契約業務の生産性向上のカギは「共通認識」にアリ

本記事でわかること

Over view

  • 契約業務の課題
  • デザイン業務、ソフトウェア開発から契約業務に活かせる知見
  • 契約業務の具体的な生産性向上の方法

はじめに

みなさん、こんにちは!

契約業務は往々にして法務の仕事とみなされがちです。しかし、実際の契約交渉やその契約をもとにビジネスを推進するのはフロントに立つ事業部門です。このため、契約業務を改善し、生産性を高めるためには、法務だけでなく、事業部門を含めた会社全体の視点が大切になります。これはリーガルテック導入の際も同様で、法務のみの視点・領域の改善では、会社単位で見たときの生産性向上の効果は非常に限定的になるということを考慮に入れるべきでしょう。

今回のコラムでは、法務のみに留まらない全体最適な視点で、契約業務の生産性改善のヒントを考えます。

契約業務の生産性向上を阻害する2つの要因

①コミュニケーションが複雑で、共通認識を持つのが難しい

契約業務は、多数の関係者がメールやチャット、ワークフローシステムを用いてコミュニケーションとともに、繰り返しファイルを共有しながら進める特性があります。こういった業務フローの中で関係者がファイルの複製を繰り返すことで、互いに異なるファイルを参照して、共通認識のもとで議論が展開できないなど、コミュニケーションが複雑になってしまうのです。

このようなとても生産性が高いとは言えない業務フローのあり方は、残念ながら20年以上も進化していません(図1)。

図1:20年以上変わらない契約業務のありよう

②過去の情報にアクセスしにくく、共通認識を作りにくい

業務のフローだけでなく、ストックにおいても契約業務においては重要な課題が存在します。

具体的には、前述の通り、さまざまなツールを跨いだコミュニケーションが行われる結果、「なぜこの条項が追加され、修正され、また削除されたのか、そしてこれはいつ合意されたものなのか」といった重要な情報を、後から追跡できない(またはそもそも退職などを機に削除されて追えなくなる)ことです。

(あるはずの)確たる情報が残っていないため、過去に関する共通認識を形成できず、部門や個人の想像に依存し、混乱や誤解を招く結果として、コミュニケーションコストが増大してしまうのです。これも高い生産性の実現とは真逆の方向になってしまっていると言えるでしょう。

「全体最適」と言っても事業部門は興味ないのでは?


事業部門が契約業務を法務任せにする、丸投げしてくる、そもそも契約に興味がないといった話題が法務界隈ではよく聞かれることがあります。そのようなことが念頭にあると、そもそも前述のような全体最適の課題解決に現実味がわかない法務の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、こういった「契約に無関心な事業部門」は虚像なのかもしれません。というのも、以前当社が運営するメディア「Legal Ops Lab」で調査した際には、実に8割以上の事業部門の方が、もっと契約書を理解したいと感じているという調査結果が出ているからです。

図2:Legal Ops Lab「新企画アンケート!法務以外のみなさんに聞きました!①「契約書を読みますか?必要ですか?」より引用

そうだとすると、ひょっとしたら事業部門は、契約内容自体に興味がないわけではなく、前述したような契約業務の複雑さと情報管理の難しさそしてこういった課題が長い間ずっと変わらず、生産性が高まらないことにうんざりしているのかもしれません。

生産性向上のカギは「共通認識」にアリ!

では、どこに契約業務の生産性を高めるカギがあるのでしょうか?本コラムでは、常に最先端の働き方を取り入れ、生産性の高い業務の遂行方法を実現しているデザイナーや(ソフトウェア)エンジニアの仕事の進め方からヒントを探っていきます。

結論として、彼らの生産性の高い業務の進め方のポイントは、関係者間での共通認識の作り方にあります。以下、見ていきましょう。

デザイン業務から円滑なコミュニケーション方法を学ぶ

まず、デザイン業務からは共通認識に基づく円滑な業務の遂行方法、フローの生産性向上に重要なヒントを得られます。

デザイン業務では、関係者間のリテラシーにバラつきがあり、共通認識を作るのが非常に難しいという特徴があり、これは契約業務と同じ構造です(図3)。

図3:Legal Ops Lab「デザイン業務から学ぶ、契約業務の事業部門と法務の円滑なコラボレーションとは」に基づき作成

この課題は、デザインツールFigmaの登場で、専門家と非専門家の間のコミュニケーションやコラボレーションが容易になることで解決されました。具体的には非デザイナーでも「ここの部分なんですが、〇〇な感じにしたいです」と、同じ画面を通してデザイナーにわかりやすく、適切にフィードバックできるようになった点がポイントでした(図4)

ちなみに、Figmaはデザインツールであるにも関わらず、ユーザーの約65%が非デザイナーで、非デザイナーでも簡単に使えるのが特徴です。

図4:Figmaの実際の画面。場所を指定して、コメントができるため、認識がずれることが少ない。

ソフトウェア開発から情報管理・共有方法を学ぶ

次にエンジニアからは、徹底した情報管理、ストックによる共通認識の作り方のヒントが得られます。

実はソフトウェア開発の仕事の進め方も契約業務と同じ構造で、ソースコードの変更履歴やバージョン管理が非常に複雑でした。しかし、ソースコードのバージョン管理ツールGitHub(Git)の登場により、ソースコードの変更履歴を可視化しやすくなり、「誰が、いつ、何を、どういった背景で変更したか?」が明確になり、チームで共通認識を作りやすくなりました(図5)

図5:Legal Ops Lab「エンジニアから学ぶ、契約業務を円滑に進めるための共通認識の作り方」に基づき作成

仮に新しいアップデートに基づいてソフトウェアに障害が起きた時も、いつでも任意のバージョンに戻ることもできるため、安心して仕事ができるのも特徴です(図6)。このように「ソースコードの履歴」を残し、チームに共有することが生産性を高めているコツです。

図6:Gitの公式サイト(https://git-scm.com/)から引用

契約業務にも必要なFigma的存在とGitHub的存在

ソフトウェア導入がカギ

生産性を高めている職種、業界はソフトウェアを介して「共通認識」の作り方が上手であることがわかりました。

共通認識を作るためには、Figmaが実現したように、単純に「同じものを見る」ことが重要です。言い換えれば、これまでの契約業務がそうだったように、各自が各自の画面を通して確認し、ファイルが複製され続けるメールやチャット主体のコミュニケーションでは、共通認識の形成は、今後も難しいでしょう。

履歴管理の観点からもMicrosoft Wordなど契約書のファイルを手元でバージョン管理することは、時間と手間がかかる割に抜け漏れが発生しやすく、共通認識の形成を阻害します。これは、チーム内での命名規則の徹底でも乗り越えることは現実的ではなく(図7)、仮に管理できたとしてもファイル一つ一つを開いて中身を確認しなければならず、生産性が高いとは言えません。

図7:忙しい時ほど命名規則でバージョン管理を統制するのは難しい

そこでHubbleの登場

私たちは、複雑な契約業務をシンプルにする契約書管理クラウド「Hubble」を開発しています。

Hubbleは、法務に限らず、誰にとっても使いやすく、そして複雑になりがちな契約書作成のコミュニケーション・コラボレーションを円滑にして、「共通認識」を作りやすくしています(図8)。もちろん今まで通りのMicrosoft WordやGoogle Docsを使うことを前提としています。

図8:これからの契約業務のスタンダードは「Hubble」になる

Hubbleで作る、契約書に関する共通認識

法務と事業部門が共通認識を作りながら、円滑にコミュニケーションが・コラボレーションができる

何度も強調しますが生産性向上のカギは、「共通認識」です
Hubble上での契約業務は、法務も事業部門も同じ画面を見ながら進めることができます。誰が、いつ、どこを、なぜ変更したか「共通認識」を作れるため、円滑なコミュニケーションができます。

また、どのバージョンを承認するのか(されたのか)が明確なので、認識のズレを生まず正確に業務を進められます。ミスが許されない契約業務においては、このような認識を一つひとつ丁寧に合わせていけることが価値になります。

誰が何をいつ編集したか?を自動で残し、過去の情報の共通認識を作る

「なぜこの契約を締結したのか」の背景情報が時系列(ストーリー)でわかることも共通認識の形成において非常に重要です。以下の動画のように、契約書を読むリテラシーが高くなくても、後から見て論点が掴みやすいインターフェースを提供しています。過去の契約書の論点を法務に聞かなくても、理解しやすく、必要なタイミングで自ら情報を得られるようにしています。

そして、もちろん、その履歴は簡単に検索できます。

まとめ

契約業務にはその構造的に複雑さを内包しており、特に「共通認識の形成」は、長きにわたってこれを変えることができずにきました。しかし、デザイン業務がFigmaによって、またエンジニアの業務がGitHubによって変わったように、テクノロジーを用いることで「共通認識の形成」のハードルも乗り越えることが可能であることがわかってきました。

本コラムでご紹介したように、契約業務では、法務のみの個別最適ではなく、事業部門も巻き込んだ全体最適な契約業務の実現を念頭に置き、Hubbleをはじめとしたソフトウェアを活用して会社全体の生産性の向上を目指していきましょう。

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