今回は、カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Repro」などに代表される「ツールの力」と「人の力」を結集し、あらゆるWeb・アプリサービスの売上改善を支援するマーケティングソリューションカンパニー、Repro株式会社のCorporate Div.のDivision Managerである髙橋様とLegalチームのTeam Managerである柳川様に、Hubbleの導入を通じた法務の社内評価改善への取り組みについて伺いました。
本記事のポイント
Over view
- 同社の法務の概要(2022年3月現在)
- 人数:3名
- 契約書依頼件数:約70件/月
- 導入前の課題
- バージョンの取り違え、抜け漏れなど、契約全体の精度
- 社内における法務の評価
- Hubbleの利用範囲
- 法務及び事業部門
- Hubbleへの期待
- バージョン管理の適正化
- Slackとの連携
- 導入後の効果
- バージョンの取り違えは無くなり、管理しやすくなった
- Slack連携によって事業部門との間での抜け漏れが大きく減った
- 契約書本文内の検索によって、過去の情報にもアクセスしやすくなった
まずは法務を専任者に任せたかった
本日は、宜しくお願い致します!
早速ですが、貴社の法務の業務領域はどのような範囲に及ぶのでしょうか?
柳川
現在は、契約業務や法律相談、あとは商事法務系。取締役会、株主総会などの会議体の運用も一緒にやっています。あとは新規事業の検討にも入ります。
ありがとうございます。
今は柳川様中心に法務の業務をされていますが、元々は髙橋様が法務業務も兼ねられていたと伺いました。
髙橋:
はい、ただ、法務の方と自分ではアプローチが違いました。私は会計士というバックグラウンドを持っているため、会計、数字からのアプローチなんですね。請求が正しいかとか、何かあったときに損害賠償を請求できるかとか、契約期間が間違っていないかとか。あくまで会計の領域から法務を見るというアプローチが中心でした。あくまで法的なアプローチは顧問弁護士の先生に聞いていました。
活用できるリソースの配分という観点からの割り切りもあったのですね。
それでは法務専任者を採用しなきゃと思ったのは、どういうタイミングだったのでしょうか?
髙橋
結局、当時は法務も労務も経理も総務も…という感じで、どう考えても時間が足りませんでした。Repro自体もプロダクトを更新して行く中で、そろそろ、会計アプローチじゃないなと。特に法務に関して言えば、弁護士に依頼しても、回答までに1週間程度かかることもあり、その分、社内のメンバーやビジネスの進展を待たせてしまうので、どうしても法務人材を採りたいと思いました。
社内で法務に対する評価は高くなかった
そのタイミングでHubbleもご検討頂きました。
髙橋
柳川が入社する少し前のタイミングでHubbleの導入を決めました。当時はいわゆるクラウド上のタスク管理ツールを使って、契約案件の管理を行っていましたが、案件の対応漏れが発生してしまうという問題がありました。加えて、複数の案件を並行して進める中でどの契約書が最新版か分からないといったことも起きてしまって、結果として契約業務全体の「精度」が落ちてしまいました。こうして課題を感じていたところでHubbleを知り、コンタクトさせていただきました。
社内での「法務」の評判もあまり高くなかったとか…。
髙橋
そうですね、法務業務を専任で担当する人がおらず、兼務で対応している期間があったのですが、主務の兼ね合いで、契約レビューは「最短でも1週間をください」といったコミュニケーションにならざるを得ませんでした。事業部門からすると「明日、どうしても!」というときがありますよね。でも基本的には受けつけられない。私も「精一杯やるけど、ごめんなさい」といった状況でした。当時はアンケートをとっていたわけではないですが、私に人づてで漏れ聞こえてくる不満が結構あった印象でした。
法務を兼務しつつやっている方からすると、全体的なバランスから本当に厳しい、でも事業部門のメンバーからすれば「なんで?」となるわけですね。
髙橋
我々としても説明責任を果たせていなかったですね。私を含めて兼務でするメンバーが入れ替わったりすると、「前はああ言っていました」といった形で、統一的な考え方も説明できていなかった。そのために法務の社内評価が下がっていきました。柳川が入ったときくらいが、まさにそれが積もりに積もっていたときだと思います
柳川様から見て、そういった点は入社時どのように映っていたのでしょうか?
柳川
評価の部分もさることながら、契約の申請や承認、締結に至るフローが必ずしも浸透していないなと感じました。もちろん社内にルールがありますが、きちんと守ってくれる方がいらっしゃる一方で、新たに入社された方にはそれが伝っていなかったり。抜け漏れが起きることもこういった点に原因があったかもしれないですね。
「新しすぎなかった」から迷わず使えたHubble
法務自体の評価を全体的に底上げしていくプロジェクトの1つのピースがHubbleだったということになりますが、ご検討頂くに当たって検討のポイントはどこにあったのでしょうか?
髙橋
重視したのは3点でした。1点目は、バージョン管理がしっかりできるところ。2点目は、Slackでコミュニケーションがとれるところ。3点目は、価格面での納得感ですね。Hubbleをご紹介頂いた際に、これらの要素についての、予想図と実際のツールイメージが上手く重なったので、これは良いなと思いました。バージョンの取り違えは絶対起こらないと確信して、安堵したことを覚えています。
柳川様の場合は、ご入社されてHubbleで契約業務をやることがほぼ決まっていた状態だったかと思いますが、Hubbleを触ってみていかがでしたか?
柳川
バージョン管理は、前職時代から当然のこととして実施していました。当時は各バージョンをフォルダに格納していくイメージですね。そういった習慣から見た時にバージョン管理自体には違和感はなかったですし、何よりWordがベースにあるサービスなので「新しすぎなかった」のが自分にとってはよかったです。これまで使っていたものと全然違う見た目だったら、どうやって使おうか?となっていたと思います。
Slackとの連携を重視された背景はなんだったのでしょうか?
髙橋
冒頭の抜け漏れの問題に関係します。社内的には先ほど申し上げたタスク管理ツールで契約書に関するやり取りすることがルールだったのですが、事業部門のメンバーは、皆コミュニケーションツールとしてSlackを使っているので、Slackにやり取りが結局集まってしまった。タスク管理ツールでメンションしてもSlackには通知が届かないといった仕様の問題もあり、コミュニケーションが分散してしまって、法務にも事業部門にも抜け漏れが誘発されていたことからここを解決したいと考えました。
柳川
私自身は、Reproに入社して初めてSlackを業務で使うようになりました。使って気づいたのは、コミュニケーションが流れてしまうこと。ここにタスク管理ツールもあったので、現場からすると、この案件の進捗はどっちを見るんだっけ?とか、返事を書かなきゃいけないけど、どっちで返事をしたら良いんだろうと少し分かりづらくなっていました。
事業部門のタッチポイントはなるべく少なく
ありがたいことに、Hubbleが要件を満たしてご導入いただくご決定を頂きました。とはいえ、定着させていくのが最も重要なわけですが、その際に気をつけたポイント、心がけたポイントはありましたか?
柳川
前述のとおり、法務の社内評価が低かったので、とにかく導入を丁寧に進めていかなければと思っていました。Hubbleを使えない「脱落者」を一人も出さないようにしなければいけない、という思いでした。
事業部門との最初の接点になるのが、受付の部分ですが、Hubble導入前は、Googleフォームから、タスク管理ツールで自動でタスクを作るといったフローでした。これに対してHubble導入に伴ってSlackワークフローを活用するようになりました。このプロセスの決め手はありましたか?
柳川
ここはオペレーションを考えるチームと一緒に悩んだポイントです。使うツールは変わるものの、最終的にはやはり事業部門と一緒に使うことから、Hubble導入前後でやることがガラッと変わることは避けようと考えました。同じようにフォームを入力する点で共通点があり、また社内的に浸透度合いが高かったSlackワークフローを採用しました。
事業部門と一緒に使う際にはHubble内で行うアクション(フォルダ作成など)を、法務がやるのか、事業部門がやるのか、といった役割分担も大事になります。この点についてポリシーはありましたか?
髙橋
柳川には、なるべく法務側で関与できる範囲を増やしてくれとお願いしました。例えば、事業部門に委ねすぎてしまって、ローカルルールがまん延してしまうと、リーガルが予期しない雛形がつくられてしまったりする可能性もあるので。そういったことを防ぐために、基本的には、リーガルでコントロールできるところは、全部コントロールするようにお願いしています。
なるほど!この点は、事業部門へのフレンドリーさよりは、統制面の意識が強く出ている印象ですね。
髙橋
はい、とはいえそれだけではなく、タッチポイントが少なければ少ないほど、事業部門側の満足度が上がるはずといった仮説もありました。例えば、契約書を依頼する場合にもとりあえずフォームで申請してWordファイルをアップしておけばOKとか、先方から返ってきたら、新しいバージョンとしてアップロードだけしてねとか。2、3回のタッチポイントだけで契約書が締結されているといった形が、事業部門にとっては楽で一番良いのだろうなと。事業部門がより使いやすいフローにするにはどうすればよいかは今でも考えています。
他方で法務の工数が若干増える気もしますが、いかがでしょうか?
柳川
当社の場合だと、営業のチームが優秀なこともあってか、自社雛形ベースの契約が非常に多いことが特徴です。なので、コミュニケーションを定型化して一回で必要十分な情報を取得することも難しくありません。法務側の工数はそれほど増えないと思っています。
コントロールする、という観点では、最上位のディレクトリ(階層)にファイルを置かないでくださいね、といった基本的なことは徹底しています。ただ、各々やりやすい方法もあると思うので、それ以上にうるさいことは言わないようにしてバランスをとっています。法務は、検索でドキュメントにたどり着くことも可能ですし、スターをつけておけば、進行中の案件は辿れますからね。
▼ Hubble内で素早くドキュメントに辿り着く方法
契約書の本文が検索対象であることがよかった
実際に考え抜いた上でHubbleで実際に運用を開始して頂きました。率直な感想を伺えればと思います!
柳川
はい、Hubbleさえ見ていれば、全部どういうやりとりをしたかが残るのは、とても良いなと感じました。バージョン管理を日常的にやっていた自分からしても、Hubbleのバージョンの表示も分かりやすいなと。もちろんバージョンの取り違えはないですしね。確実によくなったといえます。
ありがとうございます!使ってみて気づいた良さなどもあればと思いますが、いかがでしょうか?
柳川
当初は意識していなかったのですが、契約書の本文も検索の対象となるのは非常に大きいなと感じました。タスク管理ツールに情報を集約していた際には、せいぜい会社名でタスクを探しに行けるくらいでした。タスク管理ツールでは、契約書のファイルはあくまでタスクの「添付書類」だったので仕方ないのですが…。この点は契約書のドキュメントを中心に据える「契約書を管理するツール」である恩恵があったなと思いました。
導入時のポイントに上がっていたSlack連携についてはどうでしょうか?
柳川
前述の通り、コミュニケーションがタスク管理ツールとSlackが分離していた時と比較すると、Hubbleと連携したSlackに一元化されたことで、非常にやりやすくなりました。コミュニケーションをとる場所に迷いがなくなりましたし、多くの事業部門のメンバーの返信が速くなりました。
髙橋
私も同じ感想です。返信までのタイムラグは小さくなりました。コミュニケーションを行う場所も一元化されたので、課題であった対応漏れもかなり少なくなりました。
バックオフィスは減点評価、だから説明責任が問われる
法務の評価を上げていく点について、Hubble以外にはどんな取り組みがあったのでしょうか?
髙橋
はい、まずは一次対応が非常に重要だと考えて、柳川が入社した時に初回回答日数を指標に置きました。今は契約類型に限らず3営業日で返すという目標を設定しています。現状の実績では、平均は1.5日で回答できており、これを経営陣にもレポートするようにしています。
柳川
前述の通り、自社雛形ベースの契約が非常に多いこともあり、スピードが法務に期待されていて、かつ腕の見せどころなのかなと思っています。内容自体が込み入っていてすぐに答えが出せないとしても、すぐに話を聞くことが事業部門にとっても一番ハッピーなことなのかなと。
回答に一週間かかる時期と比較して目覚ましい改善だと思いますが、これは法務の社内評価向上にプラスにはたらいたのではないですか?
髙橋
22年の1月期から社内アンケートで満足度調査を開始しました。5点満点中、平均3.7点をとっています。まだ初回で比較対象がない中ではあるのですが、改善はみられていると感じています。ただ、他のバックオフィスの部署と比較すると正直高くもない印象です。
なるほど!まだまだ改善の余地があるぞということですね。
髙橋
初回の回答日数を縮めた実績があるものの、やはり「そういう見方」をされるんだなと、改めて分かりました。つまりバックオフィスは、まだまだ減点方式なんだなと。「あのときはめっちゃ助かった!ありがとう!」という瞬間があったはずなのに、案件ベースで嫌な思い出が強く残っていたりするんだと思います。「あのときは遅かった」とか「人によって対応のスピードが違う」とか「品質にばらつきがある」とか。
ここは同じように法務で、場合によってはバックオフィスで悩まれている方も多いのではないかと思いますが、どのように対処していくことを考えられていますか?
髙橋
法務は、社内へ説明責任を果たしていく必要があると改めて強く思ったところです。例えば、未締結案件がどこで止まっているのかが、まだよく分からなかったりします。そういったことができるような体制が必要ですよね。案件管理だけではありません。電子契約システムなどで締結する場面でも同じです。「どこまで進んでいるか」をどこまで事業部門にも見せられるか、ということですね。要は、安心感をどうやって従業員に与えていくか。1個1個こういった点に対してできることはないか、という話をしています。ここはHubbleの活用もさらに深めながら進めていくことが必要だなと考えているところです。
▼ ドキュメントリストで案件管理を見える化
Hubbleを入れて課題に気づけた、これが一番よかった
最後に改めて、Hubbleを入れてみて、一番良かったポイントがあれば、ぜひ伺いたいなと思います。
髙橋
良かったことはいろいろありますが、改めて法務上の課題に気づくことができたことが、私は一番嬉しかったです。色々改善を試みましたが、それでもなお、満足度5点には遠く及ばない。では、よりリーガルを改善していくためにはどうしたら良いのかを考えるきっかけとなったのが、実は一番良かったのではないかと思いますね。
ありがとうございます。実は組織の課題が高い解像度ではわかっていないことも往々にしてありますものね。法務の実務の視点から見た場合に柳川様はどうですか?
柳川
実務的な観点でいえば、情報が一元化されたことですね。どこにファイルがあるか分からないといった探す手間がなくなったという工数面、加えて「過去どういうふうに交渉していたから、今回こういうふうに交渉しよう」というように無駄な交渉が減るといった実質面、それぞれで良かったですね。
貴重なお話をありがとうございました!法務の評価の更なる向上にHubbleがお役に立てるように、我々も頑張ります!
会社概要(2022年4月現在)
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会社名 | Repro株式会社 |
所在地 | 東京都渋谷区代々木1丁目36-4 全理連ビル 4階 |
代表者 | 平田 祐介 |
設立 | 2014年4月 |
事業内容 | CEプラットフォーム「Repro」開発・運営 |
資本金 | 1億円 |
URL | https://company.repro.io/company/ |