IPビジネスの契約業務基盤を整備!定量データを法務のマネジメントや評価はもちろん経営判断にも活用

株式会社ブシロード様_Hubble活用事例

世界市場でマンガやアニメ、グッズ、ゲームなどへのメディアミックスを行う「IPディベロッパー戦略」を行いながら、「ヴァイスシュヴァルツ」を代表するIPプラットフォーム型トレーディングカードゲームをはじめ、新時代のエンターテイメントを創出している株式会社ブシロード

株式会社ブシロード 経営管理本部 法務部は14子会社による各種IP事業の多角展開に伴う法務業務を一手に担う中、属人化を排し、事業部門や弁護士と連携しながら情報やナレッジを活用できる仕組みを構築しました。

スピードが求められるIPビジネスに対応するための契約業務基盤とは。同社同部法務チーム チームリーダー 真中 梨紗 氏及び同チーム伊吹 尭也 氏に、子会社への公平な費用配賦も実現した定量データの活用や法務マネジメントの工夫についてもお伺いしました。(取材時:2025年3月)

本記事のポイント

Over view

  • 同社の経営管理本部 法務部 法務チームの概要
    • 人数:3名
    • 契約書依頼件数:約200件/月
  • 導入前の課題
    • 組織変更により属人化していた情報やナレッジが喪失し、ビジネスの遅延にもつながるリスクが顕在化
    • 過去の対応履歴や判断基準を共有・活用しにくい環境であったことから、採用や育成、弁護士への対応が非効率になり法務リソースを逼迫
    • 事業拡大により一人当たりの担当案件数が増加し、記憶に頼ったマネジメントが困難に
    • ビジネスを進める事業部門も含め、会社の情報資産を守りながら全体の生産性を向上させていく仕組み化が急務
  • Hubbleの利用範囲・利用文書類型
    • 全社
    • 契約書及び雛形(注文書・注文請書も今後対応予定)
  • 導入後の効果
    • 法務だけでなく、事業部門や弁護士も含めた、法務による権限管理を前提としたナレッジマネジメントを実現し、意思決定基盤が強固に
    • 担当案件数、難易度や進捗状況を迅速に把握し、対応漏れの防止と業務スピードを向上
    • IPビジネス特有のスピードに対応できるオンボーディング体制の構築マネジメントの効率化
    • 子会社や事業部門毎の案件数や傾向を定量データとして把握・分析し、子会社や事業部門への公平な費用配賦を実現

 相互に内容の整合性を保ちながら、スピード感をもって多様なステークホルダーと複層的に契約を締結して進めるIPビジネス

本日は宜しくお願いいたします。早速ですが、貴グループの概要を教えてください。

真中

ブシロードグループは、良質なIP(Intellectual Property:知的財産)を開発・取得・発展するIPディベロッパーとしてIP事業の多角展開を特長としています。具体的には、グループ内で原作IPの創出からマンガやアニメ、グッズ、ゲーム、コミックス、ライブイベントなどへのメディアミックスを行い、イベントやSNSなどを駆使したグループ全体でのプロモーションによってIPを広く認知していただく「IPディベロッパー戦略」をとっています。

事業はエンターテイメント事業の他、スポーツ事業も展開しているなど、多角的な部門をグループ内に有することによって、ワンストップかつスピーディーなメディアミックス展開を実行できるビジネスモデルとなっています。

株式会社ブシロード 経営管理本部 法務部 法務チーム チームリーダー 真中 梨紗 様

次に、貴社経営管理本部 法務部 法務チームの概要や特徴を教えてください。

真中

経営管理本部 法務部は、管理部門の取締役を務める部長の他、法務チームのチームリーダーである私と2名のメンバーで構成されています。業務範囲としては、契約書審査や法務相談に加え、商標・特許の対応や調査、取締役会・株主総会等の会議体の運営事務局、社内研修から労務相談やM&Aまで対応しており、14子会社の法務機能も担っています。
このように、事業展開の幅も広く、子会社数やライセンス数も多いことから、顧問弁護士事務所の弁護士の先生に駐在してもらい、常時ご協力を得ております。非常に多岐にわたる業務範囲となっておりますが、事業や子会社などによる担当制はあえて設けず、メンバー全員がオールラウンドに対応ができるように、チームビルディングをしています。

契約書件数が多いだけでなく、業務範囲も非常に広い中で、3名でご対応されていることに驚きました。法務部門が非常に信頼されていらっしゃる証左ですね。

伊吹

法務部としても、努めて相談しやすい部署であるというアピールをしています。企業風土として新しい挑戦を推奨しているのですが、企業として安全に事業を進めるためにも、法務に気軽に相談してもらうように、例えば社内研修などでも接しやすい話し方や資料作りを意識しています。
また、私たち法務が事業の理解を深めるために、事業部門の担当者とのコミュニケーションをとるだけでなく、全社向けのSlackチャンネル等で新しいビジネスやスキームでの契約になりそうかなど、アンテナを立てて伴走できる準備をしています。さらに、例えばイベントや試合であれば実際に足を運び、商品であれば手に取り、契約が実際のビジネスでどのように使われているのか、現場感覚や事業理解を深める努力をしています。

株式会社ブシロード 経営管理本部 法務部 法務チーム 伊吹 尭也 様

続いて、契約書審査依頼の件数と、貴社のビジネスモデルの特性上、特に多い契約類型や審査業務の特殊性を教えてください。

伊吹

月間で平均200件程度の案件を受けています。IPビジネスを展開しているため、やはりライセンス関連の契約書が多いです。ライセンス関連の契約書の中では、ライセンスインとライセンスアウトの両方を扱います。また、最近は出版関係の契約書も増えています。
もっとも、プロレスや音楽ライブを行う会社、グッズを製造する会社、アニメに携わる会社など、各子会社において展開している事業は多岐にわたりますので、それに伴い多種多様な類型の契約書を審査しています。また、革新的な事業展開も推進していますので、前例のないスキームの契約書作成が必要になることもあり、常に幅広い範囲の契約書を扱っています。

例えば、一つのコンテンツを制作する際に、具体的にはどのような契約書をどのような関係者とどれくらい締結していくものなのでしょうか?

真中

コンテンツの規模にもよりますが、例えばゲーム制作を行う場合、開発会社との開発委託契約書を締結する他、シナリオ制作、キャラクターデザイン、楽曲制作や全体のプロデュースを委託する各クリエイターとそれぞれ業務委託契約書を締結します。
さらに、当社に権利がないIPを利用する場合はライセンサーとのライセンス契約を締結する必要も生じます。この場合、特に開発委託契約書は権利の持ち方や対価支払方法をはじめ、その内容が複雑になりがちです。

大規模なコンテンツ制作において制作委員会の主幹事となる場合には、さらに複数の関係者と多数の契約書の整合性を持たせながら作成・審査する必要があるので、一層案件が複雑化することになります。

コンテンツ制作一つをとっても、それだけ多種多様なステークホルダーと複数の契約書を締結しながら進める必要があるのですね。また、貴社の場合、新しいビジネスや革新的な事業が頻繁に展開されておりますので、法務業務もダイナミックな変化を経験されているのではないでしょうか?

真中

そうですね。私が当社に入社した2018年当時と比べ、取引量自体が倍以上になっています。特に、ダイナミックな変化としては、もともと当社はTCG(トレーディングカードゲーム)の制作・販売を中心に各種コンテンツプロデュース業務を行う会社として設立されましたが、コロナ禍でカードゲームのリアルの対戦やリアルライブ等が激減し、事業に大きな打撃がありました。
その一方で、動画配信市場が急速に広がり、海外における日本のアニメの流行に拍車がかかったことにより動画配信事業や海外展開事業が好転し、特に中国でのグッズ販売市場を一気に開拓するなど、MD(Merchandising)部門は想像を超える成長を果たしました。最近では事業シナジーや今後の製造や物流の確保を視野に入れて、海外の協業パートナーとの契約や企業との合弁会社設立を含めたM&Aが盛んに行われるようになっていることで、海外取引に関する契約やM&Aなどの複雑な案件が増加しています。

組織変更後も情報やナレッジを残す環境整備を進める中で「これしかない!」と感じたHubble

そのような業務環境の中で、Hubble導入前はどのような課題がありましたか?

伊吹

最大の課題は、情報やナレッジの属人化です。
Hubble導入以前は、法務部のメンバーが法務部長を入れて7名在籍していました。契約書の審査依頼や対応を全てメールで行っていたのですが、事業部門からの依頼方法が統一化されていなかったため、グループアドレスに依頼が来ることもあれば個人アドレスに直接依頼が来ることもありました。個人アドレスに直接依頼が来たものはそのままその個人が案件を担当し、グループアドレスに依頼が来た案件は当時の法務部部長が案件をアサインし、アサイン後の事業部門のコミュニケーションは担当者とメールのccに入っている者しか見ることができないという運用でしたので、法務部のメンバー間で、誰がどのような案件をどれくらい担当しているのか、把握することができない状態でした。
また、コミュニケーションだけでなく、契約書のバージョン管理もナレッジマネジメントも、法務部の共有サーバー内の個人フォルダの中で担当者個人のルールに従い行われていたため、法務部としてのナレッジが分散してしまい、組織全体で過去の対応履歴や判断基準を共有・活用しにくい構造になっていました。

そのような中で、どのような問題が生じたのでしょうか?

伊吹

2つの問題が生じました。
1つ目の問題は、退職を含め組織の変更が生じた際に、残されたメンバーが案件の背景や経緯を把握することが難しく、案件情報が喪失するリスクが顕在化したことです。例えば、メールの宛先やccに入っていなかった場合には、案件の情報を把握することができませんでした。また、担当案件が個人のメールやフォルダ内でのみ行われており、法務共有サーバーでのフォルダやファイルの管理ルールも不統一で、契約書ファイル名での検索をしても情報までたどり着けないこともありました。さらに、バージョン管理もしている人もいればしていない人もいて、審査の経緯をたどれず、締結版だけを見ても判断の背景がわからないという状況も生じました。
2つ目の問題は、採用や育成への対応が非効率で法務リソースを逼迫する状態となったことです。人員が限られている中で、中途メンバーをオンボーディングし、あるいは弁護士の駐在の準備を進める際に、過去案件の履歴にすぐにアクセスできる環境がなかったために、教育や準備に時間を要していました

案件の引継ぎがうまくできないと、事業部門のビジネススピードにも影響がありますよね。

真中

そうですね。メンバー単位でも案件情報の整理が難しかったので、それを俯瞰してマネジメントするのは不可能でした。そのため、属人的な運用から脱却し、業務を可視化して、個人・チーム双方で管理できる体制の整備が急務であると痛感しました。

その仕組みは、法務だけでなくビジネスを進める事業部門も含め、会社の情報資産全体を守りながら全社の生産性を向上させていくものであることが重要だと考えていました。

そうした背景でシステム導入を検討し始めたのですね。

真中

そうなんです。こうした組織変更に加えて、事業拡大により一人当たりの担当案件数も増加し、記憶に頼ってのマネジメントが難しくなった時期でもありましたので、私が法務チームのリーダーとなってから、すぐに契約情報を一元的に管理するシステムを探し始めました。

Hubble導入の決め手を教えてください。

伊吹

Hubbleはまさに「人に依存しない仕組みづくり」と「ナレッジを失わない環境整備」を同時に実現できると感じた点です。具体的には、SlackやDocuSignなど、当社の既存システムと連携できたため、既存の業務フローに自然に組み込んだうえで、依頼から締結後の管理まで一気通貫で自然と情報やナレッジを貯めていくことができ、当社の抱えていた課題を解決できるシステムでした。

ありがとうございます。Hubbleの第一印象を覚えていればぜひ教えてください。

真中

ドキュメントリストを見た瞬間に、「これしかない!」と思いました。特に、UIが非常に優れており、カスタマイズ性の高さが非常に魅力的でしたね。

マネジメントの視点からは、事業部門からの依頼を受けた後、契約種別や自社雛形か、新規ドラフティングか、他社雛形か等の情報を整理することで、案件の難易度を可視化することができ、担当者に案件をアサインするイメージがすぐに湧きました

非常に嬉しいです。Hubble導入はどのように進められたのでしょうか?

真中

当時は法務部が減員したタイミングだったため、情報の一元管理のためのシステムの必要性を経営層に理解してもらうことに苦労はありませんでした。また、従来から事業部門が利用していたSlackを活用した業務フローを組めたことで、事業部門もHubble導入に対して協力的でした。

事業部門への展開において工夫されたことはありますか?

伊吹

システム導入のような大規模な仕組みの導入は、事業部門側の作業を極力簡略化して地道にやり方の説明を繰り返すことが大事だと考えていたため、導入の初期は必要最小限の使い方だけを案内し、少しずつ定着と最適化を進めていった点です。

使っているうちに、ファイル名に管理番号を振ったり、年度や取引先毎にフォルダを作成したり、部署それぞれの使い方を工夫してくれています。特に使い方の案内をしていないのですが、Hubbleの指定箇所コメントを事業部門側で活用しているなど、現在では、会社全体にHubbleが浸透しています

弁護士ナレッジを含め会社の情報資産が自然に溜まる仕組みにより、マネジメント体制と意思決定基盤が強固に

改めて、現在Hubbleをどのように利用しているのか教えてください。

伊吹

法務部員だけでなく事業部門も含め、会社全体で活用しています。また、駐在して法務部員として業務をしてもらっている顧問弁護士事務所の弁護士にIDを付与してHubbleで業務を行ってもらっています。

Hubble導入後はどのような変化がありましたか?

真中

一番大きな変化は、案件の「見える化」と「効率化」が両立できたことです。

案件数が多く、法務の人数が限られている中で、メールベースでは依頼の見落としが発生しやすかったのですが、Hubble導入後はドキュメントリストを活用して一覧での管理が可能になったことで未対応の案件を迅速に把握できるようになり、対応漏れがなくなりました。
また、Microsoft  Wordの校閲機能による変更履歴が残っていない契約書でもバージョン管理機能で差分が可視化されるので、チェック作業の効率も格段に向上しました。
何より嬉しかったのは、部署横断のプロジェクトに関する契約に関して意思決定がスムーズに進むようになったことです。誰がどの情報にアクセスすべきかを柔軟に調整できるので、案件の背景や経緯等の情報と契約書を紐づけて共有しながら、関係者全員が共通認識をもってコミュニケーションができるようになりました。

まさに、最大の課題であった情報やナレッジの属人化を解消し、仕組みの中で情報が共有されるようになったのですね。

真中

おっしゃる通りです。事業部門に対しても、類似の相談や依頼が来た際に、HubbleのURLを共有するだけで過去の案件を共有できるようになったので、情報の共有とナレッジマネジメントの効率が大幅に向上しています。法務部も事業部門も担当者が休んだり、引継ぎが必要になったりしても、その時点に生じた全ての情報と履歴を関係者にスムーズに引き継がれるようになり、今後組織体制の変更があっても会社の情報資産が失われない環境が実現しました。

ありがとうございます。まさに「人に依存しない仕組みづくり」と「ナレッジを失わない環境整備」を同時に実現されていますね。

伊吹

法務の新メンバーに対する教育やオンボーディングの観点でも非常に役に立っています。Hubble上のドキュメントには変更履歴と紐づく形で当時の法務担当者と事業部門とのコミュニケーション履歴が残っているため、法務としての判断の背景を確認しやすく、結果として新メンバーの立ち上がりスピードも上がりましたね。

新人の方はどのようにHubbleを活用いただいているのでしょうか?

真中

各メンバーには自分の考えとその根拠を積極的に話してもらうことで、自分で考えてアウトプットするというトレーニングをしながら、法務部全体としては法務部の思考・意識の平均化を図っています。そのため、新しくご入社された方もアサインされた案件について、まず同種類型の過去案件をHubbleで検索して参照し、自分で考え、判断をしてみた上で、先輩からのフィードバックをもらうことによる実践型のオンボーディングを実施しています。
Hubble導入前は審査の履歴や内容、ナレッジは各人が個人フォルダで管理していたため、他の方の審査ナレッジを見ることが難しかったこともあり、例えば、特殊な判断をしたケースを参照してしまうと、判断時の特殊性を次の契約書でも引きずってしまうことがありました。
これに対して、Hubble導入後は同類案件や契約文言、コメント等を多角的に検索した上で、さらに審査やコミュニケーションの過程まで見ることができるので、判断時の特殊性の有無を把握し、原則的な対応と特殊ケースにおける例外対応のそれぞれの内容とその判断の背景まで理解してもらうことができるようになっています。

伊吹

法務コメント機能も非常に便利です。法務内で相談したい場合には案件そのものや経緯を共有しながら相談できることに加え、特に、新人のオンボーディングにおいてはなくてはならない機能になりました。例えば、新卒の方や法務未経験の方に対して、事業部門の方に返信するための文案も法務内で議論してからコメント返信することができるなど、事業部門の方には教育的コメントは見せずに教育的コミュニケーションをすることができています。

属人的だった情報やナレッジが残るだけでなく、Hubbleの機能によりその活用が促進されているのだろうと感じます。

伊吹

まさにその通りです。ナレッジマネジメントの観点では、駐在弁護士の先生方にも、弁護士特有の審査ではなく社内法務としての判断や審査ができるようにHubbleで社内の議論や過去の判断を参照いただくなど社内ナレッジを活用いただいています。逆に私たちも弁護士ナレッジは日々参照しており、非常に勉強になっています。

自社の弁護士ナレッジが自社のデータベースに溜まって、業務水準が上がっていく環境は、個人の成長にとっても大きな意義がありますね。駐在の弁護士の先生方からHubbleについてご感想など頂いていますでしょうか?

伊吹

駐在先生をハブとしてアソシエイトの先生方にもHubbleのIDを発行して社内法務同様のご対応をいただけるようにしていますが、ドキュメントリストでの担当案件の管理や相手方から戻った契約書や事業部門担当者とのコミュニケーションがしやすく、「事務所で導入したいくらい便利」とおっしゃっています。

とても嬉しいお言葉です。ナレッジマネジメントの他、真中様がマネジメントをされる中で利便性を感じていることがあれば教えてください。

真中

人員のアサイン計画やメンバーマネジメントにも役立っています。Hubble導入以前は、メールの本文を読んでから、添付資料をダウンロードして内容を確認しなければ案件の難易度がわからなかったのですが、Hubble導入後は契約書を主軸としつつ、付随してコメントや詳細情報が一覧で把握できるので、難易度を判断してアサインするまでのスピードが格段に上がりました。
さらに、例えば、担当者がどれくらいの案件数を担当しているのかを確認してアサイン数を調整できますし、ドキュメントリストのステータスでメンバーが対応中か、滞留しているか、事業部の手元にわたったか、3段階で確認できるようにしていますので、滞留している案件も一目で、最終更新期日から把握できるのでフォローにも活用しています。法務の評価は定量面だけではありませんが、どのような案件をどれくらい担当したのかは、1on1や評価フィードバックでも考慮に入れています。

貴社ではドキュメントリストをフル活用して定量データに基づく業務を行われていることがよくわかります。ドキュメントリストではどのような項目を管理されていますか?

伊吹

自動で取得する項目としては50項目ほどありますが、常時利用するものとしては、管理番号、受付期日、契約種別、特記事項、担当者、最終更新日などの10項目ほどです。誰も担当していない案件があるかどうかを確認するために、担当者項目が空欄になっていないかをチェックしています。

真中

直近のアップデートでは、ドキュメントリストのお気に入り登録や検索プリセットを並び変えられるようになって非常に便利でしたね!

伊吹

お気に入りのカスタマイズはメンバーそれぞれ各人でカスタマイズしていますよね。やはりドキュメントリストは各人が最初に確認したい項目が異なります。真中はメンバーマネジメントの観点で活用できる項目が最初に見たい部分である一方、私は一メンバーとして、案件漏れを防ぐために担当者欄が空欄になっている案件を最初に確認したいので、従来はどの項目の順番で並べるのかメンバー間での譲り合いがありましたが、各人の画面でそれぞれお気に入り登録できるようになったのはとても嬉しかったです。

機能アップデートもお喜びいただけて非常に嬉しいです。

真中

Wordファイルの上にPDFファイルをアップロードできる機能がリリースされた時もとても嬉しかったです。契約書のやり取りの中で、ドキュメントの形式が安定しない相手方が一定いるのですが、そうした相手方との契約交渉の履歴も追えるようになりました。

伊吹

最近ではMicrosoft Excelにも対応できるようになっていますよね。利便性は感じつつも、個人的にはExcel契約書をなくしていきたいので、複雑な気持ちです(笑)。

子会社や事業部門毎の案件数や傾向を定量データとして把握・分析し、14子会社の費用配賦の公平化も実現

事業部門との関係における変化についても詳しく教えてください。

真中

特にSlack連携は、事業部門とのやりとりを大きく変えてくれました。メールではなくチャット上で気軽に依頼できることで、法務への心理的ハードルが下がり、相談が入りやすくなったと感じていますし、法務としてもHubbleのSlack審査依頼フォームで相手方名、所属部署、取引金額、納期や案件の概要等、事前に確認したい情報を明確に指定できるため、初動対応が早くなりました。少人数だからこそ、最初から必要な情報が漏れなく集まる環境は、その後の業務フローにも大きなメリットがあると感じています。契約書の雛形も最新版が常に登録されており、事業部門がそれを呼び出して依頼できるので、古いバージョンが誤って使われることもなくなり、全体の品質も安定しました。

伊吹

出版や音楽等を扱う部署では、下請法やフリーランス新法等の対応のため、契約締結や更新の抜け漏れ防止のため契約手続の進行管理を行う担当者を配置しておりますが、そのような部署においては特に、Hubbleでのやり取りを通じて担当者の知見が高まっています。法務では、審査依頼を受けた後、通常、担当者に審査に必要な追加情報をヒアリングするのですが、何度かやり取りを繰り返すうちに、先んじて、担当者がプロジェクト企画資料などの取引背景を添付資料に格納して「このプロジェクトのこの部分の契約書なのですが、プロジェクト全体の企画については添付資料に入っているのでご確認ください」と事前に情報を提供してくれたり、類似の契約書を検索して該当のURLをコメントで記載してから依頼してくれたりするようになりました。

真中

先回りして情報提供をすると、法務の審査スピードが上がると感じているようです。法務としても何を考えないといけないかに注力できる環境となり、法務部門でも事業部門でもメリットを感じます。

少数精鋭の法務チームにとっては事業部門との連携は非常に重要ですね。会社としての効果があれば教えてください。

真中

Hubble導入後、子会社や事業部門毎の案件数や傾向を定量データとして把握できるようになったため、子会社ごとの管理費用負担割合の算出といった経営判断にも活用できる基盤として、非常に役立っています。

これまで法務の人員コストを子会社や事業部門に振り分ける際の基準が明確でない点がありましたが、Hubble導入後は、子会社各社からの契約書審査依頼の量や種別をドキュメントリストから定量データを取得して可視化した上で、費用配賦を公平化することができました。この仕組みにより、費用配賦の額が値上がりする場合にその理由を数字で説明でき、納得感をもってご理解いただけるようになりました。

最後に今後の貴社の展望を教えてください。

真中

当社は挑戦を推奨する文化を重視していますので、法務部のミッションは、事業部門の「挑戦を止める法務」ではなく、「挑戦を前に進める法務」であることです。事業がスピード感をもって拡大・進化し続ける中で、「安全であること」と「挑戦できること」を、どちらも諦めないスタンスを大切にするためには、法務は事業スピードと同じかそれ以上のスピードで進化していかなければ、価値を発揮できません。
少人数だからこそ、メンバー一人ひとりが成長し続けることに加え、限られたリソースを効率化し、より付加価値の高い業務に集中させることが重要です。個人の強みを活かし安心して成長できる組織づくりをしながら、今後も、仕組みで解決できることは仕組みに任せ、業務効率を最大化し、より戦略的・経営的な課題に思考を割ける法務組織を目指していきたいと考えています。

伊吹

Hubble導入により事業部門がどのように法務に相談や依頼をしたらよいのか、業務フローを整備することができました。事業部門が事業に専念する中で、契約業務はある種「横道にそれる作業」と捉えられることもあるからこそ、なるべくその契約審査依頼や相談の手続を標準化・定型化して事業部門が悩まないような、自然な仕組みの中で全体のリテラシーを上げていきたいと考えています。

本日はお忙しい中、素敵なお話をありがとうございました!

会社概要(2025年6月現在)

Company Profile

会社名 株式会社ブシロード
所在地 東京都中野区中央1丁目38-1 住友中野坂上ビル
設立 平成19年5月18日
代表者 代表取締役社長 木谷高明
事業内容 TCG・デジタルゲーム・MDの企画・開発・発売/マンガ・アニメの企画・制作・プロデュース業務/広告代理店業務、声優事務所の運営/音楽コンテンツ・プロレス興行の企画・制作
URLhttps://bushiroad.co.jp/ 

より詳しいお話をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
Hubbleの詳細についての資料も、こちらよりダウンロードできます。

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