「買わずに試せる」家電のサブスク・レンタルサービス「Rentio」及び実機レビューや使い方、製品比較、新製品情報等、カメラ・家電・ガジェットに関する総合情報サイト「Rentio PRESS」を運営し、製品と人々の新しい付き合い方を仕組み化するレンティオ株式会社は現在、IPOに向けた準備を進めています。
ビジネスの成長に伴い事業スキームが複雑化・深化し、契約業務の複雑性も量も増す中で、契約業務フローを整備し、契約書の網羅性や暴排条項の管理等のIPOに向けて必須となる契約書管理体制の構築が急務となっていた同社は、IPO準備に向けてどのような体制整備を行っていたのか。IPO準備を推進する同社執行役員CFO小松祐介様及び同社管理部部長仲田裕一様に伺いました。(取材時:2023年8月)
本記事のポイント
Over view
- 同社の法務の概要(2023年10月現在)
- 人数:3名(他管理業務との兼務)
- 契約書依頼件数:約50件/月
- 導入前の課題
- IPO準備(証券審査)のため、契約書の網羅性・暴排(反社)条項の確認を効率よく行う環境が必須となっていた
- 事業成長・ビジネススキームの深化に伴い、契約数の増加、契約内容の複雑化への対応が求められていた
- 締結前後の契約書・契約情報について法務で非効率な管理作業が発生していた
- 契約書の所在確認や、煩雑な契約書のバージョンの管理等の契約審査以外の業務時間を削減する必要があった
- Hubbleの利用範囲
- 管理部門、事業部門及び顧問弁護士
- 導入後の効果
- 契約書の網羅性・暴排(反社)条項を効率的に確認できる環境等、IPO準備(証券審査)のために必須となる盤石な契約書管理体制が実現
- 他のSaaSとの相性が良く、契約審査から稟議、締結後管理まで一気通貫した契約書管理を構築
- 契約書審査業務フローを回すだけで事業部門もアクセスできる締結後の契約書管理ができ、問い合わせ、作業及び出社コストを削減
- 契約書のデータベースから横断検索の活用により、ビジネススキームの検討が容易になり、管理部門(法務)の生産性が向上
IPOを目指し、新しいビジネススキームを事業部門及びメーカー企業と共創するレンティオ管理部
本日は契約書承認等もご担当されているCFO小松様と管理部部長の仲田様にインタビューの機会をいただきました。早速ですが、貴社の管理部の組織構成について教えてください。
小松
管理部の機能は、経理・人事・法務・総務に加え、営業事務(メーカー企業とのアライアンス担当)も一部担っており、当時私が管理部長としてこれら全般をマネジメントしておりました。現在は、CFOとして経営企画・財務全般が私の主要業務となりましたが、もともと経理担当者として当社に一人目管理部メンバーとして入社した経緯もあり、組織拡大前は法務、人事や営業事務も担当していました。
仲田様がご担当されている法務の概要についてもご紹介ください。
仲田
2022年2月まで法務の専任者はおらず、当時管理部長であった小松と顧問弁護士のみで契約審査全体を担っていました。私の入社が法務組織立ち上げのスタート地点となり、1年ほど私が一人法務として契約審査を担当していましたが、現在は兼任者を含めて3名体制です。
小松
もともと当社のビジネスは、製品を仕入れてエンドユーザー向けにサービスを提供するというBtoCのシンプルな形でした。しかし、法人向けサービスの展開や新たなサブスクリプションサービスのいずれもが、メーカー企業と共創する取り組みであるため、販売促進のあり方やメーカー企業との連携方法や関係性等が複雑化していきました。
多くのスタートアップ企業は法務を兼任とし、IPO後に法務組織の立ち上げを行うかと思いますが、サービスが複層化してビジネススキームが深く大きくなり、ビジネス規模も拡大している当社においては、法務専任担当者がIPO前から必要であると判断しました。
貴社の事業やサービスの特殊性から、契約類型にはどのような特徴がありますか?
仲田
アライアンス契約書、売買契約書、賃貸借契約書、業務委託契約書や販売促進に関する契約書が多いです。契約審査の数は、月間平均50件前後です。
当社のビジネスでは、メーカー企業とのアライアンスを締結して商品を仕入れることが重要となるため、法務での契約書審査はメーカー企業とのアライアンス契約(商品を購入するケースと借りるケースの2種)、またキャンペーン実施時の販売促進に関する契約書も多いですね。譲れない条件に関する交渉等を含め、商品を仕入れる営業事務と事業開発と法務が三位一体となり、新しいビジネススキームをメーカー企業と交渉しながら共創しています。
証券審査対応の中で見えてきた契約書の網羅性・暴排(反社)条項等の契約書管理の課題
Hubble導入以前、契約業務にはどのような課題がありましたか?
仲田
従前、契約書のひな形はGoogle ドキュメントの状態で事業部門がアクセスできるようにしていましたが、契約交渉開始後は、契約書ドラフトの管理方法が担当者毎に異なっていました。それぞれのアプリケーションやバージョンの互換性がなく、校閲や修正履歴の表示方法がWord版とGoogle ドキュメント版とで異なっていたために、締結段階に至ってから表記揺れ修正をする等の煩雑な業務が生じていました。
また、契約書締結後の管理において、従来、契約書管理表の作成や契約書原本のナンバリング等、契約書の物理的な管理はしていましたが、営業担当は自ら契約書を閲覧することはできませんでした。問い合わせの都度、法務がGoogle スプレッドシートのリストから該当契約書を探し出し、紙の契約書原本をPDF化した上で、SlackやGoogle Driveで共有するといった非効率性がありました。
小松
業務フローの観点からは、契約書の紙もしくは電子データをPDF化しバクラクに添付する形で稟議申請を行うことになっていましたが、添付されたファイルが最終版のドラフトと一致しているか確認できていませんでした。
言い換えると、バージョン管理ができてない点に大きな課題があり、特に稟議と契約書の繋ぎ込みは最も課題感の強い部分でしたね。当時は紙での管理がメインでしたので、契約書に関わるメンバー全員が閲覧し、最新の状態を把握することで共通認識を作るにも限界がありました。しかし、メーカー企業とのアライアンスを管理しながらビジネスをグロースさせ、証券審査を進めるには、これらの課題を全て解決する必要があると感じていました。
具体的にIPO準備の観点では、どのような契約管理体制が必要となるのでしょうか?
小松
Hubble導入の約1年前からIPOの準備を本格化させましたが、証券審査においては、内部管理体制の構築として、稟議やドキュメント管理は非常に細かく要請されます。
例えば、更新管理を含めた契約書の網羅性や暴排(反社)条項の有無の確認、さらに契約書の巻き直しや覚書の差し入れ等、契約書の状態管理を毎年必ず行わなければなりませんが、数も多いので、網羅的な管理ができる環境をIPO準備の初期段階から整えていかなければIPOの足枷になるのではないかと考えました。
契約業務フロー全体を、SaaS群と連携をしながら効率化できるHubbleはIPO準備企業の契約書ガバナンスに最適
改めて、Hubble導入の経緯について教えてください。
小松
証券審査への対応として内部管理体制を本格的に構築する必要が生じたタイミングで、稟議申請ツールを導入しましたが、その一方でドキュメント管理について多くの指摘を受けました。
こうした背景から、契約書の網羅性や暴排(反社)条項の確認といったIPO準備の観点、そしてグロースに耐えうる契約書管理体制構築のために、Hubble導入に至りました。Hubbleの導入は、契約業務を一気通貫で効率化し、かつ稟議に使用していたバクラク等のSaaS群との相性の良さが決め手となりました。
IPO準備の観点で特に重視した機能はありますか?
小松
証券審査で求められる契約書の網羅性の観点で、暴排(反社)条項の有無を含め、全契約書をデータベースとして管理できるドキュメントリストですね。加えて、バクラクとHubbleを組み合わせて使うことにより、事後稟議に当たらない捺印管理がされていると証明できる点も重視しました。
仲田
Hubbleは、スタートアップからIPOに至るまでの企業が、契約書管理のツールを入れるとしたら、バランスが非常に優れていてオススメだと感じています。IPO準備に入ってから途中で契約書のガバナンスの在り方を変えるのは非常に困難です。そのため、スタートアップからIPOを目指す企業は、IPO準備初期あるいはその前からHubbleを導入すると、実際にIPO準備のフェーズに入ってからは非常に楽になると思います。
IPOに向けた内部管理体制構築の課題を解決した結果、生産性が向上し、事業部門の契約書に対する意識も変化
現在のHubbleの運用状況について教えてください。
仲田
まず、社内では管理部及び承認者の他、事業部門、特にアライアンス担当者は全員Hubbleのアカウントを有しています。他にも人事関連契約書を扱う人事、メディア運営を行うコンテンツチームや商標管理担当者にもアカウントを配布しています。取引相手方との交渉開始後、Hubbleに契約書をアップロードして契約書の審査依頼をしてもらい、法務と事業部門はHubble上で連絡を取り、契約書に関する議論を全てHubble上で行っています。
なお、法務立ち上げ前からSlack上で直接事業部門とやり取りをしてくださっていた顧問弁護士にもアカウントを配布し、従来同様、事業部門メンバーが気兼ねなく直接質問や契約書審査の依頼をできる環境を継続しています。
決め手の一つだったバクラクとの相性の良さは、稟議のフローにどのように影響しましたか?
仲田
担当者が上げるバクラク稟議申請フォームの中にHubbleのURLを記載する項目を設けており、稟議の際に申請されている契約書の最新版を確認しながら承認を行えるフローが実現できました。これはHubble導入時に必ずやりたかったことの1つです。
具体的には、稟議承認をする際にURLからHubbleに遷移し、契約書審査のコメント、審査担当者の審査状況、添付ファイルが最新バージョンであることなどを最終確認できる点が、非常に便利です。
仲田
クラウドサイン連携も効果を発揮しています。従前は、クラウドサイン締結後、契約事務担当者に格納を依頼し、担当者がPDFファイルをダウンロード後、紙に印刷して格納していました。このタイミングで台帳も手作業で作成していたため、電子契約導入によりかえって業務工数が増加していました。しかし、Hubble導入により、稟議承認後はバクラク上のHubbleのURLからHubbleへ遷移し、クラウドサイン連携で締結をするだけで、締結以後は何もしなくてもHubbleのドキュメントリストで契約書の網羅的な管理ができる環境が整いました。
稟議承認者のお立場にある小松様はHubbleをどのように利用されていますか?
小松
ビジネスや財務の観点から契約書の内容を検討するためにHubbleを利用しています。例えば、取引関係が複層化している会社と新たな契約を検討する場合、複数の契約書や覚書などが連なり、それらの関連性を確認しなければならない場面があります。こういった際に、その会社との契約の歴史なども含め包括的な取引関係を確認したければ、Hubbleで取引先名の検索をすると、ドキュメントリストで1つの画面に集約されるので、非常に便利ですね。
Hubble導入による契約業務における変化やメリットがあれば教えてください。
仲田
Hubbleにより担当者が直接契約書を見に行ける環境が整ったことで、データ提供するための対応コストがなくなりました。従来、事業部門担当者からの過去契約書の所在の問い合わせに対し、1件あたり10-15分かかる作業を行っていましたが、Hubbleで事業部門が必要な契約書に自らアクセスすることができるようになった結果、この業務時間が完全になくなりました。さらに、そのために法務が出社する負担も解消されました。契約書の確認に関する問い合わせは毎日のようにありましたので、問い合わせ担当者の業務生産性が非常に上がりました。
事業部門のご担当者も、自分で探して契約書を見たいというニーズは大きかったのでしょうか?
仲田
本来契約書について最終的な責任を持つべきは事業部門で、法務に相談する前に過去の契約書を自ら確認するように伝えていることもあってか、アライアンスを巻き直すタイミング等では、やはりお取引先様とのこれまでの契約書を担当者が把握したいというニーズは大きくありました。Hubble上で取引先ごとに契約書フォルダを作成し、同一取引先との契約書に容易に確認できるような環境を整えた結果、事業部門の契約書に対する責任意識が強くなったように感じます。
経営・会社全体の観点からはいかがでしょうか?
小松
Hubble導入後は、社内外のコミュニケーションコストが下がり、契約締結までに行われる意思決定の強度が増したと感じます。例えば複層化した取引では、一定のリスクを残したまま締結に至ることもありますが、リスクが顕在化した場合の対応策についても事業部門との議論をした上で意思決定したことをHubbleのコメント上に記録しています。
事業部門とのやり取りがSlackで行われ、条文の背景や社内議論が記載されたスレッドがなかなか見つからず契約書の履歴を遡ることに限界があった従前と比べ、Hubbleは契約書と紐づく形でコメント欄に議論が集約されているので、効率的に契約に関わる情報の把握ができます。稟議への繋ぎ込みのスムーズさも含め、Hubbleは管理部になくてはならないインフラです。
更なる生産性向上により地盤を固め、コーポレートアクションを含む大きな挑戦をしながら非連続な成長を目指す
最後に、レンティオの管理部門としての今後の展望をお聞かせください。
小松
必要最小限の人員で業務フローを回すという観点からは一定のツールが揃ったと考えています。ここからは、現場の担当者が変わっても、すぐに業務フローを回せるように運用を標準化し、より生産性を上げていきたいです。
仲田
規程や規約類、定款等の重要書類群に対するHubbleによるバージョン管理も進めたいですね。現在規程・規約類の管理もHubbleに移行しているところですが、過去のバージョンの利用規約が適用されるお客様とトラブルが起きた場合、Hubbleで該当する利用規約を即座に確認できる等、サービス規程改訂時はまさにHubbleが役に立つと考えています。証券審査の中では、最新版の定款についての問い合わせも多いので、IPO準備の観点からも、契約書以外の重要書類群の管理体制を整えていくことは重要ですね。
経営の観点からはいかがでしょうか?
小松
地盤固めと事業成長の両方を目指していきます。この先、会社が非連続な成長を遂げようとすると、協業や買収による連結等、より大きなコーポレートアクションが必要になります。自社単独の運用だけではなく、関連会社を巻き込んだ運用体制を構築するという形で成長の角度を上げると、本社機能の盤石さ・強靭さが鍵となります。地盤をしっかり固めてから会社としてより大きな挑戦ができるようにしていく必要があると考えています。
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!
会社概要(2023年10月現在)
Company Profile
会社名 | レンティオ株式会社 |
所在地 | 東京都品川区東品川三丁目31番8号 東品川ビルディング |
設立 | 2015年4月6日 |
代表者 | 代表取締役社長 三輪 謙二朗 |
事業内容 | 買わずに試せる、家電のサブスク・レンタルサービス「レンティオ」の運営、 その他メディアサイトの運営など |
URL | https://www.rentio.jp/ |
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