GWも法務漬け?!現役法務パーソンがビギナー法務にオススメしたい書籍17選!

この記事でわかること
  • 現役法務パーソンが、テーマ別にビギナー法務の皆様にオススメしたい書籍
目次

はじめに

みなさん、こんにちは!

ゴールデンウィークが近づいてきました!
せっかくの長期のお休みなので、普段お忙しい皆さんには是非お休み頂きたいです。ただ、この休みの期間で、少し勉強したい、インプットしたいよという意欲的な法務(特に基礎を学びたい)の方がいらっしゃるかもしれませんので、そういった皆様に向けて、現役法務パーソンがお勧めする書籍、合計17冊をご紹介します。

ゴールデンウィークに限らず、ちょっとしたお休みの期間のお供になる書籍が見つかれば嬉しいです。

なお、本企画は、書籍の内容の優劣をつける趣旨で実施するものではありません。本記事に登場している書籍以外にも良書は数多く存在していますので、是非本記事をきっかけにして「あの書籍が私にはフィットした」など、皆様の情報交換が活発になされることを期待しております。

調査の概要

回答数:231
対象者:会社等の組織に所属し、主に法務系業務に従事している方で、かつ過去1年以内に業務において、法務業務(契約書やコンプライアンス、法律相談など)に従事する機会があった方
調査時期:2023年3月上旬
調査方法:インターネット上の回答フォームへの回答

回答者の属性

今回の調査は、回答者の所属する会社等の組織の規模に関して特段の絞りを設けずに実施しています。結果として回答者の所属する会社等の組織の規模は、100〜499名までが最も多い割合を占め、500名までで約半数を占める結果となりました(図1)。

図1:回答者の属する組織の規模

上記に加え、今回はどういったバックグラウンドにある方が回答者となっているかが重要な要素と仮説を立て、回答者のアカデミックな最終経歴を調査しています。

結果としては、いわゆる法務学部卒またはロースクール修了者が半数を占めています(図2)。

図2:回答者の最終経歴

調査結果

Q1:企業法務にはじめて従事する方へオススメする書籍

あなたが、新しく企業の法務業務に従事するメンバーにオススメしたい「法務の業務や基礎知識の理解がはかどる書籍」を最大2つまでお知らせください

まずは、新たに企業法務パーソンとしてのキャリアに進む皆様へオススメできる書籍を伺いました。

結果は以下の通りとなりましたが、票を集めた上位3つの書籍は、合計しても全回答の3割程度であり、回答者ごとにオススメしたい書籍にはかなりバリエーションがあることが推察されました

No.
『企業法務入門テキスト――ありのままの法務』
書籍情報

著者:経営法友会 企業法務入門テキスト編集委員会
タイトル:『企業法務入門テキスト――ありのままの法務
発行:2016年4月
出版:商事法務

No.
『実務がわかるハンドブック企業法務[改訂第3版]』
書籍情報

著者:吉川達夫、飯田浩司
タイトル:『実務がわかるハンドブック企業法務[改訂第3版]
発行:2021年11月
出版:第一法規

No.
『スキルアップのための企業法務のセオリー実務の基礎とルールを学ぶ 第2版』
書籍情報

著者:瀧川 英雄
タイトル:『スキルアップのための企業法務のセオリー 実務の基礎とルールを学ぶ 第2版
発行:2022年8月
出版:第一法規

企業規模によってオススメする書籍は異なる結果に

上記の結果を、回答者が属する企業の規模別に整理すると、回答の傾向は、少し異なるものになりました。企業規模ごとに最も票を集めた書籍は以下の通りです。

従業員最もオススメされた書籍著者出版
1-99名まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ企業法務の仕事河村寛治第一法規
100-499名『企業法務入門テキスト――ありのままの法務』経営法友会第一法規
500-999名『実務がわかるハンドブック企業法務[改訂第3版]』吉川達夫、飯田浩司第一法規
1000名以上ストーリーでわかる!法務部の仕事12か月出澤秀二、丸野登紀子学陽書房
表1:企業規模別の企業法務ビギナーにオススメする書籍

Q2:契約業務にはじめて従事する方へオススメする書籍

あなたが、はじめて契約書審査を担当するメンバーにオススメしたい「契約をレビューするにあたって参考にすべき本」を最大3つまでお知らせください。

次に、企業法務パーソンの業務において非常に重要なウエイトを占める、契約業務について参考にしてほしい書籍を伺いました。

以下に記載する書籍は、便宜上順位をつけていますが、ほぼ同数票を獲得しており、更に4冊目以降の書籍の票数も非常に拮抗していました。契約書関連の書籍も良書が多く存在し、オススメする各人によって、またオススメされる各人の立場に応じて、ベストと考えるものが異なるものと思われます。

No.
『契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版』
書籍情報

著者:阿部・井窪・片山法律事務所
タイトル:『契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版
発行:2019年9月
出版:有斐閣

No.
『契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本 第2版』
書籍情報

著者:萩原 勇
タイトル:『契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本 第2版
発行:2020年3月
出版:秀和システム

No.
『民法改正対応 取引基本契約書作成・見直しハンドブック』
書籍情報

著者:北浜法律事務所
タイトル:『民法改正対応 取引基本契約書作成・見直しハンドブック
発行:2018年5月
出版:商事法務

非法学部出身の方のチョイスは全く異なる結果に

法学部や法科大学院(ロースクール)のご出身ではない方、法律や法務に関してアカデミックなバックグラウンドがあまりない方がオススメされる書籍は、上記の上位3冊とは全て異なる結果となりました。書式の基本をインプットできるもの、より実務に即応しやすい書籍が票数を集める結果となっており、それぞれのバックグラウンドに合った書籍選定の重要性が際立ちます。

法学部や法科大学院(ロースクール)ご出身ではない方が、はじめての契約審査においてオススメする書籍
  1. 田中豊『法律文書作成の基本(第2版)』(日本評論社、2019年)
  2. 出澤総合法律事務所『実践!!契約書審査の実務〈改訂版〉』(学陽書房、2019年)
  3. 近藤圭介『業務委託契約書作成のポイント〈第2版〉』(中央経済社、2022年)

Q3:英文契約審査にはじめて従事する方へオススメする書籍

あなたが、はじめて契約書審査を担当するメンバーにオススメしたい「英文契約をレビューするにあたって参考にすべき本」を最大2つまでお知らせください。

最後に、英文契約書の審査時に参考にしてほしい書籍を伺いました。

英文契約は、そもそも全法務パーソンが必ず経験する業務というわけではないため、上記2つの設問に比べて回答数が相対的に少ない結果となりました。選ばれた書籍も10年程度前に出版された書籍やその改訂版に票が集まり、やや「定番」が固定化している状態に思われました。

No.
『英文契約書の書き方〈第3版〉』
書籍情報

著者:山本孝夫
タイトル:『英文契約書の書き方〈第3版〉
発行:2019年11月
出版:日本経済新聞出版

No.
『改訂 英文契約書の基本表現―契約書が楽に読めるようになる』
書籍情報

著者:牧野 和夫
タイトル:『英文契約書の基本表現―契約書が楽に読めるようになる
発行:2022年11月
出版:日本加除出版

No.
『英文契約書の法実務-ドラフティング技法と解説』
書籍情報

著者:杉浦 保友、菅原 貴与志、松嶋 隆弘
タイトル:『英文契約書の法実務-ドラフティング技法と解説
発行:2012年10月
出版:三協法規出版

※なおこちらの書籍は、新品での販売が終了している可能性があります。ご注意ください。

〈番外〉現役法務パーソンがオススメする書籍

最後に、新進気鋭の現役法務パーソンに、それぞれの経歴に照らして、キャリアの初期に役に立ったり影響を受けた書籍を1冊、選定して頂きました。

法務キャリアスタート時に役立った書籍
『ここからはじめる企業法務――未来をかたちにするマインドセット』

書籍情報

著者:登島 和弘
タイトル:『ここからはじめる企業法務――未来をかたちにするマインドセット
発行:2021年10月
出版:英治出版

推薦者:飯田裕子氏
飯田 裕子

法務を始めたての頃に出会って良かった一冊です。契約や相談等手元の業務をこなす前に、法務がビジネスの中でどういった価値を出すべきか、法務という「1人のビジネスパーソン」としてどういったマインドで会社に貢献していくべきかが分かります。

法務になってすぐはとにかく法律知識のインプットを優先していたのですが、「知識を使って、最終的にどういった価値を生み出すか」という目線をこの本で得られたことで、結果としてインプットの質も高まりました。
会話形式で進んでいくので、サラッと読めるのもおすすめポイントです!

法律事務所→インハウスへの転職時に役立った書籍
『人を動かす』

書籍情報

著者:デール カーネギー
タイトル:『人を動かす
発行:1999年10月
出版:創元社

推薦者:西村俊輝氏(ご経歴はこちらを参照)
西村 俊輝

法律系書籍でなくてお恥ずかしく、また著名な本でありきたりかとは思いますが、こちら挙げさせて頂きます。

法律事務所では来た球を来た方向に打ち返せばよいという感覚でしたが、インハウスになって来た球を適切にキャッチしつつどこに打ち返すかもどう打ち返すかと一緒に考えないといけないことが一番変化を感じたことの一つでした。

本書は、読めば当たり前と感じることも多いですが、当たり前のことが馬鹿にならないことや、視界が相手に向きがちなときに自分自身も顧みる視点を思い出させてくれ、特に組織で動く際に思考を整理してくれる気がします。

弁護士キャリアのスタートに影響を受けた書籍
僕は君たちに武器を配りたい

書籍情報

著者:瀧本 哲史
タイトル:『僕は君たちに武器を配りたい
発行:2011年9月
出版:講談社

推薦者:酒井智也氏
酒井 智也

修習時代に読んで、強烈に印象に残っています。
これまでの弁護士の延長でキャリアを考えるのではなく、ここからは新しい弁護士像を自分で考えていく必要があると焦燥感にかられた記憶があります。

具体的には、新人から営業活動をしようとか色んな場所に出向くなど、弁護士としても一ビジネスパーソンとして、新しい価値を作り出す人間にならなければいけないと感じました。Hubbleを始めようとすることの原点にはこの本がある気がしています!

まとめ

この記事のまとめ
  • 現役法務パーソンが、テーマ別にビギナー法務の皆様にオススメしたい書籍
    • 企業法務全般
      • 『企業法務入門テキスト―ありのままの法務』
      • 『実務がわかるハンドブック企業法務[改訂第3版]』
      • 『スキルアップのための企業法務のセオリー実務の基礎とルールを学ぶ 第2版』
      • 『まずはここから!ベーシックな事例で学ぶ企業法務の仕事』
      • 『ストーリーでわかる!法務部の仕事12か月』
    • 契約審査全般
      • 『契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版』
      • 『契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本 第2版』
      • 『民法改正対応 取引基本契約書作成・見直しハンドブック』
      • 『法律文書作成の基本(第2版)』
      • 『実践!!契約書審査の実務〈改訂版〉』
      • 『業務委託契約書作成のポイント〈第2版〉』
    • 英文契約審査全般
      • 『英文契約書の書き方〈第3版〉』
      • 『改訂 英文契約書の基本表現―契約書が楽に読めるようになる』
      • 『英文契約書の法実務-ドラフティング技法と解説』
    • その他現役法務パーソンオススメ書籍
      • 『ここからはじめる企業法務――未来をかたちにするマインドセット』
      • 『人を動かす』
      • 『僕は君たちに武器を配りたい』

(本記事の掲載内容は、2023年4月時点の情報に基づいて作成されています。)

その他の現役法務パーソンのオススメ書籍・記事企画はこちら!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる