これが決定版!3つのポイントで押さえる、契約審査依頼フローのベストプラクティス

本記事でわかること

Over view

  • 事業部門からの契約審査依頼のフロー構築に関するポイント3選
  • Hubbleで実現する契約審査依頼のフロー3選

はじめに

みなさん、こんにちは!

当社が運営する法務の生産性を高めるメディア「Legal Ops Lab」(以下、LOL)の以下の記事で、企業規模別でどのような契約審査依頼の受付フローがフィットするかをご紹介しました。

今回はこの記事でご紹介した考え方をベースにしつつ、具体的な受付フローの作り方をご紹介します。

審査依頼の受付フロー構築における3つのポイント

①窓口が決まっていること

まず、法務の方が業務フローを作る際の課題になるのが、事業部門から、メール、チャット、電話、口頭などなど様々な方法でレビュー依頼が来るという点です。この課題に対しては、まず社内で契約書審査依頼の窓口がどこなのか、周知することが重要です。

下記の事例でも言及されている通り、システムの導入が受付の窓口をしっかりと決め、改めて社内の認識を統一するきっかけになることもあります

なお、窓口を定めることは、法務業務のフレームワークを示す「日本版リーガルぺレーションズ」のCORE8(以下、CORE8)のうち、「業務フロー」のレベル1の要素にもなっており、依頼フロー構築の基本といえます。

②どんな情報が必要か明確であること

そもそも契約書の審査依頼は、契約に関するリテラシーが異なるメンバー間でのコラボレーションの場面です。このため、契約書レビューにあたってのリテラシーが相対的に高い法務から、申請に当たって提供してほしい情報を事業部門などの申請者に向けて明示する必要があります。さもないと、よく耳にする事業部門から法務への「丸投げ」状態を誘発しやすくなります。

具体的には、なるべく事業部門が悩まずに提供できる情報、つまり法的な評価を伴うものではなく、以下のような事項に絞って提供してもらうことが良いでしょう。

  • 契約の審査に必要な事実
    • 取引の概要(相手方や対象の商品、売買、賃貸借、業務委託など何をする契約なのか etc)
    • 相手方との関係性や取引の経緯(新規契約か否か、重要顧客なのか etc)
  • 事業部門から法務への依頼事項
    • 社内(法務)向けの要望(対応期日、交渉の方向性 etc)

もちろん自社における定型的な取引の場合には、(事業部門にも相対的に高いリテラシーが期待できるので)更に突っ込んだ情報提供を求めることがあっても良いでしょう。

③窓口が一本化されていること

上記2つの要素に加えて、受付の窓口が統一されていると、より効率的なオペレーションを実行することが可能です。

まず、窓口が一本化されることによって、法務では申請された案件を見逃す恐れが少なくなります。加えて、情報が一箇所に集まることから、どの部署やメンバーから何件の申請があったのか、といった集計作業もしやすいという管理者目線のメリットもあります。更に事業部門にとっても、どこから申請すれば良いのかという入り口部分の迷いもなくなるのは良い点でしょう。

この窓口の統一については、前述のCORE8のうち、「業務フロー」のレベル2の要素にもなっており、よりスムーズで高度なオペレーションを実現したい場合には、チャレンジする価値があるといえます。

法務立ち上げ時や一人法務の時点での窓口作成の必要性


フローを決めることは、その例外を基本的には認めないことと表裏一体の意思決定です。日本で多くを占める一人法務の皆様や法務立ち上げフェーズの企業に所属する皆様は、フローを固定化することで、法務への相談ハードルが上がることを懸念されることもあるでしょう。

結論として、この場合にはいきなり無理をして窓口を一本化する必要はありません。原則的な審査依頼方法を定めておきつつ、ある程度相談の自由度を確保しておくようなフローをおすすめします(前述のLOLの記事「オープンコミュニケーション方式」参照)。依頼件数が増えたり(増員を予定するタイミング)、法務のプレゼンスがある程度確保されたタイミングで一本化を目指すのが良いでしょう。

Hubbleで作る契約審査依頼フロー

Hubbleでは、前述した窓口の設定と統一、そして必要な情報の明確化といった要素を満たすことのできる契約書審査依頼の手段を、複数用意しています。

これらの手段は、自社が使っているツールや企業または法務の状況に応じて選ぶことが可能ですが、いずれを選んだ場合でも、ドキュメントリストを使った案件管理・集計までワンストップで行うことができるのが特徴です(図1)。

図1

以下具体的手段として、3つの方法をご紹介します。

①Hubbleの「契約書審査依頼フォーム」を窓口とする場合

特にオススメな方:法務が組織化されている企業、月間の契約審査依頼件数が30件を超える企業

Hubbleでは「審査依頼フォーム」機能を使って、契約書のファイル、関連資料、当該契約に関する情報を全て取得できる、統一的な受付窓口(入力フォーム)を作ることが可能です。もちろんフォームを通して取得する情報は、(必須入力か否かを含めて)自由に設定することができます。

またこのフォーム機能を使うと、法務チーム内での案件の割り振りを漏れなく行うことができるため、特に3名以上で、案件の割り振りを行う必要性が高い法務チームにオススメです

②Slackの依頼フォームを窓口とする場合

特にオススメな方:Slackが企業のコミュニケーションツールとして定着している企業

Slackユーザーの皆様には、「Slackの依頼フォーム機能」の活用がオススメです。Slackに契約書のファイルをアップロードすることで、予め設定したフォームが立ち上がり、ここに情報を入力することで、Hubbleにも当該ファイルとともに案件の情報が連携されます。

事業部門は慣れ親しんだSlackから申請ができ、法務もSlackで申請を受け付けた旨、通知を受信することができます。

③Hubble自体を窓口にする場合

特にオススメな方:法務と事業部門の距離が近く、信頼関係が築けている企業

Hubbleでは上記のフォーム機能を介さずとも、直接Hubbleへ契約書のドキュメントをアップロードすることが可能です。これとコメント機能(@メンションを付けるのがオススメです)や添付ファイルの機能を組み合わせて使うことで、法務に向けて申請することが可能になります。

相手方と何度もラリーが発生した場合でも、事業部門にとっては最初の申請から最終版の確定まで、Hubbleへのドキュメントのアップロードとメンション付きコメントというシンプルかつ同一の体験が続くのがメリットです。

事業部門との信頼関係が築けている企業では、実はこれが一番使いやすい方法かもしれません。

まとめ

最後までお読み頂き、ありがとうございます!

本文中にも記載した通り、そもそも契約書の審査依頼は、契約に関するリテラシーが異なるメンバー間でコラボレーションする、(契約業務の中でも)非常に難易度の高い業務の一つです。今回はこれを乗り越える手段として、依頼フォームをご紹介しましたが、当然ながらこれでコラボレーションやリテラシーに関する全ての問題が解決するわけではありません。

特に相手方から修正が入ったり、何度も相手方とラリーが発生する場合には、事業部門との共通認識を持った上で、契約に関するコミュニケーションを積み上げていくことまで想定することが非常に重要になります。

この「共通認識」の重要性に関しては、以下の記事で解説していますので、是非こちらも併せてご覧頂き、契約書に関するスムーズなコミュニケーションの実現を目指してみてください。


本コラムの著者情報

山下 俊(やました しゅん)
株式会社Hubble Cheif Customer Officer

中央大学法科大学院を修了後、日系メーカーにて企業法務業務全般に従事しつつ、業務効率化にも取り組む。2020年1月に1人目のカスタマーサクセスとして入社し、2023年6月より現職。法務メディア「Legal Ops Lab」の編集担当も兼務。近著に『Legal Operationsの実践』(商事法務)がある。

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