契約書管理の基本とGPT(AI)による業務変革

本記事でわかること

Over view

  • 契約書管理の基本的な考え方と関連するリスク
  • 契約書管理の最初のステップ
  • GPT × 契約業務で大幅な業務軽減が可能

はじめに

みなさん、こんにちは!

私たちが運営する法務の生産性向上を目指すメディア「Legal Ops Lab」(以下、LOL)では、(締結後の)契約書管理の4つの重要な要素とその導入方法についてご紹介しました。

締結後の契約書管理は、会社を守り、そして成長のために重要な経営の基盤となる業務です。この記事では、締結後の契約書管理の必要性とその適切な管理方法、そしてそのあるべき姿を詳しく説明します。

締結後の契約書管理とは

締結後の契約書管理とは、どの企業や個人とどのような取引や契約をしているかを把握し、管理することです。一般的には契約の基本的な情報を台帳に集約し、契約書を統合的に管理することを指します。いわゆる期限管理などもここに含まれます。

この管理方法は、基本的に各社によって異なる方法が取られていますが、ベースラインとして電子帳簿保存法の法的要件に沿った管理が義務付けられている点には注意が必要です。詳細は以下の記事をご覧ください。

締結後の契約書管理ができていないと生じるリスク

次に、契約書管理が不十分な場合に生じるリスクについても考えてみます。いずれも法務や総務など締結後の契約書管理を主幹として行なっている部署・組織のみならず、全社的なリスクとなりうる点が特徴的です。

  • ①法的リスクの増加 契約書が正しく管理されていないと、契約内容の誤解や不(完全)履行が生じ、紛争や訴訟に発展する可能性があります。
  • ②取引先の信頼関係への影響 契約内容の把握不足や履行遅延は、顧客やパートナーとの信頼関係を損ない、ビジネス上の長期的な損失につながり得ます。
  • ③経済的損失 契約の更新や期限の管理不足は、不要な支払いや重要な契約更新の見落としを引き起こす可能性があります。
  • ④業務効率の低下 契約書が適切に管理されていないと、法務や総務に対する問い合わせが集中し、従業員が契約書を探すために時間と労力を要することになります。日常業務はもちろんのこと、税務調査や内部監査などの季節イベントでもリスクは顕在化します。

これらのリスクに対して、どのように対策したら良いかをご紹介します。

締結後の契約書管理の最初の3ステップ

では、具体的に締結後の契約書管理をどのように実施していけば良いでしょうか。

まず、締結後の契約管理を始める最初のステップとして重要なのは、現存する契約書を集め、これらを適切に分類し整理することです。具体的には以下のように進めると良いでしょう。

管理する契約書の範囲を決める

全ての契約書の管理が理想的ですが、リスクの高い契約書に限ったり、期間を区切って(直近10年に締結したもののみなどから)始めることも一つの選択肢です。

自社サーバーやGoogle Driveなど、契約書を集約する場所を定める

上記リスクの①②④への対策として、取引の窓口である事業部門の担当者が必要なタイミングで契約書を参照できる環境整備が大切です。またそのためには、全文検索や適切な権限管理などは必須の要件になります。

エクセルやGoogleスプレッドシート等で契約情報を一元的にそして網羅的に管理する

上記リスクの③への対策として、契約台帳を適切に管理・運用をして契約更新期限や解約通知期限をモニタリングする必要があります。よく用いられるのは、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算アプリケーションです。ただ、これらのアプリケーションでは、期限に関する通知が設定できないことも多いため、定期的に参照するタイミングも決めておくことをお勧めします。

参考:締結後の契約書管理の基本項目

  • 管理番号 ユニークな番号を振っておくと、契約書データと一覧表の紐付けの際に便利です。
  • 契約書名 契約書に記載されている契約書名(タイトル)を記載します。
  • 契約相手先 契約相手先名を記載します。
  • 締結日 契約書を締結した日を記載します。
  • 契約開始日 契約開始日(契約が有効になる日付)を記載します。
  • 契約終了日 契約終了日(契約が失効する日付)を記載します。
  • 更新・解約通知期限 契約更新・解除をするための期限(N日 or Nヶ月前など)を記載します。
  • 自動更新の有無 自動更新の有無を記載します。
  • 取引金額 取引金額を記載します。契約書にただ記載されている金額を書くのか、契約期間の総額を書くのか、税別か税込かも決める必要があります。企業によって何を管理したいかでルールは異なります。
  • 契約の有効 or 失効 契約が有効なのか終了したのかを記載します。

更に、一段階応用編として、Microsoft365やGoogle Workspaceにある様々なアプリケーションを連携させながら仕組みを構築していくことも考えられるところです。以下の記事では、Google DriveやGoogleスプレッドシートを使って効率化する方法をご紹介しています。

反復業務は自動化すべし!GPT(AI)を活用し、締結後の契約書管理を自動化

締結後の契約書管理は一度行えば完了するものではなく、日々継続して実施する業務であり、継続的な管理コストがかかります。こういった継続的に管理コストがかかり続ける反復業務は、自動化していくことでコスト低減に役立ち、結果として組織全体の生産性が上がります

そこで私たちが注目しているのが、OpenAI社のChatGPTです。GPT(AI)の進化は目覚ましく、我々の仕事のやり方・方法を大きく、そして根本的に変えています。締結後の契約書管理も例に漏れず、業務を自動化することができます。私たちHubbleも「GPT×契約書管理」をテーマにプロダクト開発を行っています。

令和の人手不足の時代は、人は人でなければならない仕事に集中し、締結後の契約書管理のようなクリエイティビティが全く必要のない仕事は、GPT(AI)を最大限活用するのが良いでしょう。 ソフトウェアには人のような「モチベーション」や「体調不良による欠勤」などがないため、常に安定したパフォーマンスを出し続けられることも大きな理由です。

まとめ

最後までお読み頂き、ありがとうございます!

この記事では、締結後の契約書管理の重要性とその方法について詳しく説明しました。締結後の契約書管理は一回限りの作業ではなく、継続的なプロセスであり、計画性が求められます。

このような業務はGPT(AI)と相性が良く、業務量を圧倒的に軽減できます。ぜひGPTを内蔵したHubbleのような契約書管理システムを使い、新しい働き方に挑戦してみてください。


本コラムの著者情報

早川 晋平(はやかわ しんぺい)
株式会社Hubble CEO

兵庫県猪名川町出身。2016年に株式会社Hubbleを創業し、現在も契約書管理クラウドサービスHubbleなどプロダクト開発をメインで行なっています。

この記事をシェアする

トップ コラム一覧 契約書管理の基本とGPT(AI)による業務変革