本記事でわかること
Over view
- 契約書業務における定量的なデータ取得の意義
- 契約書業務における定量的なデータ取得の望ましい方法
- Hubbleドキュメントリストで取得する具体的な定量的データ
はじめに
みなさん、こんにちは!
当社が運営する法務の生産性を高めるメディア「Legal Ops Lab」(以下、LOL)の以下の記事で、法務業務においてトラッキングしておきたい7つの指標をご紹介しました。
今回はこの記事でご紹介した考え方をベースにしつつ、Hubbleドキュメントリストを活用したデータの具体的な取得方法について、まとめていきます。
契約業務における定量的なデータ取得の意義
さて、改めて、契約業務においてデータを取得することの意義はどこにあるのでしょうか?
前提として、取得したデータの絶対値には、それほど大きな意味はありません。
なぜなら、会社のビジネスモデル(に紐づく契約書の種類)、法務の人数、各法務のメンバーの経験値などによって、そのデータの持つ意味、つまり評価が変わってくるからです。
しかし、それはデータを取得することに意味がないということにはなりません。そのデータを時間軸やメンバー別の切り口で比較することによって、その数字を、少なくとも自分達の社内で評価することができるようになり、これが法務(組織)や会社の状態を把握することの一助になるからです。つまり組織のボトルネックになっているポイントが見えるようになること、これが契約業務におけるデータ取得の意義です。
データ取得の具体的方法
データ取得はなるべく日常業務の中で
前述の通り、データの取得はそれ自体がゴールなのではなく、取得してから評価することで初めて意味を持ちます。つまりデータの取得は、組織や個々人の状態把握や評価の下準備でしかありません。
この下準備にどれだけ時間がかけられるでしょうか?いくら上記のような意義があるとはいえ、毎回毎回決められたエクセルのシートにいくつもの情報を手入力するといった作業に時間をかけることに、多くの方々は気が進まないでしょう。組織としても、こうした必ずしも本質的ではない業務に時間をかけすぎることは、生産性の向上にも繋がらず、望ましくないことは明らかです。
このため、データ取得は、システムを活用し、かつ日常の業務をやっているだけで取得し蓄積できているという状態を作れるのが望ましいのです。
Hubbleドキュメントリストでデータを簡単に一覧化
Hubbleでは、日常の契約書業務に際してWordやPDFのファイルなどのドキュメントをHubbleに格納するその結果として、契約書のメタデータや誰が、いつ作業したかといった多くの情報が、自動で蓄積されていきます。この蓄積されたデータを一覧し、自身の絞り込みたい条件によって、台帳ライクに絞り込み・検索を行うことが可能な機能がドキュメントリストです(図1参照)。
ドキュメントリストでは、以下に示すように契約業務に必要なデータを即時に絞り込み、表示させることが可能です。よく使う検索条件はお気に入り登録をしておくと良いでしょう。実際に絞り込んだ結果の件数も、常に画面右下部に表示されます(図2参照)。
ドキュメントリストで取得するオススメの契約業務データ
では、具体的にどういったデータを取得するべきなのでしょうか?
ここでは、前述したLOLの記事で紹介された指標に加えて、契約業務において取得すべきデータを、Hubbleのドキュメントリストで取得する方法とともにご紹介します。
①契約審査依頼・相談件数
法務の「忙しさ」を端的に表す基本となる指標です。評価したい期間に応じて、年間、月間、週間といった単位で計測するのが一般的です。
Hubbleのドキュメントリストでは、自動で依頼があった日(「受付日」)を取得しているため、対象期間を絞ることで、その件数を把握することができます(図3参照)。
一週間以内に受付があった契約書であれば、プリセットのお気に入り検索条件からワンクリックで絞り込み可能です(図4参照)。
②進行中の案件数、メンバーごとの対応件数
今、組織内で、どれくらいの案件が進行中なのかを把握するための指標です。止まってしまっている案件がないか、一部のメンバーに業務が偏ってしまっていないかなど、組織の現在の状況を知るために法務が保有しておくべき基本的なデータと言って良いでしょう。
ドキュメントリストであれば、初期設定項目やオリジナルの項目を組み合わせることで、担当者別やステータス別など様々な切り口で案件数を把握することができます。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
③契約書の初回レビューに要した日数
多くの法務(組織)において、数値目標として設定がしやすいとされているのが、事業部門からレビュー依頼がきてから、何日間でこれに対してレビューを返せたかという指標です(図5参照)。
ドキュメントリストでは、「初回レビュー日数」の項目によって、自動でこの日数を把握することができます(図6参照)。
④契約の締結(保管)件数
いくら契約書を法務がレビューしていても、結局締結に至らないものが多い場合、もしかしたら、契約書を相手方に提出するタイミングや条件交渉の方法を再考する必要があるかもしれません。
こうした会社全体としてのボトルネックを発見できるよう、ドキュメントリストでは、Hubbleに締結後の契約書を格納することで、締結状況の項目が自動で変更され、実際に締結した件数を把握できるようになっています。さらにそのうち、電子契約で締結した件数も把握することができます(図7参照)。
なお、この機能を使えば、締結後の契約書の紙の原本を担当者が保持したままでデータベースに保管されていないこともすぐに把握できます。
⑤契約締結までのリードタイム
契約書は、法務だけのものではなく、企業の売り上げと支出の裏付けになる書面です。ビジネスをよりスピーディーに進めるためにも、それぞれの契約書がどれくらいのタイムスパンで最終版までに至り、締結したかは、会社としても把握しておきたい指標の一つです。
ドキュメントリストには「所要日数」の項目を設けており、ここで受付から最終版の作成までにかかった日数を把握することができます。
まとめ
最後までお読み頂き、ありがとうございます!
今回の記事では、法務、特に契約業務におけるデータの重要性とこれを計測する方法をご紹介しました。
前述した通り、数字を計測すること自体に意味があるのではなく、これを組織としてどのように評価するかが最終的には非常に重要になることは強調してもしすぎることはないでしょう。こういった指標を適切に評価することでメンバーの納得感が上がることにもつながります。
定量的な業務内容の把握に少し抵抗感がある皆様も、ぜひドキュメントリストを活用することで、組織の状態の可視化にチャレンジしてみてください。
本コラムの著者情報
山下 俊(やました しゅん)
株式会社Hubble Cheif Customer Officer
中央大学法科大学院を修了後、日系メーカーにて企業法務業務全般に従事しつつ、業務効率化にも取り組む。2020年1月に1人目のカスタマーサクセスとして入社し、2023年6月より現職。法務メディア「Legal Ops Lab」の編集担当も兼務。近著に『Legal Operationsの実践』(商事法務)がある。