- 今年登場頂いた法務パーソンの皆様が選ぶ、2022年読んでよかった書籍と記事
はじめに
みなさん、こんにちは。
早いもので2022年もあとわずかとなりました。法務パーソンの皆さんは今年も多くの書籍や記事を読まれてきたと思います。一方で、他の法務パーソンがどんな書籍や記事を読んでいたか、気にならないでしょうか?
今年は昨年非常に好評を博した年末の企画を拡充し、今年LOLに登場頂いた現役法務パーソンの皆様に「今年読んでよかった書籍や記事」をご紹介頂きます!本記事はその前編となります。
【書籍】『解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』
基本情報
著者:馬田 隆明
タイトル:『解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』
発行:2022年11月
出版:英治出版
URL:http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2318
紹介者のコメント
法律事務所LAB-01 植田貴之氏
サマリー本、ファスト映画、ショートイントロ音楽など、世の中は短縮されたコンテンツで溢れている。多忙なビジネスパーソンも、SNSやキュレーションメディアなどを最大限活用してライトな情報をクイックに取得し、効率よく情報収集をしているはずである。その一方で、表面的な知識を元に「それっぽい」説明を他人にしてみたものの、実は自分が中身を十分理解していなかったということを経験したことがある人も多いだろう。本書は、物事の理解度や表現方法の精緻さを高めるためのアイデアをまとめたものであり、解像度の高い知識を元に地に足のついたプロフェッショナルとして活躍するためのヒントを得られる本である。
【書籍】『数理法務のすすめ』
基本情報
著者:草野 耕一
タイトル:『数理法務のすすめ』
発行:2016年9月
出版:有斐閣
URL:http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641125889
紹介者のコメント
株式会社マネーフォワード 執行役員CLO 弁護士 関田雅和氏
最高裁判所判事になられた草野先生の著書です。アマゾンの書評における「読みやすさ、わかりやすさとの両立を実現」という評にもかかわらずなかなかに重たい分野ではありますが、法務パーソンとして経営陣や事業部に対して説明をする際の議論の緻密さには、数学的議論のアプローチが必要な場合もあろうかと思います。軽く手にとることはできない書籍かもしれませんが、時間が許す折にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
【書籍】『遅考術 じっくりトコトン考え抜くための「10のレッスン」』
基本情報
著者:植原 亮
タイトル:『遅考術 じっくりトコトン考え抜くための「10のレッスン」』
発行:2022年8月
出版:ダイヤモンド社
URL:https://www.diamond.co.jp/book/9784478115411.html
紹介者のコメント
株式会社マネーフォワード 法務知的財産本部 本部長 雨宮修氏
直感的にスパッと「答え」に辿り着けたときほど大事な何かを見落としていたり、論理矛盾していて、ヒヤッとする経験は誰しもあるもの。人の脳には素早く直感的に働く思考システムが備わっていて、思い込みや勘違いから間違った判断をしてしまうそうです。日々忙しい中でこそ、本書で紹介されている「それでいいか」と立ち止まって熟慮する思考プロセスを意識的に実践できると、法務パーソンとしての思考の質や判断の論理性も高めることができるのではないでしょうか。
【書籍】『XR・メタバースの知財法務』
基本情報
著者:関 真也
タイトル:『XR・メタバースの知財法務』
発行:2022年9月
出版:中央経済グループパブリッシング
URL:https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-43571-3
紹介者のコメント
カバー株式会社 管理本部 法務知財チーム マネージャー
「XR」や「メタバース」といった概念に関する法律を、体系的にまとめた書籍です。対象となる技術の定義と、具体的に法律を当てはめた検討内容が記載されており、「XR」や「メタバース」のみならず、デジタルコンテンツ全般を扱う企業の法務部門にとっておすすめです。法律の内容についても簡潔にまとめられているため、知財分野について前提知識が無くても、読みやすいと思います。
【書籍】『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』
基本情報
著者:マシュー・サイド
タイトル:『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』
発行:2021年6月
出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン
URL:https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2752-4
紹介者のコメント
株式会社SmartHR コーポレートグループ 法務ユニット マネージャー 小嶋 陽太氏
企業は多様性を推進すべきという考え方はすでにメジャーでありながら、それがなぜなのかを自分の言葉で説明することはなかなかできなかったのですが、この本ではアメリカ同時多発テロ事件の際のCIAチームやエベレスト大量遭難事件の際の登山隊などの事例を交えながら多様性の意義が分析されており、多様性は激しい競争を勝ち抜くカギになることを実感をもって理解できました。
会社組織全体の作り方に限らず、法務部門の作り方や法務パーソンが社内で果たす役割を考える際にも生きるものがあると思います。
【Web記事】「弱いのに勝てる」が戦略の面白さ。スタートアップが世界で勝つには、いかに自分たちを有利にできるか
基本情報
著者:森田 裕
タイトル:「「弱いのに勝てる」が戦略の面白さ。スタートアップが世界で勝つには、いかに自分たちを有利にできるか」
URL:https://ipbase.go.jp/specialist/workstyle/page30.php?fbclid=IwAR1yYjmRLmQxsJzP4elMIqAkKoNwZfDyUdDs1HI5-M-0qm-LDwfD6XxktE4
紹介者のコメント
IPTech弁理士法人 代表弁理士 安高史朗氏
「強い会社や人が勝てるのは当たり前。後追いで入った人、弱いのに勝つのが戦略の面白さ。スタートアップの体力は弱い。世界で勝つには、いかに戦略をうまく使って自分たちを有利にするかを考えなくてはいけないのです」という部分が、知財の面白さを端的に表していると思い、好きです。また、「現状の日本の代理人は、軍師でもコンサルタントでもありません。」という部分は、社内に知財専門家がいないスタートアップの知財支援ならではの課題感で、とても共感できるものでした。
まとめ
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(本記事の掲載内容は、2022年12月時点のものです。)