでしょうか?

森本

もともとシステム導入検討時に必要だと整理していた 管理項目は、取引先様の情報、事業部門の担当者、法務部の担当者、契約締結日、契約期限、自動更新の有無等の基本的な項目でした。

Hubbleではこれらの項目の多くは、ワンクリックで契約書から自動抽出されますし、これらに加えて当社法務として欲しい項目もドキュメントリストのカスタマイズ項目として自由に設定できたため、自社のニーズに応じた柔軟な契約データベースの構築が実現しました。

契約書の期限管理は法務部門で管理されているのでしょうか?

当社では契約自体の期限管理は事業部門の責任で管理しています。もっとも、Hubble導入以前は契約期限を適切に管理できていない部署もあったため、事業部門限りで適切に期限管理ができる点はツール選定の重要なポイントになりました。Hubble導入後は、法務部から使い方を案内している通知機能の設定を事業部門の管理担当者が行っており、事業部門が期限通知機能等を活用して適切に期限管理業務を行うことができています。

泉様

 公平な費用配賦の実現により法務のアカウンタビリティが向上

その他、事業部門あるいは会社全体で感じているメリットがあれば教えてください。

菊池

かつては遠方にある倉庫のキャビネットから契約書原本や関連書類を取り寄せても参照したい契約書が見つからないこともありましたが、今では権限管理の上、事業部門も含め全社的にHubble上で全ての契約書をすぐに参照できますので、関係者の契約書に対するアクセス性の向上に加え、管理コストの削減にも繋がっています。

現オフィスに移転し、フリーアドレス制になった際、会社の方針として紙を90%減で運用することになりました。法務は非常に紙が多い部署でしたが、Hubble導入により社内のデジタル化推進が実現しました。

森本

公平な費用配賦ができることも会社全体にとっての利点ですね。現在、まさに来年の予算作成に取り組んでいますが、Hubbleのドキュメントリストで1年間の各事業部門の契約書審査依頼の件数を算出し、その割合をもとに、法務の人件費の費用配賦金額を調整しています。

菊池

法務部を含め、間接部門の予算は算出が難しいのが実態ですので、費用配賦について事業部門側にもこうした客観的データを見て、理解してもらうことは非常に重要ですね。

法務への理解を深めてもらうとともに、事業部門へのアカウンタビリティも果たすことができ、法務部門と事業部門の良好な関係構築の秘訣だと感じました。最後に、貴社の今後の展望をお聞かせください。

菊池

今後は法務だけでなく弁護士業務もAIに奪われていくと言われていますが、企業法務の業務やリスク管理は決してなくならないと考えています。ただ、その一方でこれを人力のみでやり切ることは難しいでしょう。できるだけ質の高いリーガルサービスを提供するために、これからも法務としては新しい考えや方法を取り入れていきたいと思います。Hubbleの導入はそのきっかけになりましたし、事業部門を含め会社全体からの理解を得ることに繋がり、さらに、取引先様も契約交渉を通じてメリットを享受していただいていると感じます。

本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

日本軽金属株式会社法務部の事例

会社概要(2024年3月現在)

Company Profile

会社名日本軽金属株式会社
所在地東京都港区新橋一丁目1番13号 アーバンネット内幸町ビル
設立昭和14年3月30日
代表者代表取締役社長 岡本一郎
事業内容アルミナ、水酸化アルミニウム、各種化学品、アルミ地金・合金の製造・販売、アルミ板製品、輸送関連製品、電子材料等の製造・販売
グループの事業内容アルミナ、水酸化アルミニウム、各種化学品及びアルミ地金・合金の製造・販売/アルミ板製品及びアルミ押出製品の製造・販売/輸送関連製品、電子材料、冷凍・冷蔵庫用パネル等のアルミ加工製品、炭素製品の製造・販売並びに運送、情報処理及び保険代理等のサービスの提供/箔、粉末製品の製造・販売
URLhttps://www.nikkeikin.co.jp/

より詳しいお話をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
Hubbleの詳細についての資料も、こちらよりダウンロードできます。

この記事をシェアする

トップ 導入事例 効果的な新人教育と公平な費用配賦を実現!Hubbleによる 網羅的な契約データベースの構築

その他の事例 こちらの導入事例もご覧ください

導入事例一覧へ