今回は、CMでもお馴染み、誰でも簡単に始められるネットショップの作成サービスなどを運営するBASE株式会社の法務チームの皆様に、Hubbleを導入した理由、そして導入によって得られた効果を伺います。
(以下、敬称を省略している部分があります)
本記事のポイント
Over view
- 同社の法務の概要(2022年12月現在)
- 人数:5名
- 契約書依頼件数:約60件/月
- 導入前の課題
- 従来使っていた全社導入のプロジェクト管理ツールと契約業務がマッチしなくなり、コミュニケーションの分散が生じていた。
- Hubbleの利用範囲
- 法務および事業部門
- Hubbleへの期待
- Hubble × Slack連携
- ドキュメントやフォルダごとの権限管理の取り回しのしやすさ
- バージョン管理の容易さ
- 導入後の効果
- Slack連携を用いて、コミュニケーションの分散がなくなり、事業部門・法務間のコミュニケーションもしやすくなった。
- 権限の管理やバージョン管理も容易になった。
社内はSlack中心、でも連携できずコミュニケーションが分散
本日は宜しくお願い致します!さて、早速ですが、貴社のビジネスの概要を教えて頂けますか?
大貫
我々は、ネットショップ作成サービス「BASE」等を運営しております。「BASE」は誰でも簡単にネットショップをつくれることをコンセプトにネットサービスを運営しています。インターネットやテクノロジーの力を使って、世界を良くしていきたいという意志を持った会社になります。
素敵ですね。こうした中で法務の皆様は5名体制ですが、業務内容はどのような範囲に及ぶのでしょうか?
関根
多い時には月100件にも及ぶ契約書レビューはもちろんのこと、法務相談だったり、新しいサービスが始まる際の法務面のチェックもあります。また、株主総会運営だったり、個人情報関係だったりと一般的に法務が管掌するような業務は手広くやっています。直近では、広くリスクマネジメントもカバーするようになりました。
幅広くカバーしていらっしゃいますね!それでは、そのうちの契約業務部分について教えてください。Hubble導入以前のフローはどういったものだったのでしょうか?
松井
Hubble導入前後で大きく変わった、契約書の依頼から作成の部分を中心にお話しします。まず、以前から全社的に導入されていた市販のプロジェクト管理ツールをメインツールとして使っていました。「チケット」を事業部門の方が切って、Wordファイルをアップロードし、Slackで法務に伝えるイメージです。
プロジェクト管理ツールは汎用的なツールで、全体スケジュールなどをつかむのには向いているのかなと思われますが、契約案件の管理という観点では不便さを感じたこともあったのでしょうか?
大貫
依頼後に生じる個別のコミュニケーションも、このプロジェクト管理ツールに記録を残すようにしていましたが、社内のメインのコミュニケーションはSlackで、そちらでのコミュニケーションも多く存在していました。このSlackとの棲み分けが悩ましいところでした。メールや電話は、社内コミュニケーションではほとんど使わないので、放っておくとプロジェクト管理ツールとSlackとでコミュニケーションの分散が発生してしまいます。これに加えて、案件ごとの権限も法務側で変更することが難しく、機動的に動くことができなかったというのも悩みのあるポイントでした。
なるほど!そういった中でリーガルテックをご検討頂いたのですね。
大貫
はい。会社としては、こうした不便さに対して、数年前までは人力で頑張る傾向もありました。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響と当社の事業拡大のペースが非常に速かったこともあり、人力で頑張れる範囲を軽く超えてしまいました。そのため、全社的にシステムを使って効率化する流れが生まれ、その後押しもあり、リーガルテックを前向きに検討しました。
Hubbleというサービスを初めてご覧になったとき、どんなことを感じましたか?
大貫
はじめて見たときは、バージョン管理できるとか、修正したときの前後のバージョンの差分がパッと出てきて、どこが変わったとかをすぐに見られるのが使いやすそうだなと感じたことを覚えています
他のサービスとも比較したとお聞きしました。
大貫
はい、いくつか比較をしました。そこでは、法務以外のフローを変更するつもりはなかったのと、やはり前述したSlack連携を重視したかったので、その点でHubbleが必要十分のサービスでした。
バージョン管理は絶対必要
契約書作成の過程においては、何か気になっていたポイントはありましたか?
松井
細かいポイントなのですが、社内メンバーとファイルのやりとりをする中で沢山発生するファイルの管理、つまりバージョンの管理については、悩みのポイントでした。例えば、ファイル名の付け方一つとっても、従来は都度日付を入れてみたりしていましたが、結構煩雑でした。
ちなみに、バージョン管理は日常的にされていましたか?
大貫
バージョン管理はやってはいましたが、フォルダが散乱して、どこに行ったんだろうということはあったと思うので完璧ではなかったと思います。
バージョン管理は、誰かから「やったほうがいいよ」と言われてやっていたのでしょうか?
大貫
基本動作としてやっていた、という感じです。絶対必要だよねと。
ただ、バージョン管理は、実際に修正している時ではなくて、後からその重要性に気づくものだと思います。実際に前述したプロジェクト管理ツールには最後の結果だけしかなくて、困ったということもありましたから。
まず見にいくのは「ドキュメントリスト」
現在は、Hubbleのアカウントをどなたに振っていらっしゃいますか?
松井
社内の半数くらいのメンバーに付与しています。必要がある方から申請をもらって付与しています。
Hubbleを導入したことで、従来活用していたプロジェクト管理ツールとの棲み分けはどのように整理されたのでしょうか?
大貫
契約書に関する業務においては完全にHubbleにリプレイスしました。審査の依頼をする際は、Hubble上に契約書をアップロードして、各ドキュメントのコメント欄で、メンションをつけて法務に依頼します。締結に至るまでの案件の進捗は、ドキュメントリストを案件管理台帳として使い、ステータスを一覧化しています。
ドキュメントリストでのステータス管理について、更に具体的に教えてください。
関根
朝、業務を開始して、まず見に行くのがドキュメントリストになります。担当者の欄に自分の名前が入っているものを、ドキュメントリスト上で検索するイメージですね。ちなみにステータスについては、新規、法務確認中、法務確認済(先方確認中)、内容合意済、稟議承認済、押印済、却下といった項目を設けています。
交渉等を経て契約書の内容が固まったあとのフローはどういったイメージですか?
大貫
稟議システムにWordファイルだけではなくて、HubbleのURLを貼付するようにしています。社内決裁がおりたら、実際の締結になりますが、電子契約の場合も、Hubbleとクラウドサインの連携を使って、法務チームから相手方へ送るようにしています。
事業部門に委ねずに法務から送付されているのですね。
大貫
もともと紙の契約書が多かったときも、製本や送付作業は法務側でやっていたので、その流れですね。とはいえ、事業部門の手間を増やさないようにしたという意図が大きいですね。審査から契約締結、そして締結後の契約書管理まで、それらのフローをきちんと法務で管理するのが自分達の役割だと考えています。
Slack上でコミュニケーションしているような感覚
導入に当たって一つの決め手になった、Slack連携の使用感はいかがでしたか?
松井
連携した結果、Hubble上でのやりとりも、普通にSlackでやりとりしているような感覚で通知されるので、コミュニケーションがしやすいですね。また、Hubble上だとこれまでのやりとりが流れずに残るので、情報がきちんとストックされるという意味で非常に良かったです。「この案件どうなっていたっけ?」というのをすぐに辿れるので。
Hubbleのコメントでは、メンション忘れもあると伺いました。
関根
基本的には、依頼時にメンションはしてくれるのですが、Slackでコミュニケーションをしている感覚なのか、忘れていることもあります。ただ、この場合には、ステータスがついていないドキュメントがドキュメントリスト上で現れるので、結果として漏れることはありません。
権限変更に関する問題意識もおありでしたが、この辺りはどうでしょうか?
大貫
権限はすごく絞りやすくなりました。フォルダごとに設定できるのが良いなと思いました。
松井
業務委託の方など属性が違う方とも一緒に業務を行うので、その意味でもグループだけでなく、個人のレベルで権限の振り分けができるのは良いと感じています。特に当社の場合は、事業部門のメンバーとの混乱を避けるために、最上位のフォルダ階層では、比較的フォルダの区分けを緩やかに行ったということもあり、それらの中で権限を上手く絞っていくことで、使い勝手の良さと権限の適切な切り分けを両立できました。
関根
当社の場合、事業別のフォルダをつくって、その中でさらに会社別のフォルダを作成していますが、人材紹介契約など、数が多く出やすい契約については、別途事業別フォルダ以外に、「人材契約」といったフォルダをつくって、迷わないようにしていますね。
関根様は昨年4月にBASEさんにジョインされたとのことで、すでにその時にはHubbleが導入された状態でした。ご利用時の感想などありましたか?
関根
はい、慣れるとやっぱり使いやすいなと感じました。初めて使うツールって、慣れるまでに時間がかかると思うのですが、Hubbleの場合、比較的早く慣れることができたかなと。理由としては、やはり操作が楽という点が大きいと思います。アップロードして、自動でバージョン管理だったりとか、差分がついたりとかというのは、直感的で使いやすいなと思いますね。
事業部門からのレスポンスも早くなった
貴社は、Hubbleを事業部門の方と一緒にご活用頂いています。導入時には説明会など導入のために工夫した点はあったでしょうか?
大貫
実は、事業部に対して説明会はやっていないです。
松井
そうですね。やろうかと話していた時もあったのですが、やらずに進めました。マニュアルを作って、社内のポータルに載せているだけですね。それで何か混乱も起きたということもありません。業種的に会社全体のリテラシーが高いということもあるかもしれませんが…。
なるほど!それはすごいですね。その意味では、実際にHubbleを使っていただいて、事業部門の方からのHubbleへの感想はありましたか?
松井
少なくとも、使いづらいと言われたことはないですね。
大貫
そうですね。本当に、スッと移行できたので。明確に「使いやすいです」とは言われていないですが、使いやすいんだろうなと思います。何かあったら、要望が絶対に出ると思うのですが、それは本当に一切なかったです。ちなみに、これは正確に測ったわけではないのですが、法務側の印象としては、事業部門からのレスポンスも速くなったイメージがあります。Slack連携の力かもしれません。
バックオフィスは、事業部をサポートすることが大事な役割
電子契約送付のくだりで、大貫様がおっしゃっていた「事業部門の手間を増やさないようにした」というポイントですが、言い換えると法務がサポートをするんだという思いが、チームの中で浸透していると感じました。これは、いつから醸成されたものなのでしょうか?
大貫
最初からあったものかもしれませんね。バックオフィスは、もちろん専門性が大事ですが、事業部をサポートする、支えることが大事とされる役割だと思います。このため、なるべく巻き取れるところは巻き取るということを大切にしています。
関根
その観点から付言すると、ミスや漏れがないようにするのは勿論のこと、事業部の方に説明をするときは、どこをどういう理由から変えた方が良いと判断したのかをきちんと説明をするようにしています。私の場合、法律事務所に勤務していた時と比較して事業が近くなり、「事業側がやりたいこと」も分かるようになったので、より事業部門の立場を考えられるようになったと思います。
大貫
ありきたりなことになりますが、事業側がやりたいことになるべく寄り添うことが大事だと思います。なぜこの施策をやりたいんだっけ?という問いを持ちつつ、リスクの程度に応じて見る粒度を変えるようにしていきます。これはリスクゼロではないけれど、影響度合いをみると、実施可能だよねというものであれば、総合的に判断してパッとOKと言ってしまうこともあります。もちろん検討を要する場合には、時間をかけて検討します。メリハリをつけて検討・判断していくことは心がけていますね。
まさに、昨今の法務パーソンにとても求められているポイントだと思います!本日はありがとうございました!
会社概要(2023年6月現在)
Company Profile
会社名 | BASE株式会社(BASE, Inc.) |
所在地 | 東京都港区六本木三丁目2番1号 住友不動産六本木グランドタワー 37F |
代表者 | 鶴岡 裕太 |
設立 | 平成24年12月11日 |
事業内容 | Webサービス企画・開発・運営 |
URL | https://binc.jp |
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