【徹底解説】リーガルオペレーションズとは?

この記事でわかること
  • Legal Operations/リーガルオペレーションズの定義
  • 日米間におけるリーガルオペレーションズの構成要素の違い
  • 日本の法務におけるリーガルオペレーションズに対する向き合い方
目次

はじめに

みなさん、こんにちは!
本メディアの名前にも含まれている「Legal Operations/リーガルオペレーションズ」という言葉を、皆さんは耳にしたことがあるでしょうか?

本記事では、法務業務の改善に非常に役立つ示唆を与えてくれるリーガルオペレーションズについて、基礎から解説していきます。

リーガルオペレーションズとは

“Legal operations” (or legal ops) describes a set of business processes, activities, and the professionals who enable legal departments to serve their clients more effectively by applying business and technical practices to the delivery of legal services.

https://cloc.org/what-is-legal-operations/

リーガルオペレーションズ(英:Legal operations, Legal ops)とは、法務部門が(社内の)クライアントに対して、より効率的に法務サービスを提供するための仕組み・活動、専門家のことです。言い換えると、法務の中核的業務である法的評価や判断以外の全てのアクションを包含する概念といえます。

リーガルオペレーションズの構成要素

上記の定義は、非常に漠としており、まだ具体的なイメージが掴めないかもしれません。Legal Operationsは、具体的にどういった要素を含むのでしょうか?
以下では、日米を比較しつつ、その構成要素をまとめていきます。

米国におけるLegal Operations

まず、Legal Operationsの本家、米国のCLOC(The Corporate Legal Operations Consortium)が「CORE 12」として、以下の12の要素を定義しています。

CLOCのウェブサイトより引用
  • Business Intelligence
  • Financial Management
  • Firm & Vendor Management
  • Information Governance
  • Knowledge Management
  • Organization Optimization & Health
  • Practice Operations
  • Project/Program Management
  • Service Delivery Models
  • Strategic Planning
  • Technology
  • Training & Development

同じく、ACC(Assosiation of Corporate Counsel)も14の要素を示していますが、中に含まれている用語は、いずれも少し日本の法務の実務からするとイメージがしにくい要素が多いかもしれません。

なお、商事法務ポータルの連載企画「Legal Operationsの実践」では、上記のCORE12をベースに、各企業がどのような取り組みをしているか、具体例を交えて解説されているのでおすすめです。連載は2022年7月から約1年間にわたり、全24回が予定されています。

日本におけるリーガルオペレーションズ

日本でもLegal Operationsに関する取り組みが、2022年から本格化してきています。
上記のCLOCが提示するCOREからも分かるとおり、日本における法務業務の性質な内容は必ずしも米国とは同じではありません。これを踏まえ、日本版リーガルオペレーションズ研究会は、上記のCORE12を日本に適合するように引き直した「日本版リーガルオペレーションズCORE8」を発表しています。

「CORE8」と名のつく通り、CORE12に存在していたBusiness IntelligenceやInformation Governanceといった項目が削られるなど、日本版はややコンパクトに、以下の8つの要素で構成されています。

日本版リーガルオペレーションズのCORE8(図はHubble社にて作成)

日本の法務のリーガルオペレーションズに対する向き合い方

なぜ今、リーガルオペレーションズが必要なのか?

従来より日本において、一般に法務は(その資格の有無を問わず)専門性の高い職種と位置付けられていました。その反面でチームで活動することは必ずしも重視されず、職人肌で属人的な業務遂行でよしとされてきたきらいがあります。

しかし、時代は少しずつ変わってきています。
法令遵守やコンプライアンスへの意識の高まりから、2000年代後半に、法務組織を配置する企業が増えました(※1)。そして、そこで取り扱う案件は、国際的であったり、まだ誰も検討したことのないようなビジネスモデルだったりと複雑さを増しており、仮に有資格者であっても一人で全てを適切に対処することは難しくなりつつあります。

更に、2010年代には法務人材の流動性が上がってきており(※2)、個々人の属人的なスキルだけに頼った法務組織運営は限界に近づいてきています。そういった中で、決定的な出来事となったのが、COVID-19の蔓延でした。勤務場所や時間などが多様な働き方の中でも、チームで協力して結果を出すために、しっかりとしたオペレーションを構築し、業務効率化を試みる必要性が高まりました

(※1)米田憲市 編、経営法友会 法務部門実態調査委員会 著『会社法務部〔第12次〕実態調査の分析報告』(商事法務、2022年)P2,3
(※2)米田憲市 編、経営法友会 法務部門実態調査委員会 著『会社法務部〔第12次〕実態調査の分析報告』(商事法務、2022年)P30,57

小規模法務でもリーガルオペレーションズの考え方は必須

確かに2022年現在の日本で、今リーガルオペレーションズに取り組めている企業は、ごく一部の大企業だけです。もっとも、小規模の組織でリーガルオペレーションズが不要かと言われると、先ほどのCORE8に照らしてみた時、不要な項目はむしろほとんどないのではないでしょうか。

そもそも、以下のインタビューでも言及がある通り、Legal Operationsを生み出したのも米国のITベンチャーとされています。オペレーションを研ぎ澄ますことに意義を見出せる小規模法務のみなさまであれば、今後控える法務メンバーの増員や組織化といった変化に耐えるために、(仮に専属の担当者を置くことができなくても)早期からオペレーションを先回りして整えておくことも十分考えられますし、それが法務の競争力につながり得るでしょう。

まとめ

この記事でわかること
  • Legal Operations/リーガルオペレーションズの定義
    • 法務部門が(社内の)クライアントに対して、より効率的に法務サービスを提供するための仕組み・活動、専門家を指す
  • 日米間におけるリーガルオペレーションズの構成要素の違い
    • それぞれの実務に沿った形で、米国では主に12個、日本では8個のCOREが紹介されている
  • 日本の法務におけるリーガルオペレーションズに対する向き合い方
    • 案件の複雑化や人材の流動性の高まり、多様な働き方のメンバーと協力して成果を出すためには、リーガルオペレーションズの考慮は必ず必要
    • その必要性は、企業規模に関わらない
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