組織の急拡大前に契約業務オペレーションを改善!バクラクとHubbleで理想の業務フローを確立

株式会社LayerX Hubble活用事例

AI-SaaS「バクラク」事業の他、AI・LLM事業やFintech事業を展開し、すべての経済活動をデジタル化することを目指す株式会社LayerX

同社は、組織規模の急成長を見越して、契約業務オペレーションを改善し、自社に最適な契約業務フローを確立しました。バックオフィス業務全般を主管する経営管理部と見積書から入金処理までを担うBizOps部Q2Cチームはどのように連携し、「バクラク」も活用した契約業務フローを構築したのか。

株式会社LayerX  執行役員CFO 兼 経営管理部部長 渡瀬浩行氏及びバクラク事業部BizOps部Q2Cチーム目黒理菜氏に、少数精鋭のチームで臨んだ契約業務オペレーション改善の裏側をお伺いしました。(取材時:2025年2月)

本記事のポイント

Over view

  • 同社の経営管理部及びBizOps部Q2Cチームの概要
    • 経営管理部人数:4名、BizOps部Q2Cチーム6名
    • 契約書審査件数:約60~100件/月
  • 導入前の課題
    • 契約書の審査履歴・バージョン管理及び事業部門による古い雛形の利用
    • Slack上に散在する過去の審査履歴・経緯に関する契約関連情報の検索が困難・非効率
    • 手作業での締結後の契約書の保管及び契約管理台帳の作成・管理
  • Hubbleの利用範囲・利用文書類型
    • 全社
    • 契約書、見積書、注文書
  • 導入後の効果
    • 「バクラク」の活用も組み込んだ、組織拡大に耐えうる自社に最適な契約業務フローの確立
    • 契約審査・交渉の経緯や背景把握・検索が容易
    • 締結後の契約書の保管及び契約管理台帳の作成・管理の工数削減

 少数精鋭のチーム編成で組織拡大期のオペレーション改革も重視

本日は執行役員CFO 渡瀬様とバクラク事業部BizOps部Q2Cチーム目黒様にお伺いしていきます。早速ですが、渡瀬様の業務範囲を教えてください。

渡瀬

私はCFOとして資金調達対応の他に経営管理部部長を兼務しており、経理、法務及び総務等のコーポレート業務全般が所掌範囲となっております。現在は経理と法務はチームが形成されているため、私の業務の中で経理業務及び法務業務はそれぞれ1~2割になっています。

株式会社LayerX 執行役員CFO 兼経営管理部部長渡瀬 浩行 様
株式会社LayerX  執行役員CFO 兼 経営管理部部長 渡瀬 浩行 様

続いて、目黒様がご所属されているBizOps部の概要と、業務内容のご紹介をお願いいたします。

目黒

バクラク事業部のBizOps部は、部署間の連携や部署横断での業務改善を主に担っている部署です。部内はSalesforceの管理・運営に特化したチーム、SalesOpsに特化したチーム等、専門領域ごとにそれぞれのチームが分かれています。私が所属するQ2Cチームは6名編成で、Quote-to-Cashの略称で命名されたチームです。その名の通り、営業からの見積作成依頼から経理に計上するための入金の管理までのバックオフィスOpsを専門としています。この業務の中には、契約の新規作成・締結、契約更新の管理までのオペレーションも含まれています。

株式会社LayerX バクラク事業部BizOps部Q2Cチーム 目黒 理菜 様
株式会社LayerX バクラク事業部BizOps部Q2Cチーム 目黒 理菜 様

貴社の経営管理部の概要も教えてください。

渡瀬

経営管理部は労務を除くバックオフィス業務全般を管轄している部で、私を除き、経理4名、法務2名及び総務2名の8名体制になっており、女性比率が高いチームです。

もともと、経営管理部は少数精鋭のチームで構成してきたため、Hubble導入当時は、経営管理部は私以外に経理専任者、労務専任者及びその他のバックオフィス業務担当者の合計3名で構成されており、法務専任者はいませんでした。

当時と比べると3倍以上の人員となっておりますが、企業全体の組織規模も、200名弱から400名弱に倍増しておりますので、当然取引量も契約書の量も指数関数的に増加しているというのが実情です。

貴社の『LayerX Company Deck』*にも「業務プロセス・テクノロジー基盤(=x Ops)の整備に大きく投資します。」との記載があり、むやみに採用をするのではなく、少数精鋭のチーム編成でまずは業務プロセスの最適化を行うことで業務効率化されていることがわかります。

目黒

ありがとうございます。

取引件数や社員数が増えると部署間での連携や業務改善を機動的に行うことが難しくなるため、より一層業務オペレーションの整備が求められ、私の所属するBizOps部も現在は20名を超える組織になっています。

 組織の急拡大前に自社に最適な契約業務オペレーションを確立

経営管理部が3名体制で、法務専任者がいなかったHubble導入当時、渡瀬さんは法務業務もご担当されていたのでしょうか?

渡瀬

はい。当時は、Slackで事業部門から来る法務相談や質問対応、Wordでの契約書審査、バクラクでの稟議、紙及び電子契約での署名・押印まで私が担当しており、業務のうち4割ほどが法務業務でした。署名・押印後は、Google ドライブに保管する担当者が、Googleスプレッドシートで作成していた契約管理台帳への記載を行っていました。

そのような状況の中で、契約締結前の業務フローにはどのような課題があったのでしょうか?

渡瀬

2つの課題がありました。

1つ目は、契約書ドラフトのバージョンや審査履歴を管理できていなかったことです。事業部門が相手方から受け取った契約書ドラフトを一度ローカルにダウンロードしてSlackで契約書審査依頼を行い、私が審査した契約書ドラフトをSlackで送った後、事業部門は再度ローカルにダウンロードして相手方に返送していたのですが、本当に修正版を送付しているのかどうか確認することも困難でした。

2つ目は、事業部門から同様の質問や審査依頼がSlackのスレッドで大量に来るのですが、その回答や審査結果をスレッドの返信に記載・添付していたため、検索が困難だったことです。

例えば、相手方の検討が長引き、さらに再修正に関する確認依頼が来ても、もともとのやり取りや経緯に関するスレッドの検索がしにくく、思い出すために時間を使っていました

目黒

契約審査の業務フローにも関わりますが、契約書雛形の管理・運用にも課題がありましたね。

正式な契約書雛形はGoogleドライブの法務フォルダの中で管理していたものの、事業部門担当者は過去ローカル上にダウンロードした古い雛形やSlack上で過去やり取りされた古い雛形を相手方に送ってしまっていました

そのため、年の切り替わりや本社の移転等があった後、経営管理部では雛形を改訂しているのに、自社の住所や西暦が古いまま契約書が使われてしまうことが多々ありました。

渡瀬さんが稟議承認される際も、契約書を確認するためにSlackを検索されていたのでしょうか?

渡瀬

いいえ。当時は契約書審査も稟議承認も全て私一人で行っていましたので、稟議で申請された取引については契約書審査を行った記憶を頼りに契約審査済みかどうかを判断していました。

まさに、審査者、稟議承認権者、押印者が渡瀬さんお一人だった時代だからこそできることですね。契約締結後の課題も教えてください。

渡瀬

稟議申請が来た時点で、管理番号を発番し、Googleスプレッドシートで作成していた契約書管理台帳に管理番号を入力し、締結後、契約書をGoogleドライブに格納して保管する際に、契約書管理台帳に手入力していた担当者の負担は非常に高くなっていました。


また、契約更新があった場合も、Googleスプレッドシード上の契約書管理台帳の内容を手作業で更新していましたが、なかなか厳格な運用を行うことができていませんでした。

こうした契約業務上の課題を抱えていた中で、Hubbleをご検討いただいたきっかけはどこにあったのでしょうか?

目黒

渡瀬さんが稟議承認した契約書の電子契約の発行や紙の契約書の送付については、契約締結後の契約管理台帳の入力をしていた担当者が行っていたのですが、その量が多く、「Q2Cチームで担当できないか」と相談を受けたのがきっかけです。

当時はQ2Cチームも2名体制でしたので、契約業務のうちどの業務を誰がどこまで行うべきか再度整理した上で、業務改善による効率化の必要性を感じました。

なるほど、契約締結手続きに関するご相談から契約業務全体の効率化や改善に視点を広げて課題整理をされたのですね!BizOps部のバリューを発揮されたことがうかがえます。

目黒

まさに、組織が急拡大してからでは手遅れになるとの危機感もあり、契約業務オペレーションを一から見直すことにしました。その結果、契約締結手続だけではなく、契約締結前後にそれぞれ効率化の余地が多分にあるとの結論に至り、システム導入を検討し始めました。

BizOpsの視点から整理した契約業務全体の課題を全て解決するHubbleの業務体験

システム選定の必須要件を教えてください。

目黒

業務オペレーションに落とし込めることが必須要件でした。当社はSlackを中心に業務を行っていますので、Slack連携の機能はなければ導入できませんし、電子契約と紙の契約書を一元集約するためにも電子契約との連携も必須でした。

Hubble導入の決め手を教えてください。

目黒

何よりもシステム選定と同時に設計した自社の最適な業務オペレーションに落とし込むことができたことです。

経営管理部とQ2Cチーム間でトライアルを行いましたが、契約情報の集約や契約管理台帳の作成工数の削減の他、Slack連携、クラウドサイン及びDocuSignとの連携の活用により、もともと相談を受けていた契約締結依頼のコミュニケーションもHubbleのコメント欄と電子契約との連携機能で解決することができました。

トライアルで初めてHubbleを利用した印象を教えてください。

渡瀬

Hubbleのバージョン管理の体験は特に素晴らしいと感じました。不要な機能がないシンプルさも魅力でした。

ありがとうございます。事業部門の反応はいかがでしたか?

目黒

当社では、業務フローを変える際は、必ずオープン・ドアで関係者全員から意見をもらう仕組みがあります。

その際に、一部の事業部門メンバーから、当初こそ業務フローの変化に対して抵抗感があるとのフィードバックを受けましたが、Slack連携をはじめ、一連の業務体験が良く、事業部門の業務工数が大幅に削減したことを実感いただけて、今では会社全体に浸透しています。

渡瀬

もともとの抵抗感は、契約書審査依頼時に契約管理台帳に記入する管理項目を入力する工数増加に対してのものでしたが、現在では、Hubbleに自動入力できる機能が実装され、当初の抵抗感も完全に払拭することができました。

Salesforceで管理しているバクラクの申込書・請求書以外のあらゆる取引に関わる文書をHubbleで管理しており、契約書以外にも見積書や注文書なども格納していますので、今では契約書や契約関連情報がHubbleに集約されて存在するという安心感を得ることができました。

契約書審査者と稟議承認者が分離して本領を発揮したバクラクとHubbleの連携

現在、Hubbleはどのように利用されているのか、改めて教えて下さい。

渡瀬

全社でHubbleを利用しています。事業部門の担当者は、HubbleのSlack審査依頼フォームで契約書審査依頼を行い、Q2Cチームと経営管理部がHubbleのSlack連携で契約関連のコミュニケーションを行うと自然とHubbleに契約関連情報が集約します。

契約審査の結果最終版に至ったドラフトのHubbleのURLをバクラクの購買申請の際に記載する業務フローに変化しました。現在は、法務専任者がいるため、私自身は契約書審査をほとんど行っていませんが、稟議承認時に契約書審査済みであることをSlackの審査依頼履歴とHubbleのURLから確認ができる仕組みです。

稟議承認後は、HubbleのクラウドサインやDocuSign連携で締結をし、締結後の契約書は自動で取り込み保管するとともに、契約管理台帳が自動で完成する業務フローになりました。

貴社の代表サービスであるバクラクにもHubbleのURLを記載いただくことで連携しているのですね!

渡瀬

Hubble導入前は契約書審査者、稟議承認者、署名・押印者が私一人でしたが、現在では法務専任者も入社し、契約書審査者と稟議承認者が分かれましたので、バクラクとHubbleで事後稟議にならない仕組みづくりをやっておいてよかったところです。

Hubble導入前に持たれていた、契約締結前の課題は解決できましたか?

渡瀬

Hubbleは、バージョン管理を審査や交渉経緯とともに一画面で把握できる他、契約書に紐づく書類や情報も添付資料として管理ができるので、交渉に時間がかかる案件についても即時に審査内容を思い出すことができるようになった結果、過去の審査の経緯や関連情報をSlackのスレッドから探していた工数を大幅に削減できました。

また、現在は法務専任者が契約書審査を担当していますが、HubbleのSlack連携による契約業務の進捗が即時に把握でき、ナレッジもたまっていく安心感が大きいですね。

ありがとうございます。雛形の運用についてはいかがですか?

目黒

Hubbleのテンプレート機能で、雛形の修正履歴とともに、最新版の雛形を管理することができるようになりました。

事業部門がSlack審査依頼フォームで審査をした後、テンプレート機能の活用も含めて業務フローを整備することができたので、古い雛形が利用されてしまうこともなくなりました

それは嬉しいです。締結後の課題はいかがでしょうか?

渡瀬

Hubble導入前は、審査依頼時にスプレッドシートで管理番号を発番して、契約締結後に契約管理台帳を作成するところまですべて手入力でしたが、現在は契約書審査依頼時に契約管理台帳がHubbleのドキュメントリスト上に自動で生成されるため、契約管理台帳を作成していた経営管理部のメンバーの工数が削減しました。

株式会社LayerX 執行役員CFO 兼経営管理部部長渡瀬 浩行 様

ドキュメントリストの具体的な活用場面があればぜひ教えてください。

渡瀬

契約書審査を行ったまま契約締結されていない契約書について交渉の進捗や状況を担当者に確認するための案件抽出と、資金調達等の各種イベント時に法律事務所に対して契約一覧を提出するための契約管理台帳のエクスポートのために利用することが多いです。

他の企業のCFOの皆様も各種バックオフィスのイベントの際にドキュメントリストの利便性を感じてくださっているようですので、ぜひこれからもご活用いただけると嬉しいです!貴社では、事業部門へのID付与も拡大いただいていますが、事業部門の方もHubbleに集約された契約書を活用されていますか?

目黒

特にアライアンスチームは過去の契約書を参照したり、同一取引先との契約履歴を確認したりするなど活用しています。

また、事業部門の担当者も、Hubbleを見れば契約業務の進捗を把握することができるようになったため、「今どうなっていますか?」という契約審査や締結までの進捗確認の問い合わせがなくなりました

Hubbleを導入した会社全体のメリットはどんなところになると感じていますか?

渡瀬

契約書や契約関連情報はHubbleに集約されているという管理体制を整えることができたことは経営管理部だけでなく、契約ガバナンスの面で会社全体にとって非常に大きなメリットだと感じています。Hubbleは検索性も優れているので、例えば、契約相手方名で検索をすれば、過去の契約履歴の他重複契約になっていないか即座に確認することができます。

最後に、貴社の今後の展望を教えてください。

渡瀬

バクラクとHubbleの連携性はより良くしていけると考えています。多くのベンチャー・スタートアップ企業のバックオフィスではバクラクとHubbleをセットで利用しているケースが多いので、契約書審査終了後、稟議承認、そして契約締結までの流れがより良い体験設計になると、多くのバックオフィスの皆様にとってメリットがあると感じています。

弊社でも引き続き機能開発に力を入れて参ります。本日はお忙しい中、素敵なお話をありがとうございました!

会社概要(2025年4月現在)

Company Profile

会社名株式会社LayerX
所在地東京都中央区築地1-13-1 銀座松竹スクエア 5階
設立 2018年8月1日
代表者代表取締役CEO福島良典/代表取締役CTO松本勇気
事業内容AI-SaaS事業、FinTech事業、AI・LLM事業
URLhttps://layerx.co.jp/

より詳しいお話をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
Hubbleの詳細についての資料も、こちらよりダウンロードできます。

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