今回は、今話題のキャッシュレス化を推進する決済事業を行うGMOフィナンシャルゲート株式会社の管理部法務課課長の西澤様に、「一人法務」時代から導入するHubbleやドキュメントリストを使った契約業務の効率化について伺いました!
本記事のポイント
Over view
- 導入前の課題
- 契約の進捗管理などに時間が取られてしまい、業務が圧迫されていた
- Hubbleの利用範囲
- 法務及び事業部門
- Hubbleへの期待
- ドキュメントリストを中心として管理業務の負荷低減
- 導入後の効果
- 管理業務にかける時間が月間20時間程度削減された
一人でも管理業務はやらなければならない
本日は、宜しくお願い致します!Hubbleを導入される前は、西澤様も「一人法務」だったのですよね?業務はどういった状況だったのでしょうか?
西澤
私が一人目の「法務」として入社し、法務関連業務を幅広く任せてもらいました。契約法務はもちろん、取締役会や株主総会などの会議体運営、それに加えて株式実務、内部監査、コンプライアンスも…というイメージでどんどん業務範囲が広がりました。意識的に間に落ちそうになったボールを拾うように心掛けていたこともあり、業務量が尋常ではなくなってきました。契約法務だけでも丸々1人必要となるような分量のボリュームがあったと思います。
一方で他の業務も会社にとって大事で、期日が決まっていて、かつ私以外にやる人がいないという状態になっていて、契約業務よりもそれ以外の分量が多くなってきました。契約に割く時間は全体の3割程度でした。
そんな中でも、契約業務では、バージョン管理自体は元々きっちりやっていました。こまめに共有フォルダに各バージョンを残していました。そして各案件は、エクセルに進捗管理表としてまとめていました。誰から、いつ相談受けて、いつ返答して、といった情報です。
西澤様は、最初からバージョン管理をやっていらっしゃったとのことですが、バージョン管理をしなくてはいけないという意識はどこから生まれてきているものなのでしょうか?
西澤
二つありますね。一つは「責任の所在」を明確にするというところです。
例えば、製本したら「株式会社」の位置が社名の前か後かで誤っている場合があるとします。これ入力したのどっちの会社だ?ってなりますよね。そもそも入力したのが当社じゃないというのが分かることが、結構大事だと思います。別に責めるという意味ではないですけど、当社側のミスだったことが分かっていれば、それを認識した上で相手の企業に配慮するかどうかも決まりますし、仮に先方が責任追及してきたとしても、当社ではないですよとはっきり言えるので、大袈裟ですが「防衛」にもなります。
二つ目は、一般的にもよく言われる点ですが、どこでどういう議論がなされたかがわかることです。「どうして削除したのか」という経緯を後から遡ることがあるので、そういった場合に以前の議論に戻れることは重要ですね。仮に自社のコメントにミスがあって、社内で今後の対策を打つ場合にも、原因・履歴を追えるにこしたことはないなと思っています。
その一方で、「一人法務」であったことによる課題はあったのでしょうか?
西澤
一人法務なので、自分に万一のことがあったら、ということは考えますね。どうしても一人だと、属人化した私しかできない業務になってしまいます。例えば私が休んだら、契約業務ももちろんですが、取締役会準備であったり、グループ各社間の調整業務なども止まるかもと。まさに業務のブラックボックス化だと思います。当社の場合は、法務相談をメールでやり取りをしているのですが、「こういう理由だから」という話がメールに残っていて、私がいなくなったらメールは消えてしまい、当時のやり取りも不明になって見えなくなる。これは会社にとっては大きなデメリットですよね。
人を雇うよりも先に効率化できると感じた
そんな中でHubbleをお知り頂きました。その際のことを教えてください。
西澤
はい、リーガルテック自体はなんとなく興味はありましたし、カオスマップなどは見ていました。実際に前述のような業務への課題意識はもちろんありましたが、当時は1日にメールが100件来るような状況で時間もなかったですね。そういった中でHubbleをご紹介頂きました。実際にご説明頂いた際には、結構突っ込んだ質問をしました。「これできるんですか、あれできるんですか?」って。基本的にできます、という回答だったので、すごいなと感じたことを覚えています。
自分の業務負担を分散するにあたって、ちょうど二人目の採用も考えていましたが、時間をかけても採用が難航していた中では、人を雇うよりも早く改善できるシステムなんじゃないかなと思って、リーガルテックは検討に値するっていう方向に針が振れました。
会社内でも私が業務を多重に抱えていて、首がしまってきているのは、社長にも認識してもらっていたので、こういう理由があって、こういうことが実現できるんですと、合理的・定量的に説明したら、導入してくれるのではないかという感触はありました。業務改善・効率化は常にやっていくという風土がある会社だったのも、背中を押してくれました。カオスマップを元に、5社くらいにお声がけして、プレゼンして頂き比較・検討して決めました。
Hubbleを選んだ際の決め手はどんなところにあったのでしょうか?
西澤
Hubbleを選んだ決定的な理由というのは「ドキュメントリスト」ですね。ドキュメントリストが秀逸だと思いました。前述した案件管理のエクセル管理を見事に置き換えてくれそうだなと。そして、私が行っていたエクセル管理と同じようなものができればと思っていたので、項目カスタマイズができるという点も大きなポイントでした。Hubbleにアップロードしたら自動でリスト化されるので、私の管理業務を全部やってくれるんじゃないか、みたいな期待がありました。
西澤
次にとてもいいなと思ったのがアップロードした瞬間の「差分表示」でした。Word自体に変更履歴が付いていなかったり、修正部分を隠された時に気づけるかどうかという確認は、時間もかかるし地味に面倒くさいですよね。でもやらないわけにはいかない。その工数を一律カットしてくれるんです。一見するとどこが変わったか分からない、でもHubbleに入れたら表示されるというのは、すごく有難かったです。
管理業務に充てていた月20時間は削れた
Hubbleを導入されて、まずは西澤様の「管理業務」の負担が減ったかが非常に重要ですが、実際どうしたか?
西澤
いわゆる管理業務って月間で20時間以上ありました。
主に冒頭にお話したエクセルシートの更新なのですが、依頼メール見て、案件の内容や工数をざっと見積もりして、エクセルシートに情報記載して更新して、といった業務です。何回もメール来たら、その度にステータスは更新します。1個1個は短時間ですが、すごい量があるので。一週間他の業務で更新できなかったとなると、溜まった更新業務に本当にげんなりします。それがドキュメントリストで無くなるのは精神的にも助かりました。肝心の工数の点でも、実際に20時間近くは削れています、一切エクセルを開かなくなって管理業務は基本的になくなっているので。
その削った時間は、どのように利用されたのでしょうか?
西澤
まだまだやるべきことがあったので、就業時間がそのまま短くなったということではありません。実際に管理にかけていた時間がなくなって、案件の背景や契約中身の分析・調査により時間を使えたり、新しく入社した仲間にビジネスの契約建付けを説明したりとか、既存のフローもより良い形にならないか思考を巡らせたり、手が回っていなかったその他の業務でインサイダー関連等を調べて注意喚起の話をしてみたりとか、できるようにはなりました。主に業務の精度や深度を深めるための時間に振り替えているイメージですね。
なるほど!一人法務でも関係なくHubbleは活用できそうですね。
西澤
一人であっても、案件管理はすると思います。複数のメンバーがいる場合と違うのは、その一人がミスや管理漏れをしてしまったら、誰にも気づかれず放置されてしまう可能性が高いこと。その点では、ドキュメントリストの使い勝手が格段に良く、システムを利用して人の手を介さず管理業務ができるようになるので、そこをお勧めしたいですね。バージョン管理はやろうと思ったら、人力でもできるのですが、毎回タイトル変えて保存という面倒な手間が、アップロードするだけで楽に完了し、加えて案件の管理もできる。ということは、他に時間を使えるということなので、法務が必要とされる場面にきちんと首をつっこめます。ビジネスの動きに気をかけられるようになるというか、色んなアンテナを張れるようになれるんですよね。
もう一つはHubble上でのコミュニケーションを利用することをお勧めしたいです。一人法務にとってコミュニケーションはとても大事です。なぜなら会社に唯一の法務専門家なので、事業部門のメンバーは私以外選べないんですね。そもそも社内で相談しにくかったらダメですし、事業部門側も前もって法務に相談して解決した経験があったら、やっぱり早めに言っておこうという健全な流れになります。その段階に至れるかがポイントなのですが、普段から電話・メールやチャットも含めて色んなコミュニケーションをとっているため、どこで何を伝えたかと散らばらないように、契約に関する内容は、ドキュメントに紐づいてやり取りが一元化されるHubbleに残す、という運用が最適なのではないかなと思います。
お話を伺っていると、西澤様の描く法務像においては、事業部門との関係性がすごく大切だと思いますが、この点について考えていることがあれば、折角なので教えてください。
西澤
大前提として、一番大事にしているのは会社としてビジネスを成功させることです。
その中で、じゃあ自分の役割は何かといったら、リスクヘッジしながら、上手く取引できるようにすることなので、何でもかんでもリスクがあればストップするというよりは、一緒に戦い方を考えるというか、営業部門が外に行って、戦ってくるにあたって、武器を授けるというか、乗り切れる知恵を絞りだせたらいいなと思っています。
そういう環境になると、事業部門との壁が無くなってきて、より案件やビジネスに詳しくなり、相談も早くなったり、機動性が高くなったりします。勿論全部私がやってあげるわけではないので、ここまではやって欲しいと線引きは一応するものの、全体として、会社として上手く回るようにと考えています。このように働いていると、自分が関わった案件が、世の中に出ると嬉しいと感じるようになります。事業部門とチームで取ってきた仕事みたいな気になって、楽しいですよ。
▼ あわせて読みたい
事業部門との会話に「Hubble」という単語が出るように
今お話が出た通り、貴社もHubbleを事業部門と一緒に使って頂いています。事業部の皆さまにはメリットを感じて頂けているのでしょうか?
西澤
前提として、事業部門もすごくメールたまりますよね。CCで入っているものも含めて。大量のメールに大事な情報が埋もれやすくなってしまいます。でも、Hubbleの通知メールであれば分かりやすく埋もれるものが少なくなると思いますし、事業部門側も喜んでくれたと思います。具体的には、Hubbleから来るメールのメールアドレスを自動振り分け登録しておいてもらって、そのフォルダに未読メールがあったら見てねっていう感じで。そうすると、Hubbleから来たメールが全部そのフォルダにたまるので、気づきますよね。契約関連のやりとりはそこだと認識していただいて、埋もれる可能性も大分減ったと思います。
また、仮に見落としたとしても、メールで通知される内容がHubble上にもコメント欄に残って情報が一元化されているので、あえて法務からのメールがどこにあったか、と探す必要もなく、ドキュメントにさえたどり着けば経緯やコメントを確認できてしまいます。このように、事業部門にもメリットがあると見せられたのがポイントだったと思います。
特に、管理職の立場の人は、さらにメールが多いので、Hubbleからメールが来たら、見て、ワンクリックでリンクを踏んでドキュメントへ飛んで、そうするとメールに添付されるWordファイルをいちいち開かなくていい、パスワードも入れなくていい。雛形とどこが違うかとか、どんなやり取りがあったか、交渉履歴が一発で視覚的に把握できるのも便利に感じてもらえたと思います。
ちなみに、最初から事業部門の皆様にもご利用頂いていたのでしょうか?
西澤
最初は事業部門のメンバー2~3人だけでトライアル的に使い始めました。何か使いづらいことあったら教えてと言いながら。そういった中でこれいいね、って言ってもらえた方法を元に組み立てていきました。
もちろん最初は認識されていませんでしたが、使ってもらううちにしょっちゅう会話の中で「Hubbleにアップした」とか、「Hubble入れておきます」といった話が出てくるようになってきました。私のHubbleアカウントまだですか?という問い合わせも受けたりしました。
ドキュメントリストとの関係では、「詳細情報」という契約に関する情報について、誰がどこまで入力するかも使いながら決めていきました。事業部門としてここまでは嫌じゃない、この辺は書くのが面倒といったことを聞きつつ、「この辺までならやってくれそう」というラインを明確にしていきました。ここを整理した上で、全体に説明会をして本格的に導入していきました。
西澤様が事業部門と使ってよかったなと感じる場面はありますか?
西澤
まず、会社として、管理のレベルが上がる点がありますよね。例えば事業部門が認識している最新版と、法務が認識している最新版が違うといったことは、Hubbleを使うことでなくなります。こういったことは、自分の会社ももちろんですが、先方の会社にも迷惑かけてしまうので。
また、ナレッジという点でもメリットがありますね。事業部門からすると、基本的には従来のメールベースの管理では自分の担当案件しか分かりません。他の担当者の案件ではどういうことが起きているのか、こういったことがドキュメントリスト使って会社名で検索できたりすると、過去のナレッジが見れるんですよね。こういった仕組みは、自分で勉強して学んでいく自走組織には教育のツールとして使えます。教えることはリソースの点でも限界がありますが、自分で勉強するツールとしてここに情報があるんだよ、という状況を用意しておけるので、組織全体のレベルを上げて、他と差をつけるきっかけになるのではないかと思っています。
こういう意味では、事業部門側にとっても、成長のツールになるので法務部側、事業部側、経営側に、全部メリットがあることになります。こういったことを実際に稟議書にも書きました。
一人でも二人でもHubble
そんな中で、西澤様も二人目の法務を採用されました。最後にその採用のお話を伺えればと存じます。
西澤
Hubble導入後に応募してくれた方だったこともあり、採用の際にHubbleの話もしました。仮に法務から法務への転職であったとしても、業界や企業によって持つ判断基準が違ったりすることがあって、そこに慣れていくのに時間を要することもあると思います。この点に関しては、「Hubbleがあってこれまで私が実施してきた契約実務がそのまま検索できるから、不安に思わず入社してほしい。最新のリーガルテックがある環境で法務ができます。」という感じでお話ししました。
西澤
めちゃくちゃ便利ですね、の一言ですね、最初から。差分表示などのコア機能ももちろんですが、例えばリモート環境で働いていても、お互いHubbleの同じ画面を見ながら、電話やWEB会議を利用してリアルタイムで話しながら修正できるということも便利と感じてもらえたようです。こういったことは契約業務としては画期的だったと思います。
一人でも二人でも使って頂けた西澤様に、改めてお聞きします。Hubbleってどういった会社や法務の皆様に使ってもらいたいですか?
西澤
全くの初心者ということであれば違うかもしれませんが、法務として、法律の勉強をしていて、契約の内容が一定程度理解できて、契約ドラフトも自分で作れますという状態になると、管理の方が結構な業務に感じてきて、しかもそこをシステムに組み込めたら楽で便利だなという話になってくると思います。そういう意味では、法務のレベルが高いチームの方がHubbleはマッチするかなと思います。過去に自分の会社で検討してきた生の「回答」が検索可能で、今までの会社の判断基準や経緯などを確認できる契約データベースとなるので、一人法務の属人化防止から法務チームの教育・自主学習ツールとしてもHubbleはすごく役に立つと思います。
ありがとうございました!!
会社概要
Company Profile
会社名 | GMOフィナンシャルゲート株式会社 |
所在地 | 東京都渋谷区道玄坂1-14-6 ヒューマックス渋谷ビル |
代表者 | 代表取締役社長 杉山 憲太郎 |
設立 | 1999年9月7日 |
事業内容 | クレジットカード、デビットカード、電子マネー等のキャッシュレス決済インフラ提供事業 |
資本金 | 129人(正社員、2021年6月末時点) |
URL | https://gmo-fg.com/ |