もう失敗しない! リーガルテック導入の手順とポイント

この記事でわかること
  • リーガルテックサービスを導入すべきかどうかの最初のステップ
  • 法務によくある課題の例
  • リーガルテック選定時のポイント
目次

はじめに

デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速するなか、電子契約やAIレビューシステムなど、リーガルテック(Legal Tech)の普及も本格化しています。一方で、リーガルテックを導入してみたものの、思いどおりの効果が得られなかったり、うまく活用できなかったりなどが理由で、解約や再検討に至るケースも少なくありません。

本記事では、リーガルテック導入に失敗しないために、ツール選定時に考慮しておくべきポイントを解説します。さらに、代表的なリーガルテックサービスを機能ごとにご紹介します。

なお、本記事はLOL編集部のメンバーが作成した以下の記事を参考にリライトしたものとなります。


まず課題を発見する

まず、大前提として押さえておきたいことは、リーガルテックの導入自体はあくまで手段であり、目的にはなりえないということです。何のツールを選定・導入するかということよりも、そもそも何に困っていて、それを解決してどのようなゴールを目指すのかといった「課題」と「目的」を明確に定めなければ、リーガルテックは効果的に機能しません。

そのためにはまず、法務業務の設計図となる「業務フロー図」を作成して現状を可視化することが大切です。それぞれのプロセスごとに何をしているのか一つ一つ整理して業務の詳細を明らかにしたうえで、どこに無駄があるか探していくことで、解決すべき課題を洗い出します。業務量が多いプロセスや定型業務などは、ターゲットになりやすいでしょう。

ただし、たとえば、「法務の業務負荷が大きい」と一口に言っても、それが労働力不足に起因するものなのか、情報の属人化から生じる手間の積み重ねに起因するものなのかによって打つべき対策は異なります。また、ペーパーレス化によるリモートワーク対応、コスト削減、生産性向上といったツール導入の目的によって、その効果の見極め方も変わってくるので注意が必要です。

こうして業務における煩わしさや困りごとの根本的な原因を一歩踏み込んで整理したうえで、それらはリーガルテックによって解決できるものなのか、それらの解決によってどのような状態になることが理想なのか、具体的に検討していきます。

リーガルテックの概要について把握しておくことも大切です。カオスマップなど網羅性の高い一覧表などを使って、どれが自社の課題にフィットしそうか大まかに確認し、気になったものを詳しく調べてみるのもよいでしょう。

法務にありがちな、解決すべき課題の例

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、テレワークやリモートワークへの対応を課題と捉え、電子契約サービスの導入の検討を進めた方も多いのではないでしょうか。

そのほかに法務のご担当者からよく聞く解決したい課題の例としては、下記のようなものが挙げられます。

1. 契約書レビューにかかる日数が、理想よりも多くかかる

法務レビューの日数がかかり、契約書締結までのリードタイムが長期化することがあります。まずは契約書レビューにかかる日数などのデータを見える化し、現状と目標を整理することから始めると良いでしょう。AIレビューやワークフローなどのツール導入を行い、リーガルチェックを効率化することが解決策になりえます。

2. 担当者によるレビュー品質のばらつきを減らしたい

業務の習熟度により、レビューの品質のばらつきが生じてしまうこともあります。AIレビューサービスを用いることで、品質やリスク判定基準のばらつきを最小限に抑えることがよいでしょう。また、各担当者に割り当てる件数の可視化ダブルチェック制度の導入など業務フローの見直しを行うことも必要です。

3. 過去に、別の担当者が作成したドキュメントにアクセスができない・検索できない

多くの会社では共有サーバーに各担当者が重要だと思ったドキュメントやメール履歴を保存するという運用がほとんどかと思います。ただ、担当者ごとに「重要なドキュメント」の感覚にばらつきが存在することから、このルールの下で組織にとって重要な情報を過不足なく集約するのは困難であるのが現実です。

日常の業務と、データベース構築業務を一致させること(日常の業務を見える化すること)で、個人の感覚に依存しない運用方法を設計することが重要です。契約書業務に特化したクラウドストレージを導入することで、高い検索性により、場所を選ばずにさまざまなドキュメントを閲覧することが可能となりますので、導入を検討すると良いでしょう。

リーガルテック導入で変えられること

リーガルテックは、決して万能ではなく、まだまだ発展途上です。
日本のリーガルテックカオスマップ2021」は、現状でリーガルテックがサポート可能な領域を大きく下記の7つに分類しています。

  1. 文書作成・レビュー
  2. 文書・案件管理
  3. 契約締結
  4. 申請・出願
  5. リサーチ・検索ポータル
  6. デューデリ・フォレンジック
  7. 紛争解決・訴訟

いずれにしても、現在のリーガルテックは法務の各業務を全面的に代替するものではなく、あくまで人による業務をサポートするものである、と捉えておくほうがよいでしょう。

リーガルテック選定時のポイント

課題の把握とゴール・目標設定

1.リーガルテック導入の目的を明確化でも説明したとおり、リーガルテックを選ぶ際には、課題の把握とゴール設定をきちんと行うことが何よりも重要です。また、導入後の評価基準として短期的な目標と中・長期的な目標を、大まかでもよいので設定しておくことも必要です。

たとえば、電子契約サービスの導入を検討するのであれば、印紙税や郵送費、保管料など契約に要するコストの削減は短期的な目標の1つとなるでしょう。中・長期的には、業務効率化による生産性向上をどう評価するかという点がポイントになります。

以下では、実際にリーガルテック導入にあたって課題の特定から始めた実例をご紹介しています。

既存の業務フロー・システムとの整合性を確認

自社の既存業務にリーガルテックをどう溶け込ませるかという視点も大切です。導入時には導入コスト・運用コストにどうしても気を取られてしまいがちですが、既存の業務フローやシステム、社内稟議などとの兼ね合い、システム連携・データ連携の方法、ユーザービリティといった面もしっかりと確認しておきましょう。

加えて、企業の情報システムとの兼ね合いにおいては、情報システム部門に早めに情報共有しておくことがおすすめです。導入にあたってセキュリティなどの点でハードルになりえることを早めに把握しておくことで、導入までの行程をスムーズに進めることができます。ここを怠ってしまうと、そもそも課題にピッタリあったリーガルテックでも導入に時間を要したり、せっかくツールを導入したのに現場で活用されないという状況が発生してしまいます。

課題や目的によっては、業務フロー自体の見直しが必要になるケースもあります。例えば、既存のオフィスワーク前提の業務フローを在宅ワークに適合させたい場合には、在宅でも対応できるよう設計された、リーガルテックベンダー側が推奨するフローに業務をあわせていくという視点が求められます。

トライアルを活用し、自社で期待できる成果を検証する

リーガルテックの多くは、無料トライアルの期間を設けています。これを活用して実際にサービスに触れてみることで、説明を受けているだけではわからなかった部分まで具体的にイメージして、自らの期待と現実にそのツールが実現できることとのズレを埋めることも大切です。導入を前向きに考えている場合には、各ベンダーのカスタマーサクセスチームに問い合わせてもよいでしょう。

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トライアルを経ることで、具体的に自分の会社において期待できる効果をイメージすることができるようになります。会社によっては導入によるROIを具体的に算出することを求められる場合もあるため、その際にもトライアルは有効な手段と言えるでしょう。

他社事例を参考にする

リーガルテック導入後の業務の将来像を具体的に想像しづらい場合には、企業規模や業務フローが似ている他社の導入事例を調べたり、使いたいツールのユーザー会に参加したりすることで、実際にリーガルテックを活用した際のイメージを膨らませてみるのもよいでしょう。

以下の記事では、既存のツールとリーガルテックを組み合わせて業務フローを組み上げた具体例をご紹介しています。

新規導入の際はスモールスタートで

新たなリーガルテックの利用を検討する際には、スモールスタートでの導入をおすすめします。
実際にツール導入を進めていくと、どうしても「実際の業務で使ってみるまでわからなかったこと」が出てきます。まずは部門や業務など、活用する範囲を限定し、試験的に導入して活用に当たっての課題を洗い出し、その対応を行ってから段階的に展開していくという流れで進めていくことが重要なポイントとなります。

こうしたスモールスタートの方が、予算も組み込みやすく失敗するリスクも減らすことができるのも良いポイントです。

まとめ

この記事のまとめ
  • リーガルテックサービスを導入すべきかどうかの最初のステップ
    • 業務フロー図を用いて課題を特定する
  • 法務によくある課題の例
    • レビューにかかる日数が長くかかる
    • レビュー品質のばらつきを減らしたい
    • 過去のドキュメントにアクセスできない
  • リーガルテック選定時のポイント
    • 課題の把握とゴールの設定
    • 既存のフローやシステムとの整合性を確認
    • 他社事例を参考にする
    • スモールスタートでまず始めてみる

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