煩雑な英文契約交渉時の情報・ナレッジを集約し業務を効率化! 国内外の営業担当者や技術部門と法務を繋ぐHubble

導電材料、絶縁材料のパイオニアとして、エレクトロケミカル材料の研究・開発・製造を手がけるナミックス株式会社新潟に本社を置きながらも売上の海外比率は80%を超え、米国、欧州、アジアをはじめ世界各国に販売・生産・開発拠点を有しています。当然ながら英文契約書も多く、また交渉のやり取りが何十にも重なり複雑化するケースも多くあります。

従来は、メールベースでのコミュニケーションが基本となっており、多くのやり取りが発生する中で非効率な作業も発生していた契約審査を、Hubbleを用いてどのように効率化したのか技術部門や営業部門とともにHubbleを活用する同社法務担当の森素子様、鈴木ちはる様、営業担当の諸橋真様にお聞きしました。

本記事のポイント

Over view

  • 同社の法務の概要(2023年10月現在)
    • 所属部署の人数:8名(法務2名、知財6名)
    • 契約書依頼件数:約40件/月
  • 導入前の課題
    • メールベースのやり取りの中から修正の履歴を追うのに時間がかかり、ナレッジが属人化し引継ぎを都度行う必要があった
    • 事業部に契約書の内容を確認してもらうために一手間かかっていた
  • Hubbleの利用範囲
    • 法務部門、営業部門、技術部門
  • Hubbleへの期待
    • 契約書の履歴管理、ナレッジの蓄積や引継ぎ等をはじめとする契約審査に関する多くの課題を全て解決したい
    • 法務のみならず事業部門も含む複数人が同じ画面で作業できるようにしたい
    • 関連部署の関係者も契約書を閲覧できるようにアクセス制御を行いたい
  • 法務部門における導入後の効果
    • 契約書業務フローを回すだけで自然と契約書に関連する情報を集約することができ、法務が過去に蓄積したナレッジの活用が可能になった
    • 過去のメールから契約書の修正履歴を探す時間が削減され、引継ぎに特別の工数を割く必要がなくなった
    • 契約書の内容を知るべき関連部署のメンバーが必要な範囲で閲覧できる適切で柔軟なアクセス制御を実現するとともに、事業部門に契約書の内容を自然と確認できる環境を整備できた
    • 個別の契約書の修正意図や契約交渉の経緯も説明しやすくなった
  • 事業部門における導入後の効果
    • 契約書と修正履歴をセットで読むことで契約内容を理解しながら案件進行を行えるようになり、契約交渉の準備がしやすくなった
    • Hubbleのコメント上で気軽に法務を含む他部署の複数関係者を巻き込んでコミュニケーションができるようになった
    • 修正交渉が積み重なるような契約交渉の際でも、相手方に契約書ドラフトの修正履歴や経緯を迅速に説明できるようになった

高い海外売上高構成比が物語る複雑な英文契約書で繰り返される交渉と管理の難しさ

本日は宜しくお願いします!まずは、貴社の法務体制について教えてください。

法務と知財が一つのグループになっており、合わせて8名体制で、そのうち契約担当は鈴木と私の2名です。当社はエレクトロケミカル材料の研究・開発・製造事業を行っており、特許をはじめ、知的財産の管理に力を入れる必要があるため、このような人数比になっています。

ナミックス株式会社 技術開発本部 技術マネジメントU 知的財産/法務G シニアチームリーダー 森素子様

法務で審査する契約書の類型の特徴を教えてください。

NDAが圧倒的に多いですね。また、海外での高い売り上げ構成比が表す通り取引基本契約品質保証契約等メーカーで通常取り扱われる契約類型も多いですが、いずれも英文契約が多くを占めています。お客様と何往復もするケースも多く、それも含めて1人あたり月間20件以上を扱います。

鈴木

お客様によっては、契約交渉が複雑化し、20回以上の修正のやりとりを重ねることもありますね。英文で長文の契約書については、ミス防止のためダブルチェック体制を取っています。

ナミックス株式会社 技術開発本部 技術マネジメントU 知的財産/法務G 鈴木ちはる様

営業ご担当の諸橋様はどのように契約書に関わられていますか?

諸橋

私は米国子会社のサポート業務を担当しています。契約文書の依頼を現地営業側から受け取り、その内容を森や鈴木と精査し、締結に向けての対応も行っています。米国は契約書文化ですので、ほとんどの場合、NDAを締結しなければ取引開始はもちろんのこと、何らの情報も提供していただけません以前国内担当だった頃と比べて、圧倒的に契約業務の比重が高まりました契約書数の増加に加え、当然英語で行う取引先との契約交渉ややり取りも非常に多いです。

ナミックス株式会社 営業本部 セールスU 海外セールスG 諸橋真様

Hubbleの導入前には、契約業務においてどのような課題を抱えられていましたか?

契約書のやり取りは基本的にメールで行っていたので、何度もフィードバックが重なると、いつどのタイミングでどこを修正したのかわからなくなることが多くありました。自社で作成した契約管理システムで管理していたこともありましたが、ファイルを一つひとつ開かないとその内容を確認できず、非効率でした。更にその以前になると、そもそも過去案件の履歴が残っておらず、契約書の修正の意図が分からずに困ることもありました。

諸橋

特に日本のお取引様の中には、創業時代から長くお取り引きさせていただいている企業様もいらっしゃるので、契約書の来歴を遡るのはとても大変ですね。

締結前から管理できるHubbleに感じた新鮮さ

長い歴史があり、かつグローバルに取引先がいらっしゃって英文契約も多い貴社ですので、契約書の作成履歴の管理は非常に難易度が高そうですね。こういった課題を解決するためにどのような観点でリーガルテックを探していたのですか?

前出の契約書を、営業や品質保証の部門の担当者と一緒に確認するため、複数人が同じ画面で作業できるシステムを探していました。法務の課題感が強く、かなり多くの数のツールを検討しました。

その中でHubbleを見つけ出して頂いたのですね。最初にHubbleを見たときの印象はいかがでしたか?

「契約書管理システム」というと、締結後の契約書を一覧する画面が最初に表示されるイメージを持っていたので、URLをクリックするだけで該当の契約書が大きく表示され、締結前のドラフトから締結後の契約書まで集約できると知ったときには新鮮に感じました。

締結前のドラフトから締結後の契約書まで集約可能なHubbleの画面

加えて、差分表示できる機能は魅力的でした。相手方によっては、Wordの変更履歴機能を使わず本文を直接書き換えて修正されるケースもあります。これまでは、比較元のWordファイルを開いて、比較対象のWordファイルを選択して比較するというWordの差分比較の機能を使っていましたが、その手間がなくなるなと。類似の機能として、ボタン一つで任意のドラフトのバージョンとも差分比較できる「指定したバージョン間の比較」機能も素晴らしいと感じました。

様々なツールの比較検討の末、Hubble導入の決め手となったポイントはどこでしたか?

前述のような履歴管理をはじめ、ナレッジの蓄積や引継ぎ等、他にも契約審査に関する多くの課題を抱えていた中で、Hubbleではそれらの課題を全て解決できる点です。日常の契約審査のフローを回すだけで、情報が蓄積されていくため、Hubbleを利用し続ける期間が長くなればなるほどナレッジがたまり、契約業務の効率化が加速するだろうと感じました。

ちなみに導入に当たって、社内にはどのように説明して予算を確保されたのでしょうか?

法務は3年前に新しくできた組織であることもあり、積極的に会社にとってのHubbleのメリットを説明しました。もちろん契約締結前の履歴に関するメリットが大きいのですが、加えて権限管理についても丁寧に説明したことを覚えています。

従来は、締結後も含めた契約書を閲覧できるのは法務や該当する部署の窓口担当者のみでした。しかし、一つの製品や施策について、例えば営業と技術等、複数の部署が協働することも多くありますし、部署間・担当者間の引き継ぎも発生します。

こういったケースに効率的に対処するためには、他の関連部署のメンバーも必要な範囲で閲覧できるような、適切で柔軟なアクセス制御が必要でした。ただ、従来の契約管理システムでは、そのニーズに対応できなかったため、契約書の内容を知るべき人が必要な範囲できちんとアクセスできる環境の整備が必要だと、丁寧に話していきました。

リテラシーの差と変化へのためらいを乗り越えた導入フェーズ

そういった経緯を経てHubbleを導入されたわけですが、実際にどのように活用されているのでしょうか?

諸橋

私を含めた営業担当者はHubbleアカウントを有していますので、契約書に関するやり取りはHubbleを中心に行なっています。具体的には、Hubbleに契約書をアップロードして、法務担当者にメンションをつけ、希望納期とともに依頼を行っています。希望納期については法務担当者からYESかNOか、NOの場合、いつ頃にお戻しいただけるかHubbleのコメントで教えていただきます。

法務からの戻りを受けて、取引先に契約書をお渡しし、先方から確認・質問や再修正等が入る場合は先方と営業担当者が直接電話やメールでやり取りをして、再度Hubbleを通じて法務に戻す、という流れです。

諸橋様をはじめ、事業部門の方にもアカウントを配布されていますが、アカウント発行する基準はおありですか?

契約の頻度が高い営業部には、担当者全員にアカウントを配布しています。また、品質保証や研究開発契約書に関わる技術部門等とも連携を取り、アカウントを持つべき担当者を決めています。年々社内で活用できそうな方が増えているので、アカウント数を増やしていきたいと考えています。

こうして多くの方にHubbleを使ってもらうために工夫されたことはありますか?

鈴木

まず、Hubbleの方にサポートいただき、3回ほど社内説明会を開催しました。その際は、アジアの現地担当者も多く出席してくれ、中国語が聞こえてきたりしました。

カスタマーサクセスによる手厚いユーザーサポートは、Hubbleの3つの特長のうちの一つ

鈴木

加えて、当社独自の取組みとして、Hubbleの簡単な利用方法に関するニュースレターを社内ユーザー向けにメールで配信する取り組みを現在でも行っています。これまでに20通近くのニュースレターを作成しました。ニュースレターでは、問い合わせの多かった内容から順番に取り上げるようにしています。こうして定期的に情報発信することで、Hubbleの存在を広く知ってもらい、より一層活用したいという狙いがあります。

鈴木が個人の目標としてニュースレター配信を掲げ、現在進行形で配信してくれています。特にあまりクラウドサービスを使ったことがない方だと、「メンション」という言葉を知らなかったり、URLを貼ったりする作業が苦手なケースもあるので、我々からも情報提供を行い、Hubble活用の妨げになる社内のリテラシーの差を埋めようと試みています。

一方で、ナレッジ蓄積の必要性やバージョン管理、修正履歴管理の重要性等、Hubble利用の主な目的を伝えると、積極的に協力し、操作方法を習得してくれる方も多いです。例えば先日、やり取りが多く難航していた契約交渉のため、技術部門の方と出張した際に、取引先から過去のバージョンの修正内容を確認され、Hubble上ですぐにその内容を回答できたことで円滑に交渉が進みました。その際に、その技術部門の方から「Hubbleの必要性が身にしみて分かった」と言ってもらえました

法務の工数を削減しながら全社にとっても有益な契約情報を集約していくためには、社内に対して、その場その場で必要性を感じてもらえるよう丁寧に説明していくことが重要だと感じています。

営業ご担当の諸橋様はHubble導入当初、どのようにお感じでしたか?

諸橋

Hubble導入時はちょうど、国内担当から海外担当に切り替わるタイミングでした。国内担当の時は、契約交渉の頻度も今ほど多くなかったので、実は、当初メールベースで行っていた作業スタイルが変わることに対して、抵抗がなかったとは言えません。しかし、前述の通り海外を担当するようになって契約書数も契約交渉の頻度も高まった今となっては、Hubbleがあってよかったと感じています。Hubbleがなければ、過去の修正履歴や取引情報をはじめとする契約関連の情報が散在して管理しきれなくなっていたと思います。

当初はコメントにメンションを入れ忘れたりすることもありましたが、2~3か月くらいで、Hubbleの利用方法は慣れました米国子会社サポート業務への切り替わり前という非常に良いタイミングで導入してくれた、というのが私個人としての正直な感想です。

Hubbeを導入して技術部門や営業部門の契約書に対する意識が高まった

改めて、Hubble導入の一番のメリットは何でしょうか?

契約とこれに関連する情報を集約できる点が気に入っています。その結果として、法務が過去に蓄積したナレッジの活用ができるようになったと感じています。過去の情報を探すために、メールを探す必要がなくなったことは、かなり大きな工数削減になりました。加えて情報が蓄積されているので、担当者が変わった場合にもきちんと引き継ぎできるという安心感があります。

鈴木

確かに、私が入社したときは、Hubble導入前だったため、森から「メモはここにあるよ」という細かなところから逐一教えてもらう必要がありましたが、今は、Hubbleに行けば契約書に関連する情報が集まっていると伝えるだけでよくなるのはとてもありがたいですね。個別の契約書の修正意図や契約交渉の経緯も説明しやすくなり、非常に助かります

もう一つ、法務以外の部署の方に「契約書を読みやすくまとめて展開する」という手間をかけなくても、自然とみなさん契約書をしっかりと読んで頂けるようになった点を挙げたいです。従来は、契約書の情報を抽出して要約した「概要書」をつけて、契約書を展開していました。これは、忙しい方でも契約書の概要を把握してもらうための工夫でしたが、もちろんその分、法務に工数がかかります。

しかし、Hubble導入後は、URLをクリックすると、まず契約書の内容が表示されるので、みなさん自然と契約書の内容を自ら見た上でコメントをくださるので、概要書を作る必要自体がなくなりました。メーカーにとっての契約書は、特に知財の取り扱い等が記載されたNDA等、技術部門にとってもシビアなものとなることがあるので、技術部門の方々にも内容をしっかり確認いただける体制を整えられたことは、Hubble導入の一番の効果と言っても良いかもしれません。

諸橋様はHubbleの良さはどこにあるとお感じでしょうか?

諸橋

契約に関連するコミュニケーションはこれまでメールで行うもの、と思い込んでいましたので、バージョン管理や修正履歴の他、コメント機能で法務とのコミュニケーションが残るシステムがあるというのは大変ありがたいです。コメント上で気軽に法務以外の他部署の複数関係者を巻き込んでコミュニケーションができるため、従来のメールでのやり取りと比べて、断然Hubbleの方がやりやすいです。これらのコメントでのやり取りを修正履歴とセットで読むことで、契約の内容を理解しながら案件を進めていくことができるようになり、契約交渉の準備がやりやすくなりました。私に限らず、営業部門でも、こうしたHubbleの便利さは理解されはじめていると思います。

ブレーキをかける法務ではなく、事業をサポートし次に繋げる法務へ

最後に、貴社の法務部門として今後、どのようなことに力を入れていきたいとお考えでしょうか?

Hubbleの活用により業務工数が削減できましたので、高付加価値業務への注力をしていきたいです。例えば、今後の法務の在り方や、リーガルリスクマネジメントに関する国際規格ISO31022が発行され、契約書のリスク評価が課題になる中での法務としての対応も考えていきたいですし、法令調査の整備等を行うことで会社の全体の業務生産性向上に寄与したいです。

事業推進と契約交渉がセットになっている取引が多いので、「法務が葬る」と言われるような事業にブレーキをかける法務ではなく、事業のサポートができる、次に繋げられる法務にしていきたいです。

貴重なお時間をいただきありがとうございました!


会社概要(2023年10月現在)

Company Profile

会社名ナミックス株式会社
所在地新潟県新潟市北区濁川3993番地
設立1947年(昭和22年)2月
代表者代表取締役社長 小田嶋 壽信  
事業内容エレクトロケミカル材料の研究・開発、製造、販売
URLhttps://www.namics.co.jp/

より詳しいお話をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
Hubbleの詳細についての資料も、こちらよりダウンロードできます。

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